Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

久しぶりに関西の旅 ⑨法隆寺~その1:西の伽藍・五重塔~

  仕事が始まって日常が戻ってきましたので、年末年始で中断していた関西旅行の記事
 を再開します。(なんや、もうやめたんかと思うたわ。by妻)


  2日目は、かんぽの宿からレンタカーで15分、で着くはずが道に迷ったうえに朝から
 道路が渋滞していたので30分以上かかって目的地に到着しました。法隆寺です。ここは
 日本最古、いや世界最古の木造建築として飛鳥時代(592〜710年)に建てられた、日本
 を代表する史跡であり、当然ながら国宝に指定されています。しかも1993年には日本で
 初めてユネスコの世界遺産に登録された超ド級の名所ですので、心して見学します。


  朝8時半でしたが、もう門は開いています。すぐ近くの駐車場(民家の空き地?)に
 車を停めることができてラッキーでした。朝早く来たので、観光客が押し寄せて来ない
 うちに見学ができそうです。
  法隆寺は斑鳩(いかるが)町にあり、昔住んでいた奈良県王寺町の自宅からでも車で
 20分くらいの近さでしたが、一度だけしか行きませんでした。あまりに近すぎて、いつ
 でも行けるかなと思っていたのです。当時は有難味がわかっていなかったなぁ。
 その前は中学の修学旅行の時だから、オッサンの人生で3回目の訪問です。 

  聖徳太子が父・用明天皇のために法隆寺を創建したとされるのは西暦607年ですが、
 670年に落雷がもとで起きた火災で焼失し、689年に再建されたとの説があります。
 広大な敷地を持っており、大きく分けて西院伽藍と東院伽藍の二か所が見どころになり
 ます。現在のメインは西院伽藍の方ですので、まずそちらから見学いたします。
 上の写真の立派な中門は閉じられていて、西側の脇にある入口から西院伽藍に入ります。
 中門の背後には、すでに有名な国宝の五重塔が見えているので気がはやります。
 (慌てなさんな、オッサン。by妻)

  中門は近くで見ると、かなりの大きさです。法隆寺の建てられた飛鳥時代のもの(後
 に修復の手は入っている)で、国宝です。西院伽藍はぐるりと周囲を回廊が巡っていて、
 とても落ち着いた空間になっています。この回廊も飛鳥時代がオリジナルで、国宝です。
 法隆寺は国宝のオンパレードなんですよね。(また始まった、国宝オタクが。by妻)

  あ、この柱廊の柱をよく見ると、屋根に接する上部と敷石に接する下部が、中央部分
 よりも少し細くなっています。これはギリシャ・アテネにある有名なパルテノン神殿と
 同じ手法なのだそうで、「エンタシスの柱」と呼ばれているそうです。つまり、中国や
 インド、ペルシャを通じてこうした西洋の手法が伝わった可能性があるのですね。
 この時代の仏像にも「アルカイック・スマイル」という西洋(ギリシャ)風の容貌?が
 見られますから、なんらかの影響は受けていたのでしょうね。すごくスケールの大きな
 話ですよね。なんせ西暦600年くらいの話ですからね。ちなみに仏教の伝来が6世紀前半
 ということですからわずか50年後くらいです。ものすごい勢いで仏教が広まっていった
 ということでしょうね。


  参考までに、西院伽藍の全体図を掲載いたします。なんだか回廊は「有料エリア」を
 作るためにあるんじゃないかと思えてきました。(そんなわけあるか~い!by妻)


  ネットで調べたら、上から眺めた航空写真がありましたので、これもついでに・・・
 手前が中門、左側が五重塔、右側が金堂、奥が大講堂です。調和がとれていますね。


  はい、そしてこの回廊に囲まれた空間に聳え立つのがこれまた国宝の五重塔と、西院
 伽藍のメインの建物である金堂(こんどう)です。しかし、この空間はすべてが国宝に
 なるようですね。「ザ・国宝空間」って感じです。自然に厳粛な気持ちになりますよ。

  
  中でも群を抜く素晴らしさは五重塔です。創建は607年、中央の心柱に使われた木材 
 は、594年に伐採されたものだそうです。なんと、1400年もの歴史を誇る、世界最古の
 木造建築なのです。この間に、マグニチュード7クラスの地震が46回も起きていますが
 法隆寺の五重塔はそれに耐えてきたことになります。もちろん、この間に何度か大規模
 な修復工事がなされ、昭和の時代には解体して修復をしたそうです。しかし基本部分は
 十分耐久性があり、傷んだ部分を新しい木材に差し替えたくらいで、ほぼオリジナルの
 姿に再現できたそうです。
  解説によると、中央を心柱が貫徹して頂上には長い相輪が取り付けられていますが、
 構造的には階高の高い吹き抜けの木造1階建てに、5層の屋根がついている建物です。
 5つの層は独立して組み立てられているそうですが、上にいくほど幅が狭くなっていて
 一番下の層から5層目まで屋根が徐々に小さくなります。一番上の5層目は一番下の層
 の約半分になるそうです。これが、この建物を安定させている理由の一つだそうです。
  下から見上げると、それがよくわかりますね。

    

  しかも、この各層をつなぎ合わせた部分を敢えて緩くしており、あたかも免震構造の
 ようになっているそうです。1400年前にこんな技術を体得していたのでしょうか?
  今となっては仏教の源流であるインドにも、日本に仏教を伝えた親分格の中国にも、
 そして兄貴格の朝鮮にもこんなに古い仏教建築は残っていません。しかもヒノキの木材
 で出来たものですよ。素晴らしいとしか言いようがありません。
  そして、単に技術的に優れているだけではなく、調和がとれていて美しいのです。 
 もう日本の誇りです。大切に後世に伝え残していかないといけませんね・・・
  
  斜め対角線上の位置から見るとこんな感じ ↓ です。パンダ君も得意げです。(アホ)

      

  この五重塔の一階部分の四辺は外から中がチラ見できるようになっています。
  いずれも粘土のようなもので洞窟のような舞台を作り、そこに仏教説話の有名な場面
 を塑像で飾りたてたものです。塔が完成してしばらくたった後、711年に造られたそう
 です。「塔本塑像」というらしいです。暗くてよく見えませんでしたが、キリスト教で
 聖書の場面を表現したプレゼビオみたいなものかな。
  写真撮影禁止なので、ネットから借用します。(ちょっと小さい画像しかなかった。)
 このシーンはお釈迦様が亡くなる(入滅)の場面かな? 嘆き悲しむ弟子たちの表情が
 ちょっとコワいんですけど・・・

    

   
  五重塔だけで、かなり長くなってしまいましたので、続きは次回に・・・
  最後にもう一度、世界最古で世界で最も美しい木造建築の優美な姿を!      

   


  次回は金堂を見学します。(また長くなりそうやな・・・by妻)