Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

思い出の旅2007シチリア ㉕さらばシチリアの大地・・・そして長靴の足に向かうオッサンたち・・・

  今夜はシチリアの旅の続きです。(もう何が何だか訳ワカメやな。by妻)
 そうそう、先日寝室の書棚を整理していたら、このシチリア旅行で撮影したビデオ映像
 が入ったメモリカードを発見しました。
 (つぅか、そんな大切なものは、ちゃんとした場所に保管しておけよ。by妻)


  旅行ではデジカメは主に妻が、ビデオ撮影はオッサンの役割でしたので、ビデオ画像
 には妻の姿がたくさん映っていました。妻の行動を映した動画や、妻の声がはっきりと
 残っていて・・・ちょっとしんみりしました。久しぶりに見た妻の姿、久しぶりに聞い
 た妻の声・・・ああこの時はこんなに元気だったのにな・・・など と思ってしまって、
 しばしブログの更新が滞ってしまいました。
  ま、ちょっとここ数日は仕事がたてこんでいて、夜遅くなってしまったからね。


  ・・・気を取り直して・・・
  シチリア滞在6日目の朝、標高200メートルのリゾート地タオルミーナの町はずれの
 高台にあるホテルをチェックアウトし、タクシーでつづら折りの山道を下って海抜0メ
 ートル?の海辺にあるイタリア鉄道の駅まで向かいます。
  実はこのタオルミーナ・ジャルディーニ駅は、19世紀からリゾート地タオルミーナの
 玄関口としてリッチな観光客(当時はリッチな方でなければ観光なんてできなかったの
 ですが)で賑わっていたらしく、その当時のゴージャスな雰囲気が駅舎に残っています。

  駅舎内部の待合室、ホールの装飾が見事です。

  なんだか古き良き時代のイメージの残像と言う感じ。ベル・エポックか・・・
  天井の模様はかなり凝っていて、ちょっとした宮殿(パラッツォ)のよう。
 ちょっとした芸術品のような展示物もあって、ミニ博物館のような感じでした。 

  天井の模様もかなり凝っていて、美しい。ちょっとイスラム風の雰囲気です。

  アップにするとこんな感じ ↓ です。


  さて、この駅を9:50に出発するイタリア本土のローマ行きのIC特急列車ペロリタ
 ーノ号に乗車予定です。シチリア南西部のシラクーザが始発で、カターニャを経由して
 タオルミーナに到着するのですが、前日はこの時点で約2時間遅れていました。一体、
 どうやったら始発駅から3時間もしないうちに2時間も遅れるのか理解に苦しみますが、
 それこそがイタリアなのです。しかしそんなに遅れてしまってはこの後の予定が大幅に
 狂ってしまいますので、妻とオッサンは朝からヤキモキしながら、プラットフォームで
 列車を待ちました。
  
  列車を待っている間にプラットフォームから見える海をバックに写真を撮りました。
 妻はヨーロッパのビーチ・リゾートにあこがれていたようで、タオルミーナでの滞在は
 とても楽しかったようでした。オッサンもなんとなく、リゾート地でまったりするのも
 たまにはいいかなと思ったほどですので、妻もある程度は満足してくれたと思われます。


  定刻を少し過ぎた頃、駅のホームにアナウンスがあり、どうやらわずかの遅れで列車
 は到着するようです。良かった・・・2時間も遅れたらどうしようと思っていたので。
  こんな感じ ↓ で、電気機関車に引かれた客車でしたが・・・なんと3両?でした。

  オッサンたちはユーロパスの一等を持っているので、一等車を予約したのですが、
 なんとこの日の編成には一等車が連結されておらず、指定された車両は普通の二等車で
 した。え~、この日はこの列車に約7時間乗るから疲れないように一等車を選んだのに、
 なんだかめっちゃ損した感じです。(オッサン、プンプンだったで。by妻)


  実はこの列車、シチリア島南東部のシラクーザ始発の編成と、シチリア北西部の州都
 パレルモからの編成(こちらがメイン)があり、シチリア北東部のメッシーナの駅にて
 連結するのです。そしてメッシーナ海峡を渡って本土側に到着すると、イタリア半島の
 長靴の爪先にあるレッジョ・ディ・カラーブリアという町から来る編成とさらに併結を
 して、ローマに向かうという複雑な運行ルートを持つ列車なのです。たぶん、その日に
 よって予約状況を見ながら、列車の編成を変えているのだと思います。この日は一等車
 に乗るお客さんが少なく、「どうせユーロパスで乗る貧乏な日本人だけだから二等車に
 しておけ」、みたいなノリだったのでしょう。チクショー!(まぁまぁ。by妻)


