ボナ・ファイド(Bona Fide)・・・
なんですか、一体?
Bona Fide(ボナ・ファイド)とは、ラテン語で「善い行い」「誠実な振舞い」という
意味だそうです。昨日のプロ野球の試合で、意外にもこのような言葉が出てきました。
プロ野球のルールに「ボナ・ファイド・ルール」というものがあるんだそうです。
つまり、「誠実な振舞いではない」とみなされたプレイにバツが与えられるというもの
だそうです。正確には悪い行い、非紳士的な振舞い=マラ・ファイドを防止するための
規則ですね。そのルールが適用される珍しいシーンがありました。
甲子園球場での交流戦:阪神タイガース対オリックス・バファローズの関西対決第一
戦、タイガースの村上投手とオリックスの東投手の息詰まる投手戦で0-0の緊迫した
ゲームでしたが、援護をもらえないまま両先発投手が降板した後の八回表にその事件が
起きました。
・・・ただその前に伏線となる痛ましい出来事がありました。オリックスの先頭打者
廣岡選手の放った強烈な一打が、タイガースの二番手で中継ぎの要:石井投手の側頭部
を直撃してしまったのです。オッサンは、ちょっとテレビの前から離れていてその瞬間
を見ていなかったのですが、テレビから歓声ではない、ただならぬ声が聞こえてきたの
でテレビの前に戻ると、石井投手がマウンドで倒れて動かない様子が目に入りました。
タイガースナイン、両軍ベンチ、場内の観客も静まり返り、駆け付けたチームドクタ
ーの指示で石井選手を動かさないように固定して、慎重に担架で運んでいくのを見守っ
ていました。頭を打球がライナーで直撃ですからね、防御する暇もなかったはずです。
選手生命に影響が出かねない危険な状況と思われました。タイガースファンならずとも
心配で仕方がなかったはず。試合後の藤川監督のインタビューでは「意識はあるが、念
のため病院でCTを撮っている」とのことでした。命に別状がなかったのは良かったです
が、頭=脳ですから、後遺症を含めて石井選手の体に影響がなければいいのですが・・・
タイガースにとっては8回のクローザーを任せる貴重な投手ですから、彼がいないの
ではものすごく大きな痛手です。しかし、そんなことよりも石井投手がまずは無事で、
野球選手として少しでも早く復帰できるよう、心よりお祈り申し上げます。
・・・そして、その後です。投手強襲内野安打で出塁した廣岡選手、もちろん彼には
なんの責任もありませんので、この時点での彼へのヤジは筋違いですが、彼はこの後で
とんでもないことをやらかしてしまうのです。
次打者のセカンドゴロで、廣岡選手はあえなく二塁フォースアウトになりますが、
その後に、なんと捕球したタイガースの遊撃手小幡選手と交錯してしまうのです。両者
ともにもんどりうって倒れ込みました。この間に、打者走者は一塁セーフとなりました。
再び甲子園球場が不穏な空気に包まれます。小幡選手のアピールにより、藤川監督が
審判にリクエスト(ビデオ判定の要求)を出しました。その理由は・・・
廣岡選手が二塁ベースではなく、ダプルプレイを防ぐために遊撃手の小幡選手の足を
めがけてスライディングタックルし、小幡選手を転倒させて一塁への送球を妨害しよう
としたのです。このことは、テレビでも場内のモニターでもはっきりわかりました。
一つ間違えば、小幡選手も大きなケガを負う危険がありました。
これを見て甲子園球場のタイガースファンのボルテージがさらに上がります。そして
ビデオ映像を確認した後に出てきた球審により、「ボナ・ファイド規定により、悪質な
走塁妨害とみなし、セーフとなっていた一塁走者もアウトとする」ことが宣告されまし
た。廣岡選手がこのようなことをしなくても、一塁は悠々セーフだったのですが、結果
として廣岡選手の「余計な努力」が、ダブルプレイを招いてしまいました。タイガース
はこれでピンチを脱出することができました。オッサンも妥当な判定だと思います。
さらに球審は追い打ちをかけるように「廣岡選手に警告を与える」と宣告しました。
野球では珍しいイエローカードであり、おそらくこれによりオリックス球団は何らかの
対応を迫られることになるでしょう。一昔前に話題になった某大学アメフト・チームの
ような「組織的な対応」ではなかったことの釈明、廣岡選手のプレイも故意ではあった
にせよ、相手を傷つけるのが目的ではなく味方のチャンスをつぶさないようにしようと
の思いでとっさに行動しただけだろうとは思いますが、釈明が求められるでしょう。
一部のタイガースファンは、廣岡選手に「石井投手をあんな目に遭わせた上に、さら
