久し振りに関西の旅 ⑳西の京:唐招提寺~その3「開山堂と鑑真和上座像」
昨年11月末の関西旅行の記事、奈良・西の京にある唐招提寺の続きです。
唐招提寺は中国(唐)から渡って来た名僧鑑真和上が晩年に住んだ場所であり、開祖
とされています。その鑑真和上のお姿を現した、日本最古の肖像彫刻である国宝があり、
御影堂(みえいどう)という建物に安置されていましたが、現在建物は修復中でした。
まぁどのみち、この国宝彫刻は畏れ多いためか通常は非公開で、毎年6月5日から7日
の3日間だけ新宝蔵で公開されるのみなので、現物を拝むことはなかなかできません。
8世紀の奈良時代に脱活乾漆(だっかつかんしつ)技法で造られ、彩色されています。
脱活乾漆は麻布を漆で貼り合わせ整形を施す製法で内部は空洞となります。弟子の忍基(にんき)が制作を指導したとされ、今も鮮やかな彩色が残っています。
HPの写真を参考までに掲載させていただきます。
鑑真和上が坐って静かに瞑想しているお姿を現している感動的な作品なので、せめて
一目でも見たいと思うのが人情です。(ちなみに彼は日本に渡る船が難破するなど苛酷
な経験の末、盲目となってしまったのでした。)
というニーズ?に応えるため、唐招提寺では「鑑真和上お身代わり像」というものを
造り、開山堂というところで通常公開されています。ということで、オッサンはそこへ
行ってみました。
写真を撮り忘れましたので、ネットの写真から借用しました。あ、この写真では開扉
されているのでお身代わり像が外からも見えますね。
唐招提寺のHPを見ていたら、この鑑真和上お身代わり像の製作工程が掲載されていま
した。ということは、制作されたのはつい最近(平成時代)のことらしいですね。
オリジナルと同様の脱活乾漆技法で制作されたそうですので、とても興味深いです。
まずは見本?となる像を制作し、それを見ながら木材を使って骨格を作り、藁を巻いて
いきます。
うわ、ちょっと不気味ですね・・
この型の上に粘土を盛り付けて、塑像の形を作り上げます。細部は細かい土を使って
丁寧に仕上げます。
この塑像の上に、麻布と漆を交互に何枚も塗り重ねます。こんなものを使うようです。
楡(にれ)の表皮を粉末にして混入した楡糊漆を塗っていきます。根気が要りますね。
しばらく置き、表面が乾いて固まったら、背中を切り開いて粘土や藁を取り出します。
うわ、ちょっとこれは衝撃的ですね。鑑真和上様、お許しくだされ。
乾漆の素地が完成しました。もうこれで十分リアルな感じです。
最後の仕上げに彩色を施して完成です。このお身代わり像が、開山堂で見学できます。
唐招提寺さんのHPでは、このような制作過程を公開してくれています。やるねぇ。
この後は新宝蔵に向かい、唐招提寺の所有する貴重な仏像を見学します。
あれ?今回はオッサンが撮影した写真が一枚もないですね・・・(手抜きや。by妻)
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