Bonne(ボンヌ)のブログ

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2024年GW:スペイン・フランスの旅 ㉑プラド美術館を45分で鑑賞するなんて無理やん・・・その1

  オッサンの夏休みが早くも終了してしまいましたが、ブログでは旅を続けます。😆
  今夜はGWのスペイン旅行の記事を再開します。マドリード随一の見どころ、世界屈指
 の美術館であるプラド美術館。見学には最低でも半日は必要と言われていますが、普通
 の人間の集中力はせいぜい2時間だと認識していますで、オッサンはいつも2時間程度
 で見学することにしています。しかし、予定を若干早めて到着したものの、入館待ちの
 大行列に遭遇してしまいました。30分くらい待って、2時間弱は見学できると見込んで
 いたのですが、甘すぎました・・・どう考えても1時間以上はかかりそうです。

  このまま並んでいても、ひょっとしたら見学時間がほとんどなくなってしまうかも
 しれないと思いましたが、今更別の場所に行くのも面倒ですし、今回見逃してしまった
 ら、次にいつ来ることができるかわからないので、ひたすら並んで待つことにしました。
  この直前にソフィア王妃芸術センターで並んだ経験から、この行列の原因は入館時の
 セキュリティチェックのためだと予想したので、流れは早いだろうと思ったのです。
 確かに進みは早かったのですが、いかんせん行列が長すぎました。上の写真の美術館の
 建物の裏手にまで行列は伸びていて、どこが先頭なのかもわかりません・・・
  並んでいる間に、美術館の横の広場にあったスペインを代表する画家ゴヤさんの銅像
 の写真を撮りました。美術館正面は先輩?のベラスケスさんの銅像でしたが、ゴヤさん
 はちょっと冷遇されている?ようです。(そんなことはないと思うけどな。by妻)

    

  建物を回り込んだずっと先の、ヘロニモスの入口のところが一般入場者の入口のよう
 です。あ、並んでいる人たちの近くにギターを弾くオジサンがいました。スペインらし
 い雰囲気ですね。オッサンも2ユーロを寄付しました。(ケチやな。by妻)
   
プラド美術館の行列 2024年4月29日


  気が遠くなるような果てしない行列でしたが、進みが早かったためなんとか1時間強
 で美術館の入口にたどり着きました。しかし、さらに試練が待ち受けていました。入口
 のセキュリティチェックでオッサンは引っかかってしまいました。😖 何かと思ったら
 妻の写真立ての金属部分に反応したようです。係の人は、荷物を預けて来いというので
 忍耐が限界に来ていたオッサンはプチンとキレて係の人を睨み返しました。なんで妻の
 写真を預けなければならんのじゃ! たじろいだ係の人は、申し訳ないというような顔
 をしてオッサンを荷物預けまで案内しました。まぁ、規則だから仕方がないか。ここで
 揉めてさらに時間を浪費しているのもバカバカしいしな・・・ということで妻の写真を
 美術館の中に持ち込むことができませんでした。位牌は持ち込めましたけれどね。
  そんなことをしているうちに時刻は午後2時15分。予定では遅くとも午後3時頃には
 美術館を出て、ホテルに戻って荷物をピックアップし、中心部ソルから少し離れた場所
 にあるチャマルチン駅を15:50に出発する特急電車に乗ることにしいていたため、なんと
 見学時間は45分程度となってしまいました。😖 まぁ、仕方がない。少しでも見学でき
 るので良しとしよう。しかし、鑑賞する作品をかなり大胆に絞らなくてはならなくなり
 ました。オッサンは必見の名作を一通り鑑賞したかったのですが、やむを得ません。


  ここで、プラド美術館の平面図を載せておきます。広い宮殿のような本館(ビリャヌ
 エバ館)と、新たに増築されたヘロニモス館(下の図で上に突き出た部分)があります。
 主要な名作は本館にありますので、ヘロニモスの門(入口)から入場したオッサンは、
 すぐに本館の方に向かおうとしました。

  おっと、その前にやることがありました。ヘロニモス館と本館の間のスペースにある
 ミュージアムショップ(ブックショップ)に立ち寄り、図録を購入しておきました。
 収蔵作品が多いためかなり分厚くて重いのですが、ここは写真撮影厳禁のため、図録が
 必須です。(図録がないと何を見たのか忘れてしまうからな・・・by妻) なお、ここ
 はさすがに日本語版がありました。良かった・・・


  さて、この広い美術館に収蔵された名作の数々を、僅か45分で鑑賞する羽目になった
 オッサン。こういう時は、思い切りが必要です。まずはヘロニモスの入口(要は裏口)
 近くのめぼしい作品から見て行きます。帰る時は迷わずにここに戻って来なければなり
 ませんので、どんな作品があったかを記憶しておくためでもありました。(方向音痴の
 オッサンやからな・・・by妻)
  55番の部屋には16世紀スペイン絵画、ハプスブルク家に仕えた宮廷画家のコエーリョ
 さんの作品がありました。スペイン・ハプスブルク家、つまりスペイン王家の方々を描
 いた肖像画がいくつかありました。写真撮影禁止ですので図録からのものを掲載します。

     

