Bonne(ボンヌ)のブログ

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四国(高知・徳島)に行ってきました ⑦脇町の「うだつ」の家並み

  四国の記事の続きです。
  大歩危駅から列車に乗って、乗換駅の阿波池田に着きました。ここは高松へ向かう
 土讃本線と、徳島へ向かう徳島本線の分岐点です。列車に乗ってきた土讃本線と一緒
 に北上してきた吉野川はここで向きを東に変え、徳島本線と並行して東に向かいます。
  しかし乗り換えの特急列車の発車時刻を間違えていたので、一時間ほど阿波池田の
 駅で時間をつぶすことになりました。改札口を抜けて駅前に出てみると、昔懐かしい
 ボンネットバスが止まっていました。観光用の特別仕様のバスのようです。

  この後訪問するのは、「うだつ」のある家々の街並みが有名な「脇町」なのですが、
 ここ池田町にも「うだつ」のある家が並ぶエリアがあるようです。しかし一時間で見て
 くるには少々時間が足りません。おとなしく駅で列車を待つことにしました。
 あ、そういえば高校野球で一世を風靡した「池田高校」はこの街にあるんですよね。
 名将蔦監督が率いる「やまびこ打線」が甲子園を席巻したのは、もう30年以上前なの
 かな?ジャイアンツで活躍した水野投手の出身校でしたね。


  さて11:30阿波池田始発の徳島行き特急「剣山(つるぎさん)」6号がホームにやって
 きました。特急列車なのに2両編成です。車内は日曜日の昼間とあって、ガラガラです。

  特急列車と言っても停車駅は多く、快速列車とさほど変わりませんが、特急車両なの
 でリクライニングができたりしますので、やはり快適です。(アホ)


  車窓からは雄大な吉野川の流れがところどころで見えます。吉野川の流れが切り開い
 た平地に沿って道路と鉄道が敷かれ、町や集落が続いていきます。
  阿波池田から約30分で穴吹駅に到着しました。ここで下車して、脇町に向かいます。
 しかし特急が停車し、この辺りでは大きな駅のはずの穴吹駅にはコインロッカーはあり
 ません。荷物預けもなければ食事をするお店もありません。無人の観光案内所に置いて
 ある観光パンフレットも見ると、「脇町(わきまち)」まではタクシーで行くしかない
 ようです。ちょっとした観光地になっているので、脇町まで行けばなんとかなるだろう
 と思って、駅前に待機していた暇そうなタクシーのおっちゃんを捕まえて?、脇町まで
 行ってもらうことにしました。
  運ちゃんはなかなか愛想のよいおっちゃんで、いろいろ土地のことを話してくれまし
 た。脇町は穴吹(あなぶき)駅から吉野川を渡った対岸にあり、穴吹町と脇町(他)は
 平成の大合併により美馬(みま)市となったそうです。
  また吉野川はこの辺りではかなりの川幅になるので大きな橋は数本しかなく、穴吹駅
 と脇町の集落を結ぶ最短ルートは、吉野川の堤防の上から川岸近くまで下りて行って、
 手すりのない「沈下橋」のような低い橋を渡っていくのだそうです。確かにそのルート
 を通りました。普通は堤防の上から対岸の堤防の上まで橋がかけられるのですが、この
 橋はかなり昔からあるものらしく、本当に河原の両岸を低い橋でつないでいる感じです。  
  そういえば高知の四万十川の橋もこのようなタイプで、川が増水した時には橋が水中
 に沈むので、その前提で頑丈に作られている(流出してしまうので欄干などはない)と
 いうことでしたが、この橋もそうなのでしょうか?
  あ、ネットで検索したら「吉野川の潜水橋(沈下橋)」の写真がありました。そう、
 これ ↓ です。オッサンを乗せたタクシーは往復ともここを通りました。といいますか、
 最短ルートなので、狭いけど地元の皆さんは普通にここを通るようです。

 

  思わぬ面白い光景が見られてよかった。そしてこの橋を渡ってすぐ、脇町の街に到着
 します。運ちゃんは、「うだつの街並みの西側の入り口に付けますよ。そこから歩いて
 いけば一通り見学できるからね」というので、その通りにお願いしました。いろいろと
 お世話になり、有難うございました。料金は穴吹駅から1000円ほどだったかな。


  さて、脇町は「うだつ」の街並みが有名といいますが、「うだつ」とは? 

