Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

師走の京都 ⑨大徳寺の塔頭その4 大仙院

  ちょっとマンネリ化してきた京都の記事。もうしばらくお付き合いください。
  その前に、今日はちょっと残念なことが・・・京都のお土産で買ってきたお菓子を
 妻の仏壇に供えていたのですが、今日見てみたら賞味期限が既に切れていました。
  妻が見つけたら絶対買ったはずだと思って購入したものですが、もう食べられなく
 なりましたので、もうしばらく飾っておくか・・・ 


  気を取り直して、大徳寺の塔頭の第四弾、真打の大仙院です。ここは常に公開されて
 いますので、お馴染みの方も多いのではないかと思います。
       創建は1509年、大徳寺の数ある塔頭のなかでも最も尊重され重視される名刹だという
 ことです。なんでも22もある大徳寺の塔頭は、南北の派に分かれており(寺の中での
 派閥争いって・・・)、ここ大仙院は北派の本庵なのだそうです。そうだったのか!
 (ちなみに南派の本庵は最初に見てきた龍源院のようです。)
 ここは本堂が国宝ですが、やはり素晴らしい庭園が見所です。いざ、参らむ!


  残念ながら現在は堂内は庭園を含めて全て撮影禁止なのです。監視する方も随所に?
 居るので、ゲリラ撮影もできません(アホ)。なので、ネットで公開されている写真で
 代用させて頂きます。パンダ君もがっかりです。(意味がわからんわ。by妻)
  さて拝観料を払って入口から入ってすぐのところに、坊さんが座っています。誰や?
 と思っていたら、なんとご住職でした。呼び止められて「あなたのお名前は?」と尋ね
 られました。何じゃい?と思いましたが、入場パンフレットの余白に、ご住職自ら来訪
 者の名前を書いて下さるのです。私には、「○○氏、人格者」と書いてくれました。
 うん、やはり見る人が見ると、本当のことがわかるのですね。
 (うわ、嘘くさいわ・・・いくら払って書いてもろたんや? by妻)
  
  まずは国宝の方丈です。室町期に建立された方丈は、ほぼ日本最古の方丈建築との
 こと。貴族が生活した寝殿とは異なり、華美と過剰な装飾を排したこの方丈は、後の
 住宅建築にも大きな影響を与えた、と言われています。ふーん、確かにそういう感じ
 がしますね。

 ちなみに「床の間」と「玄関」は、現存する日本最古のものだそうです。へぇ~。

  こちら ↓ が同じく国宝の玄関です。しかし、玄関が国宝になっているなんて知って

 いましたか? 言われなければ、ただの門だと思って素通りしそうです。     


  方丈の前の庭園も質素ながら趣があって、ゆっくり見ていたくなります。規則正しい
 長方形の庭の中で、三角錐の形の盛り砂が視覚的にもアクセントになっています。 

  そしていよいよ、名園の誉れ高き大仙院の庭園を鑑賞します。ここはなんと室町時代、
 応仁の乱後、この寺の開祖である大聖国師により作庭されたと言われています。
  どうでしょうか!この立体的で躍動感あふれる姿は!我が国屈指の枯山水庭園です。
 庭園の中心となるのが、蓬莱山と枯滝の石組です。左右に観音石と不動石が配置され、
 石橋の手前の石は流れ落ちた激流の飛沫を表しているそうです。
  この写真の右手前に鶴島、左手に亀島があります。  

  アングルを変えてみますと、下の写真の中央手前が亀島です。真ん中に聳え立つのが
 蓬莱山で、右端が鶴島ですね。

  そしてこちら ↓ が左側に鶴島を据えたもの。

  
  この大仙院の庭園が素晴らしい理由の一つは、ストーリーがあることです。先ほどの 
 蓬莱山から流れ出た滝の水が、鶴島の前を通って次の庭に続いていくのです。
  区切りの透渡殿(すいわたどの)の堰に一旦止められた後に、堰を突破した水流が大河
 に至るというストーリーです。その大河の砂紋の流れを切って進むのは、日本最高の
 名石といわれる宝船(長船石)です。中央手前にあるのがそれで、安定感のある自然石を
 用いて、船のように見せていますね。これは秀逸です。

  さらに川の流れは先に進み、海を表す先ほどの方丈前(南側)の庭園に注ぎ込むと
 いうわけです。いやぁ、壮大な絵物語のような庭園ですね。

  
  こうしてみると日本庭園というのは壮大な叙事詩のようで、私のようなボンクラでも
 想像力を掻き立てられるような気がします。元々は禅の教えを端的に視覚的に表現する
 ために作られたのでしょうか? 限られた狭い空間のなかでどのようにそれを表現する 
 かが勝負だったのでしょう。その結果として、キリスト教のように手っ取り早く誰にも
 わかるようにはできず、精神の世界に入らないと見えてこないようになってしまったの
 かもしれませんね。いや、最初からそれを目指していたというほうが正しいかも?
  いずれにせよ見る人によって、しかもその心の持ちようによって、現れてくるものが
 違ってくるのでしょう。無理に謎解きをしようとするよりも、虚心坦懐に鑑賞するほう
 が良いのかも。(今更そんなん言うても説得力ないわ!by妻)


  大徳寺の4つの塔頭の、それぞれ個性的な庭を鑑賞して(正直よくわからないところ
 もあったけど)、京都に来て良かったなとしみじみ思いました。
  ひとまず大徳寺編は終了・・・かな? でもまだまだ行くよ、京都観光(笑)。