Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2015年GW フランス・ドイツの旅 ㉘ コルマールのオステルリー

  アルザスのコルマール観光の記事を続けます。


  旧市街の中心部の広場の前には、ちょっと変わった建物があります。  
 これ ↓ なのですが、よーく見るとちょっと不気味なものがあるのです・・・

     


  そうなのです。建物の装飾彫刻のあちこちに「顔」が埋め込まれているのです。
 なんだか趣味が悪いですねぇ。 

     

  
  この建物の名前は「メゾン・デ・テット(頭の家)」というらしく、1609年の建造。
 小さな顔の彫刻が105個も埋め込まれているそうです。どうせなら108個にしたら?
 バロック時代ですかね。ウケ狙いじゃないですけど、見る人を驚かせる工夫を競ってい
 たのでしょうね。お蔭で今でも楽しいものが見られるという訳です。
  
  メゾン・デ・テットの門の先は中庭になっており、またその先の路地に繋がっている
 ようでした。袋小路にはなっていないので、いろいろな方角へ抜けられます。


  そして、この町一番の見どころといえば、ウンター・リンデン美術館です。ドイツの
 初期ルネサンス時代の不朽の名作と言われるグリューネヴァルトの祭壇画で有名です。


 ところが・・・なんと、数年間かけて行われている修復工事の為に、閉館中でした! 
 オー・マイガー! しょぼん・・・
  
  しかし、良く看板を見てみると・・・なんとグリューネヴァルトの祭壇画は、近くの
 ドミニカン教会に展示されているというではありませんか!ウンター・リンデン美術館
 は2013年11月から2015年10月まで修復中だそうで、その間は観光客をがっかりさせない
 ように、との配慮のようです。有難うございます。    

     

  でも見学できる時間は午後5時まで。気が付けばもう4時半を回っていました。仕方
 がありませんね。翌日の朝、コルマールを出発するまでの2時間での見学とします。
 ということで、この日はドミニカン教会の外観だけ撮影しました。ここもデカい!


  ドミニカン教会やメゾン・デ・テットのある辺りは旧市街の中心部で、洒落たお店や
 お土産物屋、カフェやレストランがひしめき合っていました。当然、オッサンの目指す
 ワインショップもこの辺りに何軒かありました。(またワインか・・・by妻)
  
  洒落たディスプレイのワインショップに入りました。ショウウインドウのガラスには
 ドミニカン教会が映り込んでいますね。ここはフランス各地や世界のワインを扱ってい
 ましたが、やはり地元のアルザスワインは凄い品ぞろえでした。

      

   アルザス・ワインは比較的最近になって脚光を浴びてきたのですが、後発なだけに
  ワイン先進地のノウハウを吸収しています。アルザスも単一葡萄品種でワインを造る
  産地なので、参考にするのは当然ブルゴーニュになりますね。
   しかしブルゴーニュと違って、優秀な葡萄・ワインを産出する村を特別視はせずに、
  もっと狭い区画(畑)に格付けを行いました。アルザス・グラン・クリュという最高
  ランクを設け、その区画ごとに造るワイン(原料の葡萄)を特定してきました。尤も、
  アルザス・グラン・クリュの規定に従うのを嫌って、敢えてその名を使わないような
  昔ながらの生産者も多いようです。(超一流生産者のトリンバックさんなど。)
   あぁ、また突っ走り始めたオッサン、誰も付いてきませんよ・・・
  アルザスを代表する葡萄は白ワイン用のリースリング、ゲヴュルツ・トラミネール、
  ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ミュスカ等と、赤ワイン用のピノ・ノワールです。
   リースリングはドイツでは甘口に仕立てられますが、アルザス(やオーストリア)
  では、基本はパワフルな辛口となります。