にこんな悪どいプレイをするとんでもない奴」というレッテルを張り、個人攻撃をエス
カレーションさせる輩もいますが、石井投手のことは故意ではないので切り離して考え
なければいけません。気持ちはわかりますが、タイガースファンの品格を貶めるような
ことはしないで頂きたいと思います。
(それは「おまゆう(お前が言うか?)」ちゃうん?by妻)
それにしてもプロ野球選手というのは命がけの仕事だという事、そしてプロは観客を
楽しませるために存在するのですが、そのプロセスはなかなか難しいなということを、
改めて感じさせられたオッサンです。
この日の試合をサヨナラ勝利で飾ったタイガースですが、そうでなければ遺恨試合と
なったでしょう。オリックスの岸田監督以下も、石井投手のことを気遣った発言をされ
ていますので、ファンは変な方向にヒートアップせず、プロ野球のすばらしいプレイを
楽しむことに集中したいものです。第二戦の先発は大竹君と宮城君。超一流同士の対戦
ですから、また白熱した息詰まる試合を見たいものです。
・・・ちょっと居心地の悪い内容になってしまいましたので、話題を変えます。
これこそが、「ボナ・ファイド」ではないでしょうか・・・
6月5日(木)のエスコンフィールドで行われた、北海道日本ハムファイターズと、
阪神タイガースの第三戦。タイガースの勝利を決定づける4番・佐藤輝明選手の超特大
100号記念アーチが飛び出した後のことです・・・
大歓声の中をホームインした後、手渡された「100号記念」のパネルを掲げて歓声を
浴びていた佐藤選手が、急に帽子を取って一塁ベンチ方向に頭を下げたのです。ん?
一瞬のことでしたのでテレビではよくわからなかったのですが、スポーツ新聞の記事で
真相がわかりました。
あのお辞儀は、日ハムベンチの新庄監督に対してなされたものだったようです。
「打った瞬間」の、美しい放物線を描いてライトスタンド上段に突き刺さる見事なアー
チを見た敵将は、ベンチを飛び出してスタンディング・オベージョンをしていたという
ことです。(おいおい、自分とこのピッチャーが打たれてんねんで・・・by妻)
そして、それを見ていた藤川監督が佐藤選手に合図を送り、佐藤選手も素早くそれを
察してあのような行動に出たということです。
いい話じゃありませんか~ 新庄監督も阪神タイガースOBではありますが、決して
エコ贔屓ではなく、純粋にプロ野球選手として素晴らしい、称賛を贈りたいという気持
ちの表れだったのでしょう。新庄監督は現役時代から、何かとド派手で目立ちやがりの
「チャラ男」キャラのように思われている方も多いと思いますが、彼はそんな中身のな
い男ではありません。そうでなければ、いくら人気があると言ってもプロ野球の監督を
何年も続けられるはずがありません。しかも、今年はパリーグ首位に立っているのです。
新庄監督は、「共感力」というのか、人の心を掴むのが上手いんだと思います。それ
も、相手におもねるのではなく、自分の主張を貫き通しながらですからね・・・指導者
としても只者ではないと推察します。
新庄監督は、「セ・リーグもパ・リーグも関係ない。みんなでプロ野球を盛り上げて、
お客さんに楽しんでもらおうじゃないか!」という気持ちでグラウンドに立っているの
でしょう。これぞボナ・ファイド!
(でも打たれたピッチャーが可哀そうやから労ってあげな。by妻)
(そこはちゃんとフォローしていると思うで・・・byオッサン)
おまけ・・・
なんと、「ボナ・ファイド」という名前のワインがあるんです。
オッサンも購入してしまったほど、評価の高い南アフリカの赤ワインです。
「クリスタルム」という一流生産者が造るピノ・ノワール、すなわちブルゴーニュ・
タイプの赤ワインです。日本人好みのテイストなのでしょうか、日本でも(一部の方々
に)大人気のため、なかなかお目にかかるのが難しいのですが・・・
自分の作るワインのトップ・キュヴェに、「ボナ・ファイド」と名付ける心意気から
して、優秀で誠実な生産者であることがわかります。オッサンはこの生産者のワインは
普及品のピノ・ノワールとシャルドネしか飲んだことはなく、このボナファイドともう
2つある特別な畑のワインをストックしております。普及品でも気品があって滋味溢れ
るいいワインでしたので、「ボナ・ファイド」を開けるのが楽しみです。10年後かな。
(なんだかんだ言って、結局「締め」はワインかい。by妻)

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