師走の京都 ⑤南禅寺塔頭の金地院と湯豆腐
南禅寺の三門を出て、南禅寺塔頭(たっちゅう)の金地院(こんちいん)を見学
します。あ、その前に面白いものがあります。水路閣というレンガ造りのアーチ橋
です。なぜこんなところに?
琵琶湖疏水という、琵琶湖から京都市内に向けて引かれた水路で、南禅寺の南側を
通り京都市東山区蹴上(けあげ)まで通じています。疏水の工事は1885年に始まり、
1890年に竣工したそうです。古代ローマ時代の水道橋をイメージさせますね。今では
ちょっとした観光名所になっています。
ちなみにこれ ↓ が古代ローマの水道橋。南フランスにあるポン・デュ・ガールです。
紀元一世紀(日本だと縄文時代)にこのような大規模なインフラを構築する意志と能力
があったとは、驚嘆すべきことです。(古代ローマ贔屓なオッサンやな、by妻)
15年くらい前に、妻と古代ローマゆかりの地を旅した時にここを訪れましたが、実物を
見ると本当に感動します。なんでこんな辺鄙なところに行くのかと訝しがっていた妻も、
大自然の中に突如現れる古代遺跡にびっくりしていたようでした。
いかん、話がそれていますね。京都・南禅寺の話に戻します。
南禅寺塔頭の金地院が特別名勝の庭園を特別公開しているというので、「特別」には
弱いオッサンはすかさず見学に参ります。
庭園の入口の門は「明智門」と呼ばれ、あの光秀さんが母の菩提を弔うために寄進
したお金で作られたそうです。元々大徳寺にあったものが明治時代に移築されたもの
だそうです。ふーん、門とか御殿を移築することが結構あったみたいですが、木造の
ものだから容易だったのですね。西洋の石造り建築ではなかなか難しいと思う。
明智門から中に入るとかなり広い池を配した庭園があります。ここから山道のような
ところを少し歩いて、特別名勝の枯山水庭園に向かいます。
途中には、古びてはいますが立派なお堂があります。その名も東照宮というようで、
やはり徳川家康ゆかりのものだそうです。小堀遠州の作で重要文化財。彼は庭だけで
なく、お堂も作っていたのですね。
金地院は徳川家康の信任厚い僧、以心崇伝の住まいだったところで、江戸時代には
かなり有力なお寺だったようです。政治力のある坊さんが権力を掌握するのは、古今
東西よくある話のようですね。
さて、しばらく歩くとようやく枯山水庭園と方丈が見えてきました。この庭園もまた
小堀遠州の手になるものらしく、「鶴亀の庭」と名付けられています。崇伝が徳川家康
のために作らせたといいます。縁起のよい名前を付けたりして、権力者を喜ばせるのは
頭脳明晰な僧侶には朝飯前ですわな。まぁ、お蔭で後世の私たちも、この庭を鑑賞する
ことができて有難いですけど。
かなり広大な庭で、かなり遠くの方に巨石や松などの植栽が配置されています。
上の写真中央が鶴島で、背後には松などの常緑樹が植えられています。左側に亀島が
あり、そちらの背後には落葉樹が植えられています。芸が細かいな・・・
さて正午を過ぎましたので昼食にします。観光客が思ったより少ないので、待ち時間
も少なくて済みそうです。コロナのせいで観光客が激減していて観光業に携わる方々に
とっては申し訳ないですが、このくらい人が少ない方が京都の雰囲気がきちんと伝わる
気がします。外国人の方がほとんどいませんので、これも関係あるでしょう。
南禅寺門前でご飯を食べるといったら、やはり湯豆腐でしょう。有名な「順正」さん
に行ってみました。この店は江戸時代から続く老舗です。観光シーズンは長蛇の列で、
1時間待ちもザラですが、この日はすぐ案内してくれました。待ち時間ゼロなんて初め
てのことです。
ここは何回か妻とも来たことがあります。しかし、これからはずっと一人だな・・・
このお店は中の庭園も風流でいいのです。この風景を楽しみながら食事ができます。
湯豆腐はおひとり様でもOKです。野菜の天ぷら付きの湯豆腐セットを頼みました。
ついでに地ビール(石川五右衛門の図柄)も!
このあと味噌田楽と野菜の天ぷら、御飯と味噌汁が出てきますので、オッサンには
十分満腹になります。もちろん美味しいです。
3,000円とやや値は張りますが、今回はGo To トラベルのクーポン券があったので
それで支払いができました。
午前の部が終了。ここからまた大忙しです。(またかいな・・・by妻)
地下鉄の蹴上駅まで向かう途中に、インクライン(琵琶湖疏水の一部)の脇を通り
ます。蹴上から南禅寺までの急勾配は船が航行できないので、線路を敷いてその上を
台車に乗せた船を運んだそうです。明治時代から昭和23年まで使っていたそうです。
今も琵琶湖疏水の急流の脇を、線路跡が残っていて観光名所となっています。
地下鉄蹴上駅まではかなりの登り道。南禅寺前の交差点から10分程度かかります。
ここから地下鉄を乗り継いで北大路まで行き、さらにそこからバスに乗って今度は
洛西の名刹を巡ります。(東から西へ大忙し矢野・・・by妻)
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