  二等車とはいえ、コンパートメントタイプで、3席ずつの座席が向かい合わせの部屋
 になっており、日本のグリーン車くらいの余裕があります。座席はあまりゴージャスさ

 はないのですが、まぁ日本の感覚で言えば広くてゆったりしているので、まぁいいか。

  このコンパートメントは6席ありますが、妻とオッサンで独占ができました。車内の
 乗車率は50%以下だったと思います。まぁ例えばカターニャからローマだったら、この
 列車では10時間近くかかるのですが、飛行機ならば1時間半。空港まで行く時間を考慮
 してもトータルでは3時間程度ですから、少しお金に余裕がある方ならば飛行機の一択
 でしょう。一方で、メッシーナ海峡には橋がありませんのでバスの便がありませんから、
 節約旅行をするにはこの列車を使うしかないのです。
  ま、妻から「電車小僧」と命名されていたオッサンですから、10時間近く列車に乗る
 のは苦にはなりませんが、普通の方だったらパスしますよね~(私は毎回、こんな鉄道
 旅につきあわされてたんやで~ by妻。)


  さぁ、いよいよシチリアともお別れです。タオルミーナ=ジャルディーニ駅を静かに
 列車は出発します。客車列車は室内がとても静かなので、快適です。
  しかしオッサンは鉄っちゃんなので、じっと席に座っていられず、列車の最後尾から
 ビデオを撮影していました。(落ち着かないオッサンや。by妻)

  カタン、カタンと、レールの継ぎ目を通り過ぎるたびに旅情を感じる音?がします。
 シチリア島内の路線はすべて単線なので、しばらくすると線路は一本になりました。
 (なんや、「世界の車窓から」みたいなノリになってきたな・・・by妻)


  列車はすぐに海岸線すれすれのところを走っていきます。ウチワサボテンが見えます。
 それにしても本当に透明度が高くてきれいな海です。毎年、こんなところで泳ぎたいね。

  お、これはあの映画「グラン・ブルー」の舞台となったカーポ・ディ・タオルミーナ
 (タオルミーナの先っちょ)ではないでしょうか。崖の上に一流ホテル、その下の岩場
 に洞窟が見えます。ここで映画のロケをしたのだということです。ここは車でなければ
 行きにくいので訪問は断念しました。といいますか、ここに行くならばこの一流ホテル
 に宿泊するのが最適なのは間違いないですね。


  あ、オッサンたちが海水浴に行ったイゾラ・ベッラ(美しい島)がちらっと見えます。
 でもかなり高速で通過するので、うまく撮影できませんでした。

  しばらくすると海岸線に庶民的な海水浴場が見えてきました。タオルミーナの次の駅
 レトヤンニの町と、そのすぐ近くにあるビーチです。

n    

  シチリア島の東側海岸は、美しい海沿いのビーチが連なっています。これらのビーチ
 は日本で売っているガイドブックには全く掲載されていませんが、実はかなりいい感じ
 です。ヨーロッパではビーチは有料のところが多いのですが、このあたりは無料のよう
 で、海の家のようなもあって、一日のんびり過ごすには最適のようです。地元イタリア
 人(シチリア人)の海水浴客で、朝早くから結構賑わっているようでした。

  客車のデッキにも、この美しい海の風景を見ている人たちがいました。
  妻は、コンパートメントの座席で、日記を書いていました。揺れるのに・・・😆
 (私がこまめに日記を書いて残しておいたおかげで、こうやってオッサンが記事を書く
 ことができるんやで。私に感謝せなアカンわ。by妻) はい、その通りでございます。

  
  そして一時間ほど海岸線を北上すると、見えてきました! 太陽の光輝く海の向こう
 にイタリア半島の爪先部分が見えてきました。正確に言いますと「足の甲」の部分です。

  そしてほどなくシチリア半島の北東端、古代ギリシア・ローマの時代から栄えていた
 という、イタリア半島とシチリアを隔てる海峡の町メッシーナに到着しました。


  このメッシーナ中央駅(スタツィオーネ・チェントラーレ)に停車した後で、列車は
 パレルモから来る列車と併結しました。パレルモからの車両が6両、こちらには一等車
 があるようです。そしてオッサンたちが乗って来たシラクーザ始発の編成は二等車のみ
 の3両。合計9両編成になりました。
  その後列車は徐行しながらさらに先に進みます。そこにはメッシーナ・マリッティマ
 (メッシーナ港)という停車場があります。え?この後はどうなるのでしょうか・・・

  なんと、このメッシーナ港の停車場に隣接して大きなフェリーの船着き場があります。
 列車は徐行しながら、船着き場に向かいます。そこには大きな口を開けた?フェリーが
 待ち構えています。え?まさか?・・・
  列車から下車することはできませんでしたので、ずっと車内に閉じ込められたままで
 したが、この列車がまるごとフェリーの船底に積み込まれていくのですよ。ウソ~😨


