久し振りに関西の旅 ㉒西の京:薬師寺 白鳳伽藍その1
奈良・西の京の薬師寺に行ってきました。(昨年11月末)
ここは世界遺産に指定されており、国宝である木造の東塔の修復が2021年の春に完了
したということで楽しみにしておりました。
薬師寺の歴史は古く、白鳳時代の680年に発願されて当時の都であった藤原京に創建
されました。その後平城京への遷都(710年)を機に、西の京に移築されたといいます。
8世紀の天平時代は天下の四大寺の一つとされて栄え、金堂、講堂、東西の塔それぞれ
が裳階(もこし:飾りの屋根)を持つ壮麗な建築で、「龍宮造り」と呼ばれていたそう
です。しかし、度重なる戦火や地震でお堂の大半は焼失し、唯一創建当時の姿を残して
いたのが東塔なのです。
薬師寺の広い伽藍は、長らく「がらんどう」(笑)だったと聞きますが、昭和40年代
になって、「写経寄進」による資金集めを行って白鳳時代の伽藍を再現する活動が開始
され、金堂、西塔、講堂が次々と復元されてきました。そして東塔の修復が完了した事
で、ようやく天下に誇る薬師寺の姿が揃ったといえるでしょう。(前置きが長い!by妻)
ちょっと見づらいですが、薬師寺の伽藍配置図です。中央が「白鳳伽藍」と呼ばれる
金堂、大講堂、東西の塔等から成る薬師寺の中心部分です。
左(北)側には、新しい玄奘三蔵院伽藍(三蔵法師にちなんだ建築)があります。
どうして三蔵法師が?といいますと、この薬師寺は三蔵法師が開祖である法相宗(ほっ
そうしゅう)の総本山だからなのです。1991年に創建され、三蔵法師様の頭部の遺骨の
一部を収めているとのこと。キリスト教の聖遺物みたいな感じですね。三蔵法師様の像
や、平山郁夫画伯の手になる「大唐西域壁画」と呼ばれる壮大な絵画があるようですが、
オッサンは白鳳伽藍の方を優先しました。(国宝オタクやからな。by妻)
ということで玄奘三蔵院伽藍を横目で見ながら、北門から白鳳伽藍に入ります。
入口となった建物には、金堂のご本尊である薬師如来像の台座模型がありました。
かなりの大きさです。薬師如来像も国宝なのですが、なんとこの台座も国宝なのです。
この台座には、奈良時代(8世紀)における世界の代表的な様式が集約されています。
写真だと拡大しないとわかりませんが、各面の中央にはインドから伝わった力神(蕃人
[ばんじん])の裸像が浮彫りされています。ニ階層ある框[かまち]の一番上には、
ギリシアの葡萄唐草文様[ぶどうからくさもんよう]、その下にはペルシャの蓮華文様
[れんげもんよう]が見られます。さらに下框には、中国の四方四神(東に青龍[せい
りゅう]、南に朱雀[すざく]、西に白虎[びゃっこ]、北に玄武[げんぶ])の彫刻
がなされています。正にシルクロードを通じて西域の文化が、遠くここ奈良にまで伝わ
っていたという証でしょう。
白鳳伽藍に北門から入ると、まず食堂(じきどう)が目に入ります。こちらは2017年
再建なので、まだ5年も経過していない新しい建物です。建物の外観は奈良時代の様式
に倣っていますが、内部は現代風の造りです。現代画家による仏教伝来を表した壮大な
壁画があります。・・・がオッサンは素通りです。
食堂の先には巨大な大講堂、その先には中心となるこれまた壮大な金堂があります。
そしてその先には東西に高い塔が見えます。とても広々とした空間です。
下の写真は大講堂のある場所(北側)から金堂と、東西の塔を写したものです。少し
逆光で見にくいですが、スミマセン。人間がとても小さく見えますね。そうそう、この
時は急に俄か雨がザーッと降って、雨が上がったらカンカン照りになる変な天気でした。
オッサンは、このメインの3つの建物を見学する前に、東塔の脇にある地味な建物を
先に見学します。東院堂という鎌倉時代の建築で、国宝に指定されています。
東院堂には国宝の聖(しょう)観世音菩薩像があります。
写真撮影禁止のため、再びネットから写真を借用しました。均整がとれていてスリム
なプロポーションの美しい像です。直立不動で両足を揃え、真っすぐに正面を見据えて
いる感じです。制作年代は8世紀の奈良時代であることは間違いないようです。
さぁ観音様を拝んだ後は、いよいよ薬師寺の中心たる金堂と東西の塔を見学します。
薬師寺はもう一回だけ続きます。
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