  はい、上の写真が脇町の「うだつの町並み」です。左右の建物のほとんどに、隣家と
 の間を仕切る小さな白い壁がありますね。その壁の上に瓦が乗っていて、ちょっとした
 装飾が施されていますが、これが「うだつ」なのです。もともとは、火事の延焼を防ぐ
 目的だったようですが、だんだん凝った造りになって、威厳のある装飾性の高いものに
 なったそうです。見栄えのする「うだつ」を軒先に上げることは経済力の証でもあり、
 一種のステイタスになったということです。「うだつが上がらない」というのは、ここ
 からきているらしく、経済力に乏しい家(男)はうだつを上げることができない、との
 逸話から、こうした慣用句が生まれたようです。ご丁寧に解説の看板がありました。


 (そうか、オッサンみたいなパッとしない人のことをいうんやな。オッサンの場合は、
 うだつどころか、家も建っとらんからな・・・by妻)(ほっといてんか!by私) 

      

   ↑ は脇町にある、典型的な防火壁としての「うだつ」です。なかなか凝っていますね。
 実際のところ、「うだつ」を上げるには結構な費用がかかったようです。
 こうした「うだつ」の特徴的な家が街並みを作っているところは全国的にいくつかある
 ようですが、ここ徳島・脇町の街並みはその中でもかなり有名なところだそうです。
 この狭い道の両側にかつての商家が建てた「うだつの上がった家」が建ち並ぶんでいる
 のは実に壮観です。この日も少なからぬ観光客が見学に来ていました。本格的なカメラ
 で写真撮影をしていたり、水彩画を描いている方もいました。年配の方々だけでなく、
 デートに来ている?若いカップルもかなりいました。そんな中を、また人目を気にしな  
 がらゲリラ撮影をしているオッサン。(大概にせぇよ。by妻)

  デジカメで撮影した写真はちょっとピンボケ気味でした。

  うだつの二階部分の瓦が乗った部分を拡大します。隣家と競い合っているみたい。


  脇町の商家のなかでも有数の「吉田家」は市指定の文化財として一般公開されており、
 屋敷の中や庭園を見学することができます。有料ですが、さっそく入ってみました。
 ちなみに吉田屋は徳島名産の藍染を扱って財を成したそうで、創業は1792年。建物は
 江戸時代のもので、母屋や蔵が中庭を囲んでいます。

  「御成玄関」をちらっと覗いてみました。

        

  母屋は自由に見学できましたので、またしてもこんな写真を撮るオッサン。(アホ)

  廊下越しに中庭が見えます。なかなか落ち着いています。

 


  なかなか興味深い街並みでしたね。パンダ君も気に入りました。(アホ²)

  しかし、それなりの観光地だというのに食事をとれるお店が非常に少ないです。
 蕎麦屋と、若者向けのパスタ屋さんと、ちょっとした軽食を出す店しかありません。
 午後1時を過ぎてやや空腹でしたので、ちゃんとした食事ができるところがないかと
 探しました。それで、ようやく見つけたのが吉田屋の裏手にある「藍蔵」というお店。
 一階がショップ、二階がレストランになっています。おばちゃんが二人で切り盛りして
 いて大変そうですが、もう時間がないのでここで食事をとることに決めました。
  オッサンは荷物(小型のキャリーバック)を持ったまま観光をしていましたが、ここ
 で荷物を預かってくれるそうです。なんだ、最初にここに寄っておけばよかった・・・


  ようやく遅い昼食にありつけました。地元の「阿波尾鶏」のせいろ蒸しご飯です。
 シイタケや山菜も入っていて素朴な味ですが、歯ごたえのある鶏肉と、味がしっかりと
 しみ込んだご飯がとても美味しかったです。もちろんビールと一緒です。

  食事を終えて午後1時40分。ここで少しお土産を購入し、タクシーを呼んでもらい
 ました。タクシーは、少し歩いた先の「道の駅」の駐車場まで来てくれるそうなので、
 そこまで歩いていきます。
  それで気づきました。この「藍蔵」も吉田家の敷地の一部で、下の写真にある「堀」
 までつながっていたのでした。つまり、船で直接出入りができるようになっていたと
 いうことです。昔は大量輸送は水運頼みでしたから、商人の家は船を出せる場所まで
 敷地を確保していたようです。写真の右端に途切れていますが、江戸時代?の船の模型
 が展示されていました。

  タクシーはすぐに来てくれて、再び吉野川の沈下橋を通って、JR穴吹駅まですんなり
 戻りました。いよいよ四国の旅は、もう終わりに近づいています・・・
 次回が最終回です。二泊三日だとやっぱり早いですね。(他の記事が長すぎじゃ。by妻)