Bonne(ボンヌ)のブログ

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2017年夏、北欧&ドイツの旅 ㊾ヴュルツブルクを二時間で観光 ~2~ 世界遺産レジデンツ

  2017年の北欧・ドイツの旅を、なんとか2021年中に終わらせたいと思います。もう、
 どうでもいい感じですね・・・
  さて、最後の観光スポットはドイツ・ヴュルツブルクの誇る大司教宮殿、世界遺産に
 指定されているレジデンツです。ヴュルツブルクを中心としたフランケン地方の宗教的
 権威であると同時に、この辺りを支配する世俗君主でもあったヴュルツブルク大司教の
 居所です。まぁ、本当に「宮殿」というのがぴったりの豪華絢爛なお住まいでした。
 同様の権力者だったザルツブルクやマインツの大司教よりも、こちらの方が派手好みで
 現世への執着が強かったようですね(皮肉)。坊さんが権力を握るとろくなことがない
 というのが古今東西の教訓ですが、そのなかでは最もうまくやっていたのはカトリック
 教会なんでしょうね。
  大聖堂の裏手を少し歩いていくと、やたらとだだっ広い広場と、そこに面した巨大な
 建物が目に入りました。これは確かにどこからどう見ても宮殿ですね。デカすぎで全体
 を写真に収めるのが困難なくらいです。(相当離れた距離から撮影しました) 

  スケールは全然違いますが「ノリ」がヴェルサイユ宮殿やウィーンのシェーンブルン
 宮殿のような感じです。外観もバロック式の巨大な宮殿によく似ていますね。さすがに
 フランス国王やオーストリア(ハプスブルク帝国)皇帝には及びませんが、大司教ごと
 き(失礼)にしては、やり過ぎていますね。
  オッサンのデジカメ写真ではかなりピンボケで見づらいのですが、外観は圧倒的迫力
 があります。この宮殿は、18世紀の名建築家バルタザール・ノイマンが設計・建築した
 ヨーロッパでも屈指のバロック式宮殿なのだそうです。1720年から1744年にかけて建造
 されたそうです。ヨーロッパが絶対王政の時代を迎えていた頃の終盤ですね。

  内部はガイドツアーによる見学が望ましいのですが、残念ながら日本語はなく、例に
 よって時間にも限りがあるので、個人見学としました。ガイドツアーとは料金が一緒で
 すので、英語が理解できて時間に余裕がある方はガイドツアーがいいようです。
 (オッサンは英語も怪しいし、時間の余裕はいつも全くないからあかんわな。by妻)


  オッサンはこんなガイドブック ↓ を購入して、1時間弱で宮殿と庭園を見学しました。

   

  この頃はもう中国人の方が圧倒的に日本人より優勢で、中国語版はあっても日本語版
 はない、というケースに何度も遭遇して打ちひしがれていたのですが(大袈裟やな)、
 ここはちゃんと日本語版がありましたのでホッとしました。


  さぁいよいよ宮殿の中を見学いたします。当然ながら内部は撮影禁止ですので、図録
 の写真やネットの写真を掲載させていただきます。 
  まずはいきなりこの宮殿の中でも最も有名な「階段」です。柱の無い広大な吹き抜け
 の空間に、優雅な折り返し式の階段が余裕をもって配置され、天井にはイタリアの画家
 ティエポロの描いた、世界で一番大きいフレスコ天井一枚画があります。この吹き抜け
 は、当時としては常識外れの設計だったそうで、訳知りの専門家たちからは「設計ミス」
 「絶対に崩れる」などと酷評されたそうですが、砲術の技官でもあったノイマンさんは
 「砲弾を打ち込まれても崩れない」と反論したそうです。事実、第二次世界大戦の空襲
 でもこの部分だけ天井が残ったのだそうです。おかげでティエポロさんの天井画も救わ
 れました。建材に軽くて丈夫で耐火性がある凝灰岩を使ったことがその理由だとか。

    