   そうそう、アルザスのもう一つの特徴として、ドイツワインのように糖度を上げて
  高い熟度・アルコール度数を持った濃厚な甘口ワインを造ることがあげられます。
  アルザスでは、ヴァンダンジュ・タルディヴ(遅摘み)というクラスや、貴腐ワイン
  のような「セレクシオン・グラン・ノーブル」という特別なクラスもあります。
  この店で私は、そうした特別なアルザスワインを購入しました。6千円くらいで買え
  てしまいましたが、まず日本では入手困難なワインです。(自慢すんな。by妻)
   生産者はアルザスのトップ・ドメーヌ、「ツィント・フンブレヒト」さん。葡萄の
  品種は「ピノ・グリ」、畑は高名な「クロ・ジュブサル」という区画。そして、貴腐
  葡萄(カビの力で水分を失い、干しブドウ状になったブドウ)から搾汁し、醸造した
  「セレクシオン・グラン・ノーブル」という極甘口ワインです。色は既に飴色でした。
  年号は2010年、ハーフボトルでした。たぶん長い寿命を保持していく事でしょう。


   もう終わったかい?つまらん御託は・・・(by妻) は、スミマセン、ついつい。
  ワインショップのほかにもお菓子屋さん、ギフトショップなど楽しいお店がいっぱい
  ありました。全部見ていたらきりがないですね。どのお店も、建物からして素敵です。



  ドミニカン教会の裏手に回り、旧市街のしっとりとした小径を通って宿泊ホテルまで
 戻ります。この日はちょっと疲れていましたので(当たり前やろ!)、早めにホテルで
 休息し、体調を整えてディナーに臨むことにしました。


  宿泊したホテル、オステルリー・レ・マレシャルはプティット・ヴニーズの運河沿い
 にあり、レストランがメインの宿泊施設です。静かな雰囲気のプチ・ホテルという感じ
 ですが、レストランはこの町でも有数の名店のようです。
  私の泊まる部屋は4階(日本式の5階)の屋根裏部屋でした。まぁ東洋人のオッサンが
 1人なので、そんな場所をあてがわれてしまうのは仕方がありません。部屋はやや狭く、 
 しかも中には太い木の梁があって、ちょっと窮屈な感じでした。


  さて、着替えてレストランに向かいます。ここでもおひとり様は端っこの席。しかし
 プティット・ヴニーズの運河沿いの窓辺の席なので、雰囲気は悪くありませんでした。
 さて、せっかくだからここでは少しアルザスっぽいものをオーダーしますか・・・


  まずは前菜。フォワグラのテリーヌです。ガチョウの肝を太らせて食べるという、
 ちょっと動物愛護の精神には反する食材ですが、本場でいただくと思ったより脂っこく
 はなく、洗練された味わいでした。肝独特の苦みもそれほど強くなかったです。うまく
 調理してるいるのかな?色も薄いピンクに少々黄色がかかっていました。わりとイケる。


  メインディッシュは鳩のロースト。初めて食べましたが、鳥なのに赤身肉に分類され
 ていて、濃い目のソースです。ギトギトでヘビーなのかな?と思いましたが、意外にも
 しつこくはなく、身は締まった感じで、じんわりとした肉汁がソースに合いました。
  確かにこれは赤ワインのほうが向いているかもしれないなぁ・・・
 しかし鳩の肉と、付け合わせのマッシュド・ポテトや茹でた葉物野菜が同じサイズです
 がな。(三位一体っていうやつやろ。by妻)


  でも頼んだワインは白。アルザスの代表品種、ゲヴュルツ・トラミネールという香り
 が素晴らしい(香辛料のようなスパイシーさがあると言われています)葡萄を使った、
 グラン・クリュ(特級畑)のワインです。味わい的には鳩のローストにはちょっと合わ
 ない気がしましたが、ボディが強いので料理に負けることはありませんでした。
  辛口なのにフルボディの厚みがあり、ちょっと甘めの味わいに感じてしまいます。
 アルザスのワインはボトルがひょろ長くて、なんだかドイツワインみたいです。

       

  デザートは「クグロフ」のレア。焼き菓子として有名なクグロフですが、なんと焼く
 前の滑らかなババロアみたいな状態をデザートにしていました。ほう、これはすごい。

 
  あとチーズを頼んで、ちびちびワインを最後まで飲み続けていたオッサン。
 満ち足りた気分で屋根裏部屋に戻ります。(根に持ってるな・・・by妻)


  この日は疲れていたのでシャワーを浴びてバタンキュー。ゆっくり寝て、体力を回復
 させないと、先が大変です。
  これにて、3日目が終了。明日はコルマールを出て、アルザスの中心都市ストラスブ
 ール(ストラスブルク)に向かいます。