Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2023年10月:晴れの国岡山の旅 ⑯大原美術館で名画を鑑賞しました・・・

  昨日はプロ野球の阪神ー巨人OB戦の記事をつらつらと書いておりましたが、あの試合
 をご覧になった方、ニュースで見られた方もたくさんいらっしゃたようですね。やはり
 話題になっていたようです。妻にも見せてあげたかったなと、後になってしんみりして
 しまいました。妻がいたら、今の現役選手を見て何て言うかな~、どんな失礼なあだ名を 
 つけたかな、なんて考えてしまったりして・・・(そこかい!by妻)
  ※ちなみに岡田監督は「カンビ(藤山寛美さんのこと)」、今岡誠さんは「ボン」、
   能見投手は「若旦那」、ブラゼル選手は「ヘンリー(英国王ヘンリー8世に似ている   
   ため)」、矢野選手は「ウリワリ(出身地が大阪の喜連瓜破なので)」など言いたい
   放題でした。(アホ) 赤星などの足の速い選手は、「ちびっ子軍団」なんて失礼な
   ことを言っていましたわ・・・


  おっと、この調子ではまたプロ野球ネタで終わってしまいそうなので、やめにします。
  今夜は、昨年秋の岡山の記事を続けます。

     


   まずは本館の、この美術館の誇る西洋美術のコレクションから鑑賞します。数日前
  のブログでクドクドと書いてしまいましたが、創設者の大原孫三郎さんの指示により
  画家児島虎次郎がパリで買い求めた一流の芸術作品が目玉なんですよね。
   はい、いきなり出ましたよ~

     

  ギリシア生まれでスペインで活躍した宗教画家のエル・グレコ(ギリシア人)さん
 の受胎告知です。本名はドメニコス・テオトコプーロスさんというのですが、あだ名
 であったエル・グレコの方が通りが良いですね。16世紀末、スペイン王国がヨーロッパ
 や新大陸で圧倒的なパワーを発揮していた頃ですね。いわば「16世紀の米国」でしたの
 で世界中から一旗揚げようとした芸術家が集っていたのかもしれません。
  GWに訪れた本場スペイン・マドリードの美術館には、この方の作品がたくさん展示
 されていて、その質と量に圧倒されたのですが、なんと遠く離れた東洋の日本にもこの
 ような作品があったとは! 児島虎次郎さんがどうやって手に入れたのかと思って図録
 の解説を見ますと、たまたまパリの画廊で見つけ、日本にいたパトロンにお伺いを立て、
 大原孫三郎さんが二つ返事でOKを出したため購入できた、と書かれていました。これは
 まさしくホームラン級の大仕事でした。ナイスな連携プレイです。😆
  この劇的な表現力、緊張感のある構図、まさにエル・グレコさんの作品そのものです。
 ガラスケースの中にあり、写真撮影禁止でしたが、有難く鑑賞させて頂きました。
  (※注 本ブログの写真は、すべて購入した図録の写真を借用しています。) 


  続いては、留学中の虎次郎さんが比較的入手はしやすかったと思われる、フランス・
 印象派の画家たちの作品です。19世紀後半ですから、ほんの少し前の時代ですね。
 印象派の先駆者の一人、エドゥアール・マネさんの「薄布のある帽子の女」です。児島
 虎次郎が購入した頃には、マネさんは既に一定の名声を博していたと思いますので、
 それなりの投資が必要だったと思います。マネさんらしい人物画で、確かに印象派にも
 通じる特長をもっている作品のようです。ただし彼は印象派の画家とはあまり交流せず、
 一線を画していたようで、孤高の存在という感じです。

     


  そしてルノワールさんとともに印象派の一丁目一番地、日本でも大人気のクロード・
 モネさんの作品も当然コレクションされています。しかも著名な「睡蓮」の連作。この
 絵は図録の表紙にも掲載されていて、この美術館の代表作の一つのようです。

  自慢するようで恐縮ですが、オッサンは過去(2015年)にフランス北部ノルマンディ
 地方のジヴェルニにあるモネさんの終の棲家を訪れ、この絵の描かれたモネさん宅にある
 睡蓮の池を見学しました。そこでインスピレーションを得て、彼はこのような絵を描いた
 のですね。いや、このような絵を描きたいと思って、自分ちの庭に日本庭園と睡蓮の池を
 造ったということのようですね。


  そして後期印象派を代表する画家、ポール・セザンヌさんの「水浴する裸婦たち」も
 あります。これも画家がこだわって何度も描いた題材ですが、ラフで粗雑にさえ見える
 タッチと大胆な色の配置(塗り残しじゃないのというほどのラフさ)が、冒険的です。
 しかし、それゆえに一目でセザンヌさんの作品とわかりますね。

  そして、有名なポール・ゴーギャンさんがタヒチで描いた「かぐわしき大地」です。
 これも有名ですね。異国趣味がもてはやされた世紀末のパリ、ヨーロッパでしたので、
 きっともてはやされていたと思います。東洋の、しかも絶海の楽園タヒチは、実は今に
 至るまでフランス領なんですよね~ フランス人はパスポートなしで行けるのかな?