  いやまぁ確かに豪華で素晴らしいですね。戦災をまぬかれたことは何よりです。
  バルタザール・ノイマンさんとティエポロさん、素晴らしい芸術遺産を残して頂き、
 有難うございます。
  天井画のティエポロの絵は1753年作、宮殿を造らせた大司教を賛美し、建築当時に
 知られていた世界の4大陸(ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南北アメリカ)を寓意画
 で描いたものです。この天井は5mの高低差で湾曲しており、総面積は677㎡だそうです。
 フレスコの1枚画として有名なヴァティカンのシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロ
 の 「最後の審判」が164.4㎡ですから、その大きさが想像できるというものです。
 (下の写真はその一部です。天井の四辺に、四大陸を象徴する寓意画が描かれ、真ん中
 には天上の世界が広がっています。宮殿を造らせた大司教はじめ、教会のお偉い方々が
 昇天されているのでしょうね、たぶん。)下の図はアフリカを表しているのかな?

  こちら ↓ は四大陸の一つアメリカ大陸を擬人化したフレスコ画です。アメリカインディ
 アンのような恰好の女神がアメリカ大陸の象徴かな? フレスコ画の間に白い漆喰で出来
 た人物の彫像があります。立体感を出すように工夫されているのでしょうか。

  階段を上がって最初に入るのが「白の間」というホールです。部屋一面が白で統一を
 されていて、壁や天井には控えめながらも漆喰で繊細な模様が描かれています。


  次は宮殿の中でも最も美しい空間の「皇帝ホール」です。宮殿の真ん中部分で、入口
 と反対側の庭園に面しています。色大理石の柱とアーチで支えられたドームから華麗な
 ガラスのシャンデリアが吊る下がっています。ここはかなりの広さがあります。

 ここの天井や壁面にもティエポロさんのフレスコ画がびっしりと描き込まれています。
 彼はここのフレスコ画の製作のため、故郷のヴェネツィアを離れ3年間ヴュルツブルク
 に滞在したそうです。

  この皇帝ホールの左右(建物の両翼)に見どころとなる部屋が連なっています。
 そのうち有名なもの2つをご紹介します。まずは南側にある「ガラスの間」です。ここ
 はヴェルサイユ宮殿の有名な鏡の間と比較されるほど素晴らしいそうです。もちろん、
 大きさではかないませんので、壮麗さ・豪華という点においてです。
  残念ながら第二次世界大戦の空襲で完全に破壊されたそうですが、壊れた後の破片を
 かき集めて戦後に再現されたものだそうです。この部屋の素晴らしい内装・調度品が、
 壁面に埋め込まれた鏡に反映するのでますます豪華絢爛に見えます。

  もう一つは北側の「緑の間」です。壁面や天井がが緑色に塗られている、これまた
 ゴージャスな空間です。しかしここの大司教はホンマに贅沢三昧していたようですね。

  ガイドツアーでしか見学できない部屋もあるようなので、できればガイドツアーで
 見学するのがいいようですね。
 
  あと、ここには宮殿付属の宮廷教会(ホーフ教会)という素晴らしい場所があったの
 ですが、入り口が別になっていたために気づかず、オッサンは見逃してしまいました。
 後で図録を見ると、ここが一番豪華で素晴らしい感じです。ティエポロの天井画もあり、
 教会なのにめちゃくちゃ豪華です。見損ねて悔しいけど、参考までに・・・


  そしてここは宮殿の建物だけでなく庭園もすばらしく、庭園も含めて世界遺産に登録

 されているのです。庭園はもちろん撮影OKです。真夏なので花が少なく、少し残念。

  もっと時間があれば庭園をゆっくり散策できたのですが、建物の裏手から眺めただけ
 になってしまいました。広大なバロック式庭園なので、たぶんいろいろ工夫されている
 と思います。きっと楽しい散策になるでしょう。
  (せっかく個人で見学しているのに、ゆっくりできないんじゃアカンの~ by妻)

  庭園側から宮殿を見るとこんな ↓ 感じ。真ん中の出っ張った部分の中央2階部分が
 皇帝ホールですね。


  
  さすが世界遺産レジデンツ、素晴らしいものを見せていただきました。
  これで今回の旅行での名所見物は終わりですが、オッサンはそのままでは帰りません。
  ・・・一杯ひっかけていくんやろ・・・(by妻) 
  スミマセン。次回がようやく最終回です。