Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2025年8月:クロアチア・オーストリアの旅 ⑤ 聖ロヴロ大聖堂の続きです・・・

Bonne

  今夜はクロアチアのダルマチア地方の観光都市トロギールの記事の続きです。

  トロギールでビックリしたのは、なんと今どきありえない日本語版のガイドブックが

 あったことです。クロアチアの皆様、有難うございます。これでオッサンもこの記事を

 書くことができました。(日本語の解説がないと訳が分からんとこやったな。by妻)

  ちゅうことで、ますますクロアチアびいきになってきたオッサンです。😝

     

  やはり表紙は聖ロヴロ大聖堂の雄姿ですね。本当に素晴らしいです。

 そして、オッサンが見逃がしていた珍しい傑作彫刻のディテールの写真もありました。


  想像上の存在だった人魚の像がありました。うーむ、なんだか年老いた人魚さんです。

 (オッサン連中のご期待には添いかねます、とラドヴァンさんが言うとるで。by妻)

  

   

  そして衝撃的なのは「悪徳と美徳」の彫刻でした。こっちが「悪徳:淫乱」という名

 の彫刻です。なんともはや・・・龍なのか蛇なのか知りませんが得体のしれない怪物に

 食べられちゃうみたいですよ・・・

  そしてこちらが「美徳:貞節」らしいのですが・・・あんまり楽しそうではないです

 ね。中世キリスト教世界では何が楽しみだったのでしょうか・・・(アホ)

  なんだか違和感を感じますが、これがその時代のスタンダードだったんでしょうね。

 (’オッサンは中世に生まれていたら大変な苦労をしていたと思うで。by妻)


  さて、ラドヴァンさんとお弟子さんたちの渾身の力作というべきロマネスクの彫刻を

 堪能した後、大聖堂内部に入ります。入り口の左側にある彫刻は、キリストの洗礼で、

 15世紀のルネッサンス様式、つまりフィレンツェの影響が及んでいたということです。

  洗礼者聖ヨハネがキリストの洗礼をしている場面かと思っていたのですが、この彫刻

 を見ますと、キリストが信者となる人の洗礼をしている場面のようです。

     

  ここで思い出したのが、塩野七生先生の著書「ローマ人の物語」です。なぜキリスト

 教が古代ローマで燎原の火のように広まったのか・・・先生の解釈では、入信の儀式を 

 「洗礼」としたためだ、ということでした。といいますのも・・・

 キリスト教はもともとユダヤ教の革新派だったのですが、ユダヤ教は古代世界では稀に

 見る完璧な教義と組織を有していたのに、世界宗教になる要素が欠けていたのでした。


  まず第一にユダヤ教は「選民思想」に基づきユダヤ人のみを対象にしていて、他民族

 にユダヤ教を布教するなんていう発想がハナからなかったこと。そして第二には、入信

 の儀式が過酷であったこと。その儀式とは・・・すなわち「割礼」です。つまり・・・

  ちょっと活字にしにくいのですが、男の子のお●んちんの皮を切り取る儀式なんです。 

 それは赤ん坊の時に執行されるので、基本的にはユダヤ人以外で自分の意志で実行する

 人はいません。なぜなら成人男性が(恐らく)激しく痛い思いをしてまで敢えて信仰の

 ためにそのようなことを希望するはずがないからです。・・・ですがぁ~(アホ)


  教祖イエス・キリストが提唱したのかどうかは知りませんが、キリスト教では「割礼」

 のかわりに「洗礼」と称して頭から冷たい水を被るだけで入信できるようにしたのです。

 塩野七生先生は、これを考え出した人は天才だと断言しています。初期キリスト教の布教

 には、古代ローマ人の優れたテクノクラートが多数リクルートされているのですが、彼ら

 が「割礼」を強要されたら、きっとキリスト教信者にはならなかっただろうというのが、

 塩野先生の見立てです。そら、いい大人になってから「お●んちんの皮を切り取ります」

 と言われたら、困っちゃうよね・・・


  ということで、お●んちんの皮を切り取られることなくキリスト教徒になった、優れた

 伝道師であり組織のオーガナイザーであった聖ヨハネさんや、ローマ帝国をキリスト教が

 乗っとることに尽力したミラノの聖人アンブロシウスのような有能極まりない方々が活躍

 でき、一般人にも入信のハードルが下がっ

たおかげで、キリスト教が世界宗教になったと いうのが塩野先生の解釈です。「洗礼」

 という一種の「発明」が、まさしく世界を変えたのですね・・・ 

  ・・・あ、スミマセン。またまた大幅に脱線しました。(ま、平常運転や。by妻)


  ということでヨーロッパ中にキリスト教が広まり、ヨーロッパに侵入した蛮族たちもが

 キリスト教に改宗したので、ここクロアチアにもキリスト教信仰が根付いたみたいです。

  内部にも中世からの芸術作品がたくさんあります。主祭壇の天蓋は14世紀初頭の作品。

 左に見える黒い聖歌隊席や大理石の説教壇も素晴らしい。

  説教壇は14世紀のピサ風のものらしいです。中世には宗教的抑圧のあるなかで、意外に

 海上貿易が盛んだったようですね。いや、抑圧されていたからこそ盛り上がったのかも。

     

  

  聖イヴァン礼拝所は、大理石の彫刻が圧巻です。この天井の上の彫刻を良く見ると、

 逆さまになった偉人が見られるそうです。オッサンは見つけ出せなかった・・・

  宝物館を見学した後は、大人しく表門から退場します。名残惜しい・・・


 この後はトロギールの街の散策と、絶景の眺望スポットに参ります。(続く・・・)