Bonne(ボンヌ)のブログ

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2024年GW:スペイン・フランスの旅 ㉝ バスク地方の中心都市ビルバオへ・・・

  今夜はスペインの旅の続きです。
  スペイン中部カスティーリャ地方の小都市セゴビアの短い観光を終えて、朝早くから
 鉄道の旅となりました。イマイチあてにならないスペイン国鉄renfe(レンフェ)ですが
 マドリード発ビルバオ行きの特急電車は時刻通りにセゴビア駅に到着しました。
  そう、目的地はオッサン憧れのスペイン北東部にある独自の文化を持つバスク地方の
 中心都市ビルバオ(バスク語ではビルボ)です。本当は、その先にある世界的に有名な
 バスク地方を代表する観光地サン=セバスチャン(バスク語ではドノスティア)に行き
 たいのですが、かつてはあった朝の時間帯のマドリードからの直通の特急電車が廃止と
 なったため、やむなくビルバオ経由で行くことにしたのです。つまり、ビルバオは当初
 の訪問予定にはなかったのです。とはいえ、どうせ行くなら少しはビルバオも見ておこ
 うと思い、スケジュールを組みなおしました。


  セゴビア・ギオマール駅を7:45に出発したビルバオ行き特急電車は、スペインの
 中部カスティーリャ地方の乾いた大地(盆地)を疾走します。

2024年4月30日 セゴビアからビルバオまでの列車の旅①
   
  スペインやフランスはヨーロッパの中でも比較的国土が広く、車窓風景も大陸的と
 申しますか、のびのびとした感じですがやや単調な車窓風景です。
  オッサンが予約した特急電車の1等車(日本で言えばグリーン車)は横1×2の3列
 で日本の新幹線のグリーン車よりゆったりしていますが、座席はやや硬めで長時間の
 乗車では少々疲れます。車内環境はドイツのI.C.EやフランスのT.G.V、日本の新幹線の
 グリーン車の方が快適かなと思います。それにしてもガラガラで、乗車率は10%。
  マドリードからビルバオに列車で行こうと思うと5時間強ですので、急ぐ人は飛行機
 で、安く上げたい人は高速バスに流れているのかもしれません。だとすれば、もう少し
 快適なシートで優雅な旅を提供すれば競争面ではいいんじゃないかな、レンフェさん。

  新たに建設された高速新線を走りますので、電車は時速200km以上で快適に飛ばして
 いきます。しかし、高速新線はカスティーリャ地方の北のはずれにあるブルゴスまで。
  ここまではなんとセゴビアから二時間もかからないのですが、この先の在来線に入る
 と極端にスピードダウンします。ちなみに高速新線はヨーロッパに共通の「標準軌」と
 呼ばれるレール幅(新幹線も同じ)ですが、在来線はそれよりもレール幅が広い「広軌」
 を採用しているので、スペイン国鉄はその両方を走ることができるように「レール幅を
 調整する装置」を開発しました。ブルゴスの駅を出発してすぐ、オッサンの乗った列車
 はこの変換装置をゆっくりと通過して、自動的に車軸の幅を変更して在来線のレール幅
 に合わせていくのです。これは鉄チャンにはとても興味深いシーンでした。でも電車に
 乗っていると、短いシールドの間を抜ける間にガクンと音がするのがわかるだけです。
 日本の新幹線と在来線もレール幅が違うので、この技術を採用すれば新幹線と在来線を 
 ハイブリッド車両が直通できるのでいいと思うんですが。例えば長崎新幹線の佐賀県内
 区間は在来線のままで、ハイブリッド車両を走らせればいいのでは・・・

