Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

久しぶりに関西の旅 ⑭法隆寺 ~その6:大宝蔵院2~

  法隆寺の記事がまだ途中でした。と言いますか、この後まだいろいろな場所に行って
 いますので急がないとまた長くなる・・・(別にどうだってえぇがな・・・by妻)
  法隆寺の貴重な仏像や工芸品を集めた大宝蔵院の見学を続けます。西宝蔵の後、ここ
 のハイライトともいうべき百済観音像を見学します。この国宝の仏像を収蔵・展示する
 ためだけに大宝蔵院の中心部に「百済観音堂」が造られました。それだけ貴重で価値の
 ある仏様ということですね。(下の写真が百済観音堂です。)

  このお堂の中に、飛鳥時代の木彫仏像の百済観音様がおいでになります。いつでも、
 じっくりと見学、いや鑑賞させて頂けるのは有難いことです。
  当然ながら撮影禁止のため、ネットの写真を掲載いたします。

     

  なんともスリムで神々しいお姿です。高さ209センチ、頭が小さくて8等身の像です。
 このことからもこれは日本的ではありませんね。(オッサンは6等身・・・by妻)
  飛鳥時代(7世紀前半)の木彫仏像は極めて貴重で、使用材は像身はクスノキ、左手
 に持つ水瓶(すいびょう)と蓮華座だけがヒノキで、日本国内産であることから、日本で
 制作されたものと推定されているそうです。大陸からの渡来人が、日本の素材で作った
 ものでしょうか? 正確には、誰がいつ、どこで制作したのかもわかっておらず、当初
 どこに置かれていたのかも、いつ、どこから法隆寺にやってきたのかもわからないそう
 です。謎に包まれた古代の仏像・・・しかし制作された時代が飛鳥時代ってどうやって
 わかったのでしょう? 材料となった木材の科学的分析によるのでしょうかね・・・


  これまでに見てきた法隆寺釈迦三尊像や夢違観音像などと比べますと、立体的であり
 なめらかな曲線が特徴的です。「優雅」という言葉がぴったりの仏像だと思います。  

      

  あまりに古いのでかなり黒ずんだり傷んでしまったりしているようですが、柔和で
 穏やかなお顔は非常に印象深いですね。1400年も昔の木像彫刻がきちんと残っている
 だけでも驚きですが、芸術的価値も極めて高く、当然ながら国宝に指定されています。
  ちなみに日本の記念切手(国宝シリーズ)にも登場しているとのこと。切手の題材に
 選ばれるほどの仏像ですから、学術的にも高い評価を受けているのでしょうね。   
        

           

  百済観音堂は、この百済観音様を収蔵・展示するためだけに造られています。やはり
 「別格」の芸術作品なのでしょう。有難く鑑賞させていただきました。


  さて、続いて東宝蔵に参ります。こちらにもすばらしい国宝が展示されています。

   西宝蔵の玉虫厨子と対をなすように展示されているのが「伝橘夫人念持仏と厨子」
  です。橘夫人って誰でしょうか?なんだか気になりますね・・・アホ(by妻)
  ちなみに夫人は「ぶにん」と読むそうです。橘夫人とは、白鳳時代(7世紀後半)の
  貴族藤原不比等(ふじわらのふひと)の娘で、光明皇后の母である橘三千代(たちば
  なのみちよ)さんのことらしいです。この方が私的にお祈りするために造られた仏様
  (念持仏:ねんじぶつ)と、それを収めるための厨子(ずし)だそうです。


       

   玉虫厨子には中に収めるべき仏像が残っていませんが、こちらはきちんと厨子の中
  に小さな念持仏が収められています。7世紀後半(大化の改新の後)の貴人の女性が
  自宅で毎日この仏像を拝んでいたのだと思うと、なんだか感動しますね。
   厨子の高さは204センチもあり、台脚付の須弥座(しゅみざ)部とぶつ図を収める
  宮殿(くうでん)部から成ります。須弥座部分よりもに宮殿部が大きくなっています
  が、これは後代に宮殿部が拡張されたためだそうです。仏像が窮屈そうに見えたので
  大きな入れ物に替えたのでしょうか?  
    そして中に収められた仏像は、銅製の阿弥陀如来三尊像です。白鳳時代(7世紀
  後半)の作だと言われています。こちらもセットで国宝です。


        

  銅製の浮彫の蓮池から3本の蓮の茎が立ち上がり、その上に阿弥陀如来坐像と両脇侍(観音菩薩立像、勢至菩薩立像)がそれぞれ乗っかっています。三尊の背後には銅製浮彫
 の後屏が立っています。阿弥陀如来は高さ34センチの小さい像です。先ほどの百済観音
 様のスリムで優美な8等身の仏像と比べますと、頭の比率が大きい日本人的なプロポー
 ションの仏像ですね。それでもやはり優しそうで安らぎを覚える表情がステキです。
 後屏には極楽浄土の様子が浮き彫りで描かれており、橘夫人様も極楽浄土を夢見て日夜
 お祈りをされていたのでしょう。    
  そういえばこの作品は、聖徳太子展にも出展されていて見た覚えがあります。


  最後に、金堂の壁画のうち1949年の火災で焼失を免れた内陣の「飛天図」を見学しま
 す。残念ながら焼失してしまった金堂の外陣(げじん)壁画には極楽浄土図や菩薩像が
 描かれていて、今では金堂内部で復元されたものを見ることができます。(オッサンも
 ちょっとのぞき見してきました。) この「飛天図」は修復中だったために火災の被害
 に遭わずオリジナルの姿で残されているという貴重なものなのです。

  内陣壁画は20面ありますが、すべて同じように飛翔する天女?二人が描かれている
 そうです。下絵をもとに、コピーするように描かれたみたいです。かなりまだ鮮やかな
 色が残っていますね。なんだか不自然な恰好ですが、まぁ天女様ですからいいのかな。
  こちらは重要文化財の指定です。外陣の壁画のオリジナルが残ってたら、間違いなく 
 国宝に指定されていたでしょう。返す返すも焼失してしまったのは残念です。
   
  さぁこれで大宝蔵院の見学も終わりました。所蔵品がとても充実していたので見応え
 があり、オッサンは満足しました。(国宝オタクめ・・・by妻)


  しかし法隆寺の見学はこれで終わりではありません。東院伽藍(とういんがらん)の
 見学がまだ残っています。もう10時近く(一時間半経過)になりますが、頑張って見学
 を続けます。・・・長くなりましたので、続きは次回に。