  しかしですね~ フェリーのサイズよりも9両編成の列車の方が長いので、一度には
 列車がフェリーの中に納まりません。なんと、最初は9両編成だった列車を何回か往復
 して3両ずつ3回に分けて収納するのでした。オッサンたちが乗ったのは最後尾なので
 都合3階も出たり入ったりを繰り返しました。その間、冷房は切れているので蒸し暑い
 車内で約30分程待つことになりました。
  この写真 ↓ は、まさしくフェリーの船底に列車が入っていくところなのです。そう、
 つまりメッシーナ海峡を列車ごとフェリーに収納して、渡っていくというわけです。
  いや、こんなことしないで、人だけ乗り継いだらえぇんちゃうん?かつての日本では
 津軽海峡の連絡船も、本州四国の連絡船も、いったん乗客は列車を降りて船に乗り換え、
 対岸に着いたらまた別の列車に乗り換えていしました。その方が効率的で、所要時間も
 短くて済みますよね・・・しかしヨーロッパ人の考えは違うようです・・・ 

  そうなのです。これは乗客にとっては列車に乗ったまんま、荷物まで含めて終点まで
 運んでもらえるので楽なのですが、その代償は時間のロスです。
  約30分間かかって9両編成の客車を3つに分割してフェリーに収納します。あれぇ?
 こんなことをするくらいならメッシーナ中央駅で6両編成と3両編成の客車を併結する
 意味がないような気がします。先に到着していたパレルモ編成は先にフェリーに収納し、
 シラクーザ編成3両はあとからそのままフェリーに格納する方が合理的です。
  イタリア人のやることは意味不明なことが多いような気がします。(失礼)
 冷房が切れたムシムシする車内で妻はしきりに「暑い~」と言いながら持ちこんでいた
 日本の団扇を仰いでいました。😆 

  さて、ようやく列車の全編成がフェリーの船底に収納されると、車両のドアが開いて
 乗客が客車の外に出られるようになりました。もちろん必ず出なければならない訳では
 ないので、車内に残る方もいましたが、妻もオッサンも暗い船底で30分以上過ごす気は
 ないので、階段を登ってフェリーの甲板に出ることにしました。荷物がちょい心配では
 ありますが・・・


  さぁ、船の甲板(デッキ)に出ました。うわぁ、眺望は360度です。海の上にいるの
 ですから当然ですね・・・ シチリアの最後の映像は、メッシーナの町の風景です。
 これで本当にシチリア島ともお別れです。名残惜しい・・・

  港の出入り口にメッシーナのマドンナの金色の像がそびえています。


  さぁいよいよ出航です。列車だけでなく、乗用車やトラックもたくさん運ばれていく
 ようです。しかしこの乗り継ぎにはかなりの時間を要しました。時刻表でも所要40分、
 この時はそれをはるかにオーバーする時間を要しました。メッシーナ・マリッティマ駅
 を出発する時刻からは既に50分近く遅れてしまいました・・・やっぱりここはイタリア。
 妻も眉間にしわを寄せていました。しかし写真を撮る時にピースをする人は、昔の人だ
 とすぐにバレますね。😆 
 (オッサンは同世代のくせして、ピースのポーズを全くせぇへんかったけど、平和主義
 者やないっつぅことやな・・・by妻)

 

  さて、船の上は風が心地よく、気持ちが良いのでデッキにずっといました。船内には
 バール(立ち飲み喫茶&軽食屋)もありましたが、大混雑でした。オッサンは二人分の
 エスプレッソを注文し、デッキのベンチに座って海風に吹かれながら妻と飲みました。
 うーん、最高でした。イタリアのエスプレッソは蒸気でプシューッと抽出するのですが

 もうこれを飲んでしまうと日本ではコーヒーが飲めなくなってしまう・・・

  フェリーの旅は約30分。遅れを少しでも取り戻してほしいのですが、船はやっぱり
 マイペース。まぁ後のことは仕方ないので、ゆっくり船旅を楽しむことにします。
 7時間も列車の中にいると鉄ちゃんのオッサンでもさすがにしんどいですが、こうして
 途中で船に乗って開放的なデッキで寛ぐことができるのは楽しいです。
  このフェリーは国内線なので免税店などはありませんが、国際航路であればお買い物
 (冷やかし)も楽しめますので、時間に追われるバタバタ旅行でなければ、こうした船
 の旅を行程に入れるのも変化があっていいのかもしれませんね・・・


  さて、ここまで続けてきたシチリアの旅、次回からはシチリアではなく「南イタリア
 の旅」となります。行程はあと3日間ですが、もうしばらく続きます。スミマセン。