     


   続いては、ノルウェーの国民的画家ムンクさんの作品。これまた有名なシリーズ、
 病的な「マドンナ」ですね。これも一度見たら忘れられない作品の一つです。 

     

 
  そしてオッサンが秘かに気になっているフランス人画家ルオーさんの作品「道化師の
 横顔」です。1930年頃の作品(児島虎次郎の同世代)ですが、なんともいえない静かな
 迫力があります。まるで「青の時代」のピカソを、さらに大胆な構図と配色に発展させ
 たような感じです。ジョルジュ・ルオーさんは、若くて貧しかった頃のピカソのような
 生活を送っていたのでしょうか。確かにスポットライトを浴びるようなタイプではない
 ように思います。(余計なお世話や。by妻) 

     


  そしてこれまたオッサンが気に入っている、野獣派(フォービスム)の代表的画家の
 アンリ・マティスさんの作品。ん、この景色はどこかで見たことがあるぞ。そうです、
 印象派の画家たちが好んで描いたノルマンディーだかブルターニュの海岸風景、エトル
 タの崖ですね。象さんの鼻のような浸食された岩ですが、なんだか沖縄の万座毛みたい
 な感じですね。😆(そんなんフランス人に言うても通じへんで。by妻)

 


  そして19世紀末、エコール・ド・パリ(パリの(華やかなりし)時代)と呼ばれた頃
 のパリに集ったボヘミアンたちの作品・・・
  その代表作の一つがイタリア出身のアメディオ・モディリアーニさんです。これも、
 一目見ただけで彼の作品とわかる特徴的な絵ですね。まるで近現代のマニエリスムだと
 いう感じです。(人体をデフォルメして長く引き伸ばしたような画風です。)

     


  そうしたボヘミアンの中から、時代を変えるような天才が出現したのでした・・・
 やはり、パブロ・ピカソさんの作品も入手されていました。ただし、まだ「ぶっ飛ぶ前」
 のキュビスム的な、かつ輪郭がはっきりしていた頃の穏やかな?作品ですけどね・・・
 「鳥かご」と名付けられた作品。それを見つめる女性も、鳥かごの象徴なのかも・・・
 (そら、拡大解釈のしすぎちゃうか? by妻)


  そして、ちょっと弱い作品ですが、シュールレアリスムの創始者?マルク・シャガール
 さんの作品もありました。タイトルは「恋人」なんだって。見つめているロバは何?

     


  そして妻の大好きだった、抽象画家の大家ワシリー・カンディンスキーさんの作品
 も当然ありました。タイトルは「先端」ですと。まじめにやりましょう!😆
 (オモロイからえぇやんけ。by妻)

     

  
  どんどんいきますよ。これはイタリアのシュールレアリスム画家、ジョルジョ・デ・
 キリコさんですね。これも典型的な作品なので、もう見ただけでわかります。   

     


  もう一つ、妻が大好きそうな作品。スペインのホアン・ミロさんの作品。楽しい!


  一つ一つ解説をしている暇がない程、素晴らしい作品が目白押しです。しかも、近代
 の西洋美術史の主要な画家を網羅しているのがスゴイ。おそらく、優れた西洋美術館を
 造りたいという大原孫三郎さんの意図を、才能ある洋画家の児島虎次郎さんがきちんと
 理解していたからだと思います。虎次郎さん、作品探し、購入作品選び、お金の工面と
 大変なプレッシャーだったと思いますが、見事にやり遂げましたね。
  そしてもう一つ素晴らしいのは、既に評価の定まった作品だけではなく、先ほど紹介
 したルオーさんなど、画家児島虎次郎と同世代の芸術家の作品もGETしていたことです。
 先を読む力、も児島虎次郎さんは十分持っていたのですね。そして、そのような才能を
 持つ男を見出し、ほぼ全面的に支援した大原孫三郎さんの胆力も素晴らしいです。
  何度も繰り返して恐縮ですが、この二人の連携なくして、この美術館はあり得ません
 でした。仮にできたとしても、このように人気を博すことはなかったでしょう。


  最後に児島虎次郎さんの代表作(これも大原美術館の宝です)を二つご紹介します。  
 西洋人の女性に日本の着物を着せて描いた絵です。人物の表情、特に目を鋭く観察して
 絵の中に再現することにかけては、もう天才としか言いようがありませんね・・・

    


  こちらも西洋人のお子様のあどけない表情をスナップ写真のように切り取った絵で
 すね。どちらもパリ留学中の作品かと思いますが、日本に持ち帰ってきたところ
 を見ると、本人も気に入っていた作品なのでしょうね。(いや、単にパリでは売れな
 かったんちゃう?by妻。)
   


   ともあれ、改めて有難うございます。大原孫三郎さん、児島虎次郎さん。