  おお、このちょっと面長で顎がとんがっているのがハプスブルク家の方々の特徴です
 が、この若者はわりと美形ですね。そう、歴史的に有名なフェリペⅡ世の長男ですが、
 非業の死を遂げたカルロス王子の肖像です。あの、ヴェルディ先生の大作オペラ「ドン・
 カルロ(スペイン語ではカルロス)」の主人公ですね。 
  とにかく、コエーリョさんのスペイン王室の方々の肖像画があるところが出入口近く
 だということがわかりました。(ちゃんと絵画を鑑賞しているんかい? by妻)


  そしてその隣(図では下側)の55Bの部屋は、ドイツ絵画でした。ドイツルネサンス
 を代表する画家デューラーさんの自画像がありました。これはルーヴル美術館にも似た
 ような肖像画があったように思いますが、気のせいかな・・・ 1498年の作品ですが、
 そんなに古さを感じさせません。時代を超越するような絵画なのかもしれません。

      

  このほかデューラーさんの作品は、「アダムとイブ」がありました。(写真省略)


  その左隣の部屋(56B)と、その先の大広間はルネッサンス前期のイタリア絵画です。
 西洋美術史において欠くことのできない代表的な画家の作品が目白押しでした。しかし
 一つ一つを丹念に鑑賞するのは無理でしたので、これはと思う作品に絞りました。
  まずは15世紀中頃にフィレンツェで活躍した修道士画家フラ・アンジェリコさんです。

  フィレンツェのサン・マルコ修道院で見たような、彼らしい美しい宗教画「受胎告知」
 です。図録の写真なのでいまいち鮮明さに欠けますが、ホンモノは素晴らしかったです。
 大天使ガブリエルに「あなたは神の子を宿っています」と告げられた聖母マリア。普通
 は困惑した表情なのですが、敬虔な修道士のアンジェリコさんは毅然とした表情でそれ
 を受け入れるマリア様を描いています。画面の左背景には、原罪(アダムとイブの楽園
 追放)が描かれ、またメインの絵の下には聖母の生涯を描いた小さな板絵が付いている
 のが面白いですね。この時代は教会に飾られて参拝の対象となることを前提に描かれて
 いますので、読み書きのできない当時の庶民の信者にも理解できるようにいろいろ工夫
 が凝らされていたようです。


  次はルネッサンスらしい、全く宗教っぽさのないボッティチェッリさんの作品。この
 絵は3部作のようになっていますが実は4部作で、最後の1枚は個人蔵なのだそうです。
 ボッティチェッリの絵を個人で所有しているなんてどんな人なんだろう・・・ま、それ
 は置いといて、なんじゃ?この変な絵は・・・

    

  解説によりますと、この絵は当時(15世紀)に流行していたボッカチオさんのデカ
 メロン(大きなメロンではなく、10日の間に話された物語という意味です。)を題材
 にした「ナスタディオ・デリ・オネスティの物語」というそうですが・・・ 
  この絵に描かれた半裸の女性とそれを追い回す馬上の男性は実は亡霊で、言い寄った
 女性に拒絶されて自殺した男が、死後にその復讐をしているという話らしいです。うわ
 とんでもないストーカーちやう? それを見て驚いている赤いタイツの男性が主人公の
 ナスタディオ君で、意中の女性をGETするために彼女にこの話を聞かせたのだそうです。
 それって脅しちゃうんかい!(by妻)
  プラド美術館にはない最後の4枚目の絵にはナスタディオ君が女性と晴れて結婚する
 披露宴が描かれているそうですが、プラドにある3枚はおどろおどろしい亡霊たちの絵
 だけなのでちょっとビビります。これ、貴族の結婚式のために描かれたそうです・・・


  このほか、オッサンの好きなアントネッロ・ダ・メッシーナさんの作品や、マンテー
 ニャさんの作品など、イタリア以外ではなかなかお目にかかることが少ない画家の絵も
 ありましたが、時間がないのでほんの少し立ち止まって見るだけでした。(写真なし)
  
  本館地上階(日本式では1階)のイタリア絵画コーナーの見どころの一つは、人気の
 ラファエロさんの絵画です。5点ほどが展示されていました。
  その一つ、「子羊のいる聖家族」です。かわいらしい幼子イエスと、優しそうな聖母
 マリア、そしてヨゼフ(ちょっと微妙な立ち位置のお父さん・・・)という定番ですね。
 もう絵を見ただけでラファエロだなとわかります。

    

  聖母子を描いたもう一つの作品、「魚の聖母」と呼ばれる絵です。聖母子の右の老人は
 聖ヒエロニムス(足元にシンボルのライオンが描かれている)、左手は大天使ラファエル
 と、魚を携えたトビアス。トビアスの父親の病を治した魚だそうですが、魚を食べて盲目
 が治ったということか・・・キリスト教には奇跡と呼ばれる出来事が多いですね・・・

    

  レオナルド・ダ・ヴィンチ様やミケランジェロ様の作品はありませんが、ラファエロ
 様の作品をたくさん拝むことができて良かったです。 
  プラド美術館で必見の作品はまだまだあります。しかしオッサンに残された時間は、
 あと25分しかありません。(無理やん・・・by妻)
  もうピンポイントで行くしかありません。オッサンは意を決して本館の1階(日本式
 の2階)に駆け上がりました。(美術館の中を走ったらアカンで。by妻)
  
  ということで、次回に続きます・・・スミマセン。