Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

十三代目團十郎・八代目新之助襲名披露公演 ~その2~

  同じような話しばかりですみません。昨日の続きです・・・


  と言いつつ、そういえば今日は11月22日、「いい夫婦の日」ですね。もう死別
 者のオッサンには関係ない日なのですが、妻が居た頃はうちもいい夫婦だったかなぁ。
 思い出した。妻は「いい夫婦の日」に「ウチが見た目いい夫婦に見えるのは、ひとえ
 に私の人徳のおかげやで」と言い放っていました。まぁ、オッサンも概ね認めざるを
 得ないと思っています。なんせ、わがままできかん坊のオッサンを適当にあしらい?
 ながら、家のことを全て仕切ってくれて、オッサンが何一つ心配ないようにチャチャ
 っと段取りをしてくれていたからね。今更ながら感謝です。(もう遅いけどな。by妻)


  さて、では歌舞伎座での團十郎&新之助の襲名披露公演の続きです。
  昼の部は午後2時過ぎに終了したのですが、夜の部の開幕は午後4時、開場は3時
 20分ですので、1時間以上間があいてしまいます。既にお昼ご飯は幕の内弁当を頂いて
 いますので、ちょっと持て余してしまいます。あ、そうだ!(まさかアレか? by妻)

              

    はい、バレバレでした。😆 歌舞伎座から徒歩5分、銀座・三越のワイン売り場に
 併設された有料試飲バーで時間つぶしです。(ほんまにも~、ちょっと目を離すとコレ
 やからな~、相変わらず油断も隙もないわ~。by妻)
  一杯目はドイツ・ラインガウ地方の名門クロスター・エーバーバッハ(修道院が経営
 する醸造所)のリースリング種の辛口白です。辛口と言っても、少し甘めで酸味が強く、
 ちょっとオッサンの好みとは違う感じ。食事と一緒に味わうより単体の方がいいかな。
 まぁボトルで2,000円台ですので、コスパは悪くないけどね・・・


  そして二杯目は(何杯飲むつもりや、アホ!by妻)、やはり安心のブルゴーニュの赤。
 良心的な価格でブルゴーニュの良心と呼ばれているミシェル・グロさんの2019年の村名
 格(ちょっといいワイン)、ニュイ・サン=ジョルジュ地区のシャリオという特定畑名
 の付いたワインです。ボトルで8,000円ほどですが、一杯70mlで1,200円。お得です。
 そして品質は抜群。芳醇な香りが立ち上り、凝縮感がありつつも舌触りはシルキーで、
 渋くも苦くもスッパクもありません。ほのかに甘みを感じるほど。このクラスでもこの
 出来であれば、さらに上のクラス(1級畑や特級畑のワイン)はどんだけ凄いんや~と
 思わずにはいられません。(買えないから想像するだけやけどな・・・by妻)

    

・・・とまぁこんなことをしているうちに一時間経過。時間つぶしにはもってこいでした
が、また余計なお金を使ってしまったことに気づいたオッサン。アホかいな(by妻)。 


 スミマセン、ようやく歌舞伎座に戻ってきました。しかしオッサン、夜の部の開幕前に
することが一つあります。それは・・・

  昼の部の幕間に買おうと思っていましたが、既に売り切れていて買えなかった、コレ。

  歌舞伎座名物の「めでたい焼き」です。ダジャレ好きなオッサンが見逃すわけはあり
 ませんね。ましてや今回はめでたい襲名披露公演ですからね・・・しかし1個300円。
 まぁご祝儀だと思えばいいかな・・・そんなこと言って無駄遣いし放題やな。(by妻)
 できたてのアツアツで、尻尾の先まで餡子が入っていて大変美味しいです。しかも紅白
 の小さな丸餅も入っていて、食べ応え十分です。おやつにはもってこいですね。
  
  どうでもいいけど芝居はいつ始まるんや!(by妻)
  あ、スミマセン。どうでもいい話が長すぎですね。(それ、いつもやで。by妻)


  夜の部最初の芝居は、歌舞伎十八番の内「矢の根」です。これも市川宗家のお家芸の
 一つですが、主役の曽我五郎時致(そがのごろうときむね)を演じるのは親戚筋の松本
 幸四郎さんです。まぁほとんどストーリーのない、荒事の楽しい見せ場だけで成り立っ
 ている芝居ですが、娯楽性の高い演目です。
  親の仇を討とうと曽我五郎は、仇討ちに使うための大きな矢を家の中で研いでいます。
 その五郎が見た夢の中に兄である曽我十郎が現れ、「仇敵の工藤佑経(くどうすけつね)
 に捕らわれの身になった。助けに来てくれ」と訴えます。
  これは一大事、と飛び起きた弟五郎は、通りがかった百姓から馬を強奪し(ヒーロー
 がそんなことしたらあかんやん)、兄を救出しに飛び出します。

