今宵は木挽町で・・・
4連休の2日目は、かねて予約していた芝居見物に木挽町へ。(またかいな。by妻)
今月の演目は通し狂言「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」です。
大作です。今年は興行元の松竹130周年記念ということで、普段はなかなか上演される事
のない「通し狂言」の演目が組まれています。仮名手本忠臣蔵、義経千本桜と並んで有名
な演目ですね。昼の部と夜の部を通して鑑賞するといいのですが、お金と時間が足りない
オッサンは夜の部の後半だけを鑑賞しました。
いずれも単体で上演されることが多い演目ですが、通して鑑賞できるチャンスは滅多
にありませんので有難いです。ストーリーの流れと全体像が把握できるからです。
この演目は平安時代の実在の人物、菅原道真公をモデルとした物語ですが、前半部分
で本人(菅丞相)は敵方藤原時平(実在の人物ですが芝居では「しへい」と呼びます)
の讒言のために九州の大宰府に左遷されてしまうため、オッサンが鑑賞した後半部分で
は主役の本人が登場しないのです。ガーン。ま、知っていましたけれどね。
ということで後半部分は菅丞相を取り巻く人々のドラマが中心となります。
今夜の席は二等席。一階席の後方で、上に二階席が被さっていますが、正面なので
舞台が良く見えます。「宙乗り」以外は完璧に見る事が出来ますので、お得です。
一幕目は「車引(くるまびき)」です。菅丞相に恩のある三つ子の3兄弟、しかし、
その一人の松王丸は仇敵藤原時平の家臣となっており、残る二人(梅王丸と桜丸)とは
激しく対立します。左遷された菅丞相の無念を晴らそうとする梅王丸と桜丸が、時平を
乗せた牛車が通るのを見て襲い掛かろうとするところを、松王丸が阻止するというだけ
の単純で短い(約30分)話ですが、見栄えのする舞台なので人気があります。
写真は筋書に載っていたものを転載させて頂きました。配役がすごいのです。
中央後方で睨みを利かせている悪役の藤原時平は、大御所松本白鴎(正しい字が変換
できないので悪しからず)さん、その前で見えを切る松王丸は息子の松本幸四郎、そし
て右手前の梅王丸はお孫さんの市川染五郎さんです。なんと高麗屋3世代の競演ですね。
この「車引」はストーリーは大したことがないですが、江戸歌舞伎の「荒事」の見せ場
として楽しい舞台となっています。隈取や衣装の色で味方(赤)か敵方(青)かが判別
できるようになっています。
幕間(まくあい)には、歌舞伎座名物の「めでたい焼き」を頂きました。大人気なの
ですぐに売り切れてしまいますから、休憩時間になったらすぐに3階の売場に突進しな
いといけません。なんとかGETできました。ひとつ400円もするのですが、餡子が尻尾
までぎっしり詰まっていて、さらに紅白の小さな丸餅が入っているのです。
二幕目は「賀の祝(がのいわい)」。そのタイトルとは裏腹に、切なくも悲しい舞台
となります。3兄弟のおとっつぁんの70歳の誕生祝の日なのですが、菅丞相左遷のきっ
かけを作ってしまったことを悔い、桜丸が切腹をしてしまうのです。思わずもらい泣き
しちゃいますよ。
クライマックスの第三幕「寺子屋」までの間の休憩時間に、急いでお弁当を頂きます。
歌舞伎座地下のお弁当売り場で購入した「鯛めし弁当」です。明治座のお弁当らしい
のですが、歌舞伎座でも販売しているようです。高い(1,980円)ですが美味しいです。
第三幕の「寺子屋」はこの狂言の中で最も上演回数が多い傑作です。主君への忠義の
ために我が子を犠牲にするという泣けるストーリー。この芝居の主役は松王丸であった
のかと思わせる程です。悪人藤原時平に仕える「悪」を演じていた彼が、実は菅丞相へ
の忠心を持ち続けていて、最後の土壇場で菅丞相の息子の命を救うのですから・・・
菅丞相の息子の首を差し出せと命ずる藤原時平の指示で、匿っていた忠臣武部源蔵の
もとに現れた松王丸。菅丞相の息子の身代わりとするべく秘かに実子の小太郎をを武部
源蔵の経営する寺子屋に入れさせていたのです。源蔵が、菅丞相の息子の代わりに小太郎
を犠牲にすることを確信して・・・もぅ書いているだけで泣ける・・・
ということで、歌舞伎に興味のない方にはつまらない記事でスミマセン。
まぁたまにはいいでしょ。(「たまに」ならな・・・by妻)
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