Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2015年GW フランス・ドイツの旅 ⑫印象派の殿堂 その8

  このところ興が乗らずに滞っていた旅行記事を続けます。
  GWはとうに過ぎ、梅雨入りが近いと言うのに、何をダラダラやっているんかいな。
 ちなみにまだ旅行初日です。この後、パリから移動して別の町に泊るのに、いつまでも
 呑気に絵を見ていてはいけませんね・・・
  
  一通り見るべき絵は見たので、ちょっと一服しようと思って美術館内部にあるカフェ
 に行ったら、大混雑です。ここは食事もできて人気の場所のようなので仕方がない。
 待つのが苦手なオッサン、時間の余裕もないので諦めます。(オッサン、私らの旅行で
 パリでカフェに入ったことは一度もないやんか。ワインバーには何回もあるけど。by妻)


  オルセーのシンボル、大時計越しにテュイルリー公園とルーヴル宮(美術館)が見え
 ました。なかなか面白い写真が撮れたかな・・・

      

 
  そうそう、オルセーには絵画・彫刻だけでなく、写真や工芸品なども展示されてい
 ます。エミール・ガレに代表されるアール・ヌーヴォーの作品もたくさんありました。
 ラリックのガラス器や、繊細で優雅な工芸品、特徴的な家具など。私はあまり詳しく
 ないのですが、お好きな方は堪らないでしょうね。 


  さて、カフェでの休憩時間がなくなったので、絵画をもう少し見学します。
  (普通、逆ちゃうか?by妻)
  日本での知名度はそれほどありませんが、やや有名な作品を見て廻りました。
  いかにも時間が余ったからついでに見てきました・・・ちゅう感じやな。(by妻)


  ゴッホやゴーギャンに代表される後期印象派の後も、さまざまな特徴を持った画家が
 輩出しました。世紀末から20世紀初頭にかけての著名芸術家の作品は、ポンピドゥー・
 センター(近代美術館)にありますので、オルセーにはその少し前、19世紀後半の画家
 の作品が展示されています。


  まずはナビ派と称される、モーリス・ドニさんの「ミューズたち(1893年)」です。
 木版画のような平面的で、遠近法をほぼ無視した独特の絵です。日常的な光景なのに
 なにか神秘的な神々しさを感じますね。ミューズたち、なんて名付けてるところから
 画家本人もそういうイメージで描いたのでしょうか。


  もう一つナビ派の作品。フェリックス・ヴァロットンの「ボール(1899年)」です。
 ピンボケでスミマセン。しかし一度見たら忘れられない印象的な作品です。
 鑑賞者の視線は右側手前の赤いボールを追いかける帽子を被った少女に導かれますが、
 一度視線を離すと、なんだか左奥の樹々の方に吸い寄せられるような感じがします。
  これまた、ありふれた日常を描いたようでいて、何か隠された意味があるような、
 ちょっと謎めいた絵画ですね。


  そうそう、一人有名な方を忘れていました。夜のパリ、キャバレーやナイトクラブの
 絵を描き、ポスターなどの広告媒体も手掛けた、トゥールーズ=ロートレックさんです。
 オルセーにはその代表作、「踊るジャンヌ・アヴリール(1892年)」がありました。
 デジカメの写真がイマイチでしたのでネットから借用します。

         

  モデルはロートレックのお気に入りの、ムーラン・ルージュの有名な踊子です。
  彼女は辛い半生を送ってきましたが、華やかな舞台の上で脚光を浴びるようになり、
 教養も身につけて、ロートレックのような文化人とも交流があったそうです。
  ロートレックは彼女たちの放つ「光と影」に魅せられ、キャバレーやバーに入り浸り
 つつ、彼女たちの生きざまを、敢えて軽妙なタッチで描いていったのでしょう。
  
  さて、そろそろ時間となりました。午後4時近くなりましたのでオルセーを後にしな
 ければなりません。実は一つだけ、写真を撮らなかったのですが、忘れられない作品が 
 ありました。イヤ、撮らなかったのではなく、撮ることができなかったのです。


  モネの「死の床のカミーユ(1879年)」です。(写真なし)
  僅か32歳で亡くなったモネの最初の妻カミーユの、安らかな?死に顔を描いた作品
 です。フラッシュバックは起きませんでしたが、しばらく動けませんでした。
  病に斃れ、ベッドの上で息絶えた最愛の妻を、モネは自らの筆でキャンバスに描いた
 のです。いったいどういう心境だったのでしょうか・・・


  モネが自ら語った言葉を載せておきます。


 「永遠に別れることになる人の、最後のイメージを残しておきたいと思うのはごく自然
なことでしょう。しかしながら、深い愛着を覚えていた顔立ちを描きとめようという考え
が浮かぶ前に、まず色彩のショックに対して体が自ずとざわめき始めました。そして、私
の意思に反して、人生の日課となっている無意識的な作業(絵を描くこと)に、反射的に
取り掛かったのです」


  悲しみに打ちひしがれながらも、死にゆく妻の青白い顔に差す柔らかな光が、ほんの
 少しずつ変化し、微妙な色合いを見せていくことに心を奪われていったのでしょう。
 しかしなぁ・・・こんな絵は並の精神力では描けないですよ、モネさん。
 
  オルセー美術館を約2時間、駆け足で主要な作品を見て廻りました。日本でオルセー
 美術館展を何度か開催していますので、中には日本で既に観た作品もありますが、現地
 で見るとやはり感慨深いものがあります。雰囲気ってやっぱり大切ですね。
  次回、コロナが収まったらまた行きたいです。今度は、ポンピドゥー・センターにも
 行ってみたいですね。いつになることかわかりませんが・・・
 
 これにて、ようやくオルセー編の終了です。(長かったわ~ by妻&読者の皆様)