 ちなみにスペインのレール幅が標準軌ではないのは、かつてナポレオンのフランス

 に侵略されたことからその防止のためだそうです。


  そして、ブルゴスから少し先に行ったところにあるカスティーリャ地方とバスク地方
 の境界にあるミランダ・デ・エブロ駅からは、いよいよバスク地方に入ります。

  スペインは地中海沿岸の南部と、首都マドリードを中心とする乾燥した盆地・大地の
 中部と、大西洋に面した比較的湿潤で緑の多い北部海岸沿いに大きく分かれます。北部
 沿岸地方と中部(カスティーリャ地方)の間には、標高は高くありませんがまるで壁と
 なるような山脈が東西に走っていますので、大西洋に面した北部のバスク地方に向かう
 には、この山岳地帯を越えていく必要があるのです。 
  ミランダ・デ・エブロ駅を過ぎると景色は一変し、山越えの区間に入ります。在来線
 であることに加え、かなり昔に敷設された山越えルートはトンネルで一気に山をぶち抜
 くようなことはなく、線路は等高線に沿って(自然に逆らわずに)クネクネと曲がりな
 がら敷設しているので、スピードは遅く所要時間もかなりかかります。日本でいえば、
 中国地方の山越えルートのような感じです。
       ギザギザの山が見えてきたと思ったら、あの山に少しずつ近づき、この山の間をすり
 抜けるように列車はゆっくりと走っていきます。 

2024年4月30日 バスク地方に向かう


  だんだん変化していく車窓風景に見とれて、一番山深く楽しいところを通過する場面
 を動画に撮り忘れてしまいました・・・(アホ) せめて写真だけでも・・・

  そうそう、この区間は単線ですので列車の行き違いもあり、少し遅れてきました。
 ビルバオの到着時刻は12:00頃の予定ですが、11:30を過ぎてもまだ山越えの途中です。

  12:00少し前になって、緩やかな下りとなったようで列車は少しスピードを取り戻し
 ます。いつの間にか単線から複線に戻り、対向車線に頻繁に電車が通るようになりまし
 た。どうやらバスク地方の中心都市ビルバオの郊外にたどり着いたようです。
  そして予定時刻よりも20分程遅れて、終点のビルバオ・アバント駅に到着しました。
 約5時間の旅。電車に乗っているだけでしたが、少々疲れました。

  ビルバオ・アバント駅はヨーロッパのターミナル駅によくあるドーム型の行き止まり
 式の駅でしたが、さほど大きくはないので戸惑うことはありません。長距離列車だけで
 なく近郊電車も発着するので便利なのですが、オッサンはひとまず改札を出ました。
 そう、この駅は改札口があるので治安面でも安心なのです。あ、そういえばマドリード
 もそうだったよな・・・スペインは経済が好調で治安が回復しつつあるのですが、こう
 したハード面の対策も寄与しているのかもしれません。日本では当たり前ですが、欧州
 の駅はこれまでは改札がなく。誰もが入ることができるので怪しい人たちがたむろして
 いてよからぬことが頻発していたと聞いています。平和と治安は、政治の責任ですが、
 簡単にできることではないので、スペイン政府や地方自治政府の努力の賜物でしょう。


  あ、ビルバオ駅の出口には、ステンドグラスのようなものがありました。バスク地方
 の労働者を描いたもののようです。この辺の感覚が、スペイン中央政府から自治を勝ち
 とったバスク地方の特徴なのかもしれません。

  なんだか大都会マドリードとは違う、ちょっと楽しい地方都市のノリが感じられます。
 決して観光都市ではなく、かつてはスペインを代表する重工業都市でしたが、その産業
 の衰退によって一時はかなりさびれた町になっていました。しかし、その後の画期的な
 施策により活気が蘇り、今では「ちょっと気になるユニークな街」として復活している
 という感じです。(なんや、その画期的な施策っちゅうのは・・・by妻)


  しかしオッサンは、このビルバオには2時間ほどの滞在しかできないので、荷物を持
 ったまま(大きなトランクをゴロゴロと転がしながら)、この魅力的なビルバオの街を
 散策することになります。日程に余裕があれば1泊してじっくり観光したいところです
 が、この日のうちにサン=セバスチャン入りして少しは観光したいと思っていますので
 午後2時半のバスに乗らなくてはならないのです。あ、電車が遅れたので正味一時間半
 しかありません。荷物を預る時間も勿体ないので、そのまんま街に繰り出します。
 (ホンマにオッサン、少しは考えて予定を組んだ方がえぇと思うで・・・by妻)


  ということで、次回は荷物を抱えたままの1時間半のビルバオ観光です。😆
 (いや、笑うとこちゃうで。by妻)