  なんともユーモラスなシーンです。馬の登場に、観客も大喜びです。
 ちなみに荒事のヒーロー役は、このように赤い隈取、カニの足のような派手な鬢(びん)
 そしてド派手な赤い着物というある意味では滑稽な扮装です。江戸時代のヒーローって
 こんなイメージなんでしょうかね。まぁウルトラマンみたいなものだったのでしょう。
 (ウルトラマンは農夫の馬を強奪はしませんが、その代わり怪獣との戦いでビルとかを
 壊していますよね・・・そんなことどうでもよろしい。by妻)


  そして最後は強奪した馬に乗って、鞭の代わりに大根をふるって、花道をさっそうと
 引き上げていきます。たったこれだけの話ですが、見ている分にはとても楽しいです。

     

  しかし、これが江戸時代のヒーローなんですね。(くどいで、オッサン。by妻)
  歌舞伎十八番の演目のうち1/3くらいが、このように内容はないけれど荒事の面白さを 
 見せてくれる演目なのです。江戸時代の庶民が求めていたものの一つなのでしょう。


  そして休憩の後、いよいよ團十郎&新之助の襲名披露の口上(こうじょう)です。
 これは襲名披露公演を見る楽しみの一つでもあります。・・・しかし、最初に口上を述
 べるはずの親戚筋にあたる歌舞伎界の大重鎮・松本白鴎(PCで正しい字が出てこなく
 てすみません)さんが、なんと体調不良により休演とのこと。どうも前日の11/19から
 だそうです。え~、がっかりだけど、仕方がないですね。もう80歳を迎えた白鴎さん、
 どうか早く元気になって舞台に戻ってきてほしいと思います。
  ということで本来は親戚筋の白鴎さんの役割であった、新團十郎&新之助をご紹介し、
 ご贔屓お引き立てをお願いする最初の口上は、先代團十郎の同級生で60年来の親友とご
 本人が仰っていた尾上(おのえ)菊五郎さんが、急遽代役として勤めを果たされました。
 團十郎さんの紹介では「かつては暴れん坊将軍といわれていましたが・・・」と言って
 客席の笑いを取るなど、ユーモアを交えながら口上の口火を切りました。
  その後、中村梅玉さん、片岡仁左衛門さん、一門の市川左団次さんが、先代團十郎の
 思い出を交えながら「あの時まだ小さな子供だった團十郎さんが・・・」ということを
 述べておられました。そして、新團十郎さんには歌舞伎界の発展のために努力してほし
 いとの注文を付けておられました。左団次さんは、真顔で?「團十郎さんのことは隅に
 追いやって、将来を担う新之助さんをぜひお引き立て賜りますよう」と冗談めかして?
 口上を述べていました。いろいろ言われている團十郎さんへの、諸先輩方の激励なので
 しょう。改めて市川團十郎という大名跡に求められるものの大きさ、大変さをひしひし
 と感じました。團十郎さんはもちろんのこと、9歳(先日の記事では間違えて8歳と書
 いていました、スミマセン)の新之助さんがこれから歩むであろう道も、決して平たん
 ではないと思われます。偉大な名跡の重圧や周囲の大きい期待(と願い)に負けないよ
 う、立派な役者に育ってほしいと誰もが思っているはずです。


  その後、團十郎さんと新之助さんの決意表明の口上です。團十郎さんはもちろんの事、
 新之助さんが立派に口上をやり遂げているのを見て、感無量になりました。天国のお母
 さまもさぞ喜んでおられ、誇りに思っていらっしゃることでしょう。


  そして最後は吉例により・・・團十郎襲名披露の〆は伝統の「睨み(にらみ)」です。
 大きな目を思いきり寄り目にして睨み顔をするのですが、これを見た人には無病息災が
 約束されるという縁起の良いものだそうです。
  菊五郎さんに促された團十郎さん、「ひとつ、睨んでご覧にいれまする!」

  うん、決まっているね! 客席の割れんばかりの大拍手の中、すっと幕が下りました。


  いよいよ残るは夜の部最後の演目、これまた歌舞伎十八番の内の一つ、團十郎さんの
 イメージにぴったり合う?のではないかと思われる当たり役「助六」が主役の大芝居、
 「助六由縁の江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」です。
 オッサンは先代の助六を(弁慶も)見ていますので、新團十郎さんの役も楽しみです。
 ・・・スミマセン、続きます。(三回も続くんかい!by妻)