思い出の旅2007シチリア ⑫アグリジェントの考古学博物館
すっかり間隔があいてしまいましたが、シチリア島の記事を再開します。(こりゃ、
いつ終わるかわからんな・・・まだ実質2日目やで・・・by妻)
シチリア島南岸の街アグリジェントの古代ギリシア遺跡を見学した後、その近くに
ある州立考古学博物館を訪れました。20分では無理ですが、大急ぎの30分で見学です。
博物館の近くには、武骨なレンガ造りの中世の教会と、ヘレニズム時代(古代ギリ
シアから古代ローマへの過渡期の時代)と思われる円形劇場の跡がありました。
古代ギリシアの神殿、ヘレニズム時代の野外円形劇場、中世キリスト教社会の教会と、
それぞれの時代を特徴づけるものが近接しているというのが面白いです。
博物館の近くには古代ローマ時代の石像のレプリカが・・・首が取れていますけれど
周囲の風景になんとなくマッチする感じ。
パレルモの州立考古学博物館は入ることができませんでしたが、ここはオープンして
いました。重要な観光資源ですからね・・・
内部はアグリジェントや近郊で発掘・発見された主に古代ギリシア時代の美術工芸品
がたくさん展示されていました。とても30分では見切れないほどの量です。
ちょっとガラスに光が反射してしまって見づらいですが、古代ギリシアの見事な彩色
式の壺が大量にありました。黒地や赤地の上に神々や人々、動物の絵が生き生きと描かれ
ています。古代ギリシア人の造形美術に対する力の入れようは、神殿建築とともにこの
色絵の壺を見ればはっきりわかりますね。芸術的センスも天才的です。
ちなみにこれは「アッティカの壺」とよばれ、ギリシアのアテネを中心とする地方で
紀元前5世紀末に造られた作品らしいです。「赤絵」と呼ばれる様式で、ギリシア本土
の「デルフィの聖域での生贄(いけにえ)の儀式」を描いたものだそうです。
こちらは戦いのシーンです。工芸品というより、もはや美術品というべきですね。
古代からシチリア島を象徴する「トリナクリア(三本の足)」の絵柄の皿?もありま
した。3つの足はシチリア島の3つの岬を表しているのだそうです。シチリア島内には
このトリナクリアを絵柄にしたお土産品が一杯ありましたが、ちょっと不気味です。
ものすごく貴重な古代ギリシアの美術品がたくさん展示されていますが、時間がない
ので、オッサンたちは目玉の作品2つに突進です。(アホ)
ということで、このアグリジェント考古学博物館の至宝の一つは、コレ ↓ です。
あれ?これはどこかで見たような・・・はい、そうです。ジョーヴェ(ゼウス)神殿
の遺跡にこのコピーがありました。あの腹筋運動をしている(ちゃう)石像です。
「テラモン」と呼ばれているようです。
ジョーヴェ神殿の列柱には、このような巨人像がはめ込まれていたそうで、博物館に
はその唯一のオリジナル作品が展示されていました。
かなり摩耗していますが、全長7.6メートルの巨人像は迫力がありました。こんな像が
神殿の列柱になっていたのですね、当時の人たちも驚いたことでしょう。
そしてもう一つの傑作はこちら ↓ です。
「アグリジェントの若者(クーロス)」と呼ばれる大理石像です。世界でもごくわずか
しかないという古代ギリシア時代のオリジナルだそうで、紀元前5世紀の作。まさしく
古代アグリジェント(アクラガス)の最盛期に造られた芸術品です。
古代ギリシアでは若い青年の裸体を理想の美とみなして、このような裸体像が数多く
制作されたそうです。完全な形ではないのがやや惜しまれますが、それでも秀逸な作品
であることは疑う余地はありません。美術作品のお手本ともいうべき傑作です。
現地で購入した日本語版の図録にアップ写真がありましたので掲載しておきます。
斜め後ろから見た写真も図録にありました。お尻がやけにこんもりしていますけど・・・
うーん、2000年以上も前にこんな素晴らしい芸術作品を生み出しているとは、古代
ギリシア人、恐るべし・・・(現代ギリシア人は・・・それを言ったらアカン。by妻)
ということで、駆け足でジャスト30分の見学でした。もうちょっと時間を取っておけ
ばよかったなぁ・・・(オッサンの計算違いはよくあることやからな・・・by妻)
駐車場に戻ると、運転手のオジサンは文句も言わずに迎えてくれました。しかしこの
オジサン、にっこり笑って一言・・・
「時間オーバーした分は、お昼ご飯の時間を削るからね・・・」😊😊😊
うわあ、やられたぁ~😆(アホ)・・・さすがイタリア人。恐るべし。
・・・続く・・・
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