Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

師走の京都 ⑬ラストは龍安寺 ~その2~

  すみません、2日がかりになってしまいましたが龍安寺の続きです。
  ブーイングが聞こえましたので(笑)、急ぎます。


  方丈の南側に世界的に有名な石庭、本格的な枯山水庭園があります。龍安寺を訪れる
 方は100%ここを見に来ると言っても過言ではないでしょう。(よく知らないで来る人
 も少しは居ると思うで・・・by妻。あのね、人の話の腰を折らないように。by私。) 
 夫婦漫才はサルでも食わない(嘘)ので、先を急ぎます。


  はい、これが「石庭」です。広い白砂の敷き詰められた長方形の広い空間に、大小
 15個の石が配置され、厳かに佇んでいます。幽玄の世界とはまさしくこのことでは?
  この庭は、見る位置・角度によって受ける印象が変わってくる、なんとも不思議で
 魅惑的な庭園なのです。オッサンの能書きはもういいから、見て頂きましょう。
 まずは入口側から見た構図。ここから全体を俯瞰するのが定番ですかね。 

  対角線上にワサオを配置しますと・・・アホゥ。(by妻)

  またしてもブーイングが聞こえましたので、真面目に参ります。
 入口手前側をアップにするとこのように見えます。背後の土塀も趣がありますね。
 この左側の大きな石は苔の生えた島の上にあって存在感抜群。視線をここに集めること
 で全体の安定感が増すのではないかと。その左右にあるのは衛星のような小島の小石。
 島の周りに等圧線のような縞模様が描かれています。磁場を表しているのでしょうか?

  方丈の縁側に座って、真ん中あたりから見るとこんな感じ ↓ です。点在する小島は
 よく見ると苔の島の上に複数の形の異なる石が配置されているのがわかります。これ、
 見る位置と角度によって、石が一つに見えたり二つ見えたり、重なって形が変わって 
 見えたりするので、実に興味深いです。

  奥手の方を間近に見ると、このように見えます。ここは安定感のある構図ですね。

  奥手のほうから振り返ってみると、こんな感じに見えます。ほう・・・

  このアングルは、前景に人物を入れると良い記念写真が撮れるスポットだと思います。
 ということで、妻の写真とアムル君(アムルーズの略)をパチリ。(えぇ加減にせい)
 

  ちなみにこの庭は、石の配置から「虎の子渡しの庭」や「七五三の庭」の別称がある
 そうです。「虎の子渡し」とは一種のクイズパズルのようなもので、虎の子3匹のうち
 1匹は他の子どもを襲って食べてしまうので「母親が子虎全員を安全に対岸に渡すため
 に考えた方法」を、石の組み合わせで表したもの、という解釈なのだそうです。
 答えは、一回目:どう猛な子Aと大人しい子Bを連れて渡り、帰りにどう猛な子Aを連れ
 て戻る。二回目:どう猛な子Aを残して大人しい子Cを連れて渡り、対岸にCを残して
 母親だけ戻る。三回目:残ったどう猛な子Aだけを連れて対岸に渡り完了、ということ。
 <解説>
  A(どう猛)、B、C →  Cを残して、A(どう猛)とBを対岸へ連れていく →
  A(どう猛)をいったん連れて戻り、対岸にはBだけが残る状態 →
  A(どう猛)を元の場所に残してCを連れて対岸に渡り、対岸にはBとCが残る →
  最後にA(どう猛)だけを連れて対岸に渡り、対岸にA(どう猛)、B、C全員が揃う 
 ・・・というストーリーの各場面を、これらの石の組み合わせが表しているという解釈
 だそうです。うーん、ちょっと無理があるのでは?


  そして、「七五三の庭」の意味とは?
 東から5、2、3、2、3の5群で構成される石組を、5と2で七石、3と2で五石、そして3で
 三石という分け方をする見方だそうです。奇数は縁起がいいので、ええやないかと。


  まぁ解釈はどうあれ、いかがでしょうか。今回は観光客の数も少なく、ゆっくりいろ
 いろな位置・角度から石庭を楽しむことができました。訪れる人の大半がかなり長い間、
 縁側に座って石庭を眺めていました。時の経つのをしばし忘れるというのも決して誇張
 ではありません。
  エリザベス女王様がこの庭をいたく気に入られたというのは、優れた物を飽きるほど
 見てきた西洋人の審美眼にも十分叶うものだったということですよね。古今東西、正真
 正銘のホンモノは、時空を超えて人々に認められるものなのだと思います。
  ミクロコスモス・・・小宇宙・・・この小さな庭はそのように表現されることもある
 と聞きます。この日本の宝を、後世にも伝えていく義務が我々にもあると思いました。


  静かな興奮醒めやらぬなか、先に参ります。先ほど見てきた方丈の襖絵(龍と金剛山)
 を横目で見ながら、方丈の北側に向かいます。

  そこには茶室と、その前には有名な蹲(つくばい)があります。
  なぜ有名かって?まぁ見てください。

  わかりますでしょうか?
  真ん中の水をたたえた大きな「口」の周りには何やら文字が描かれていますね。これ
 を上から時計廻りに読むと、「吾」「唯」「足」「知」となります。つまりこの蹲には
 「われ、ただ、たるを、しる」という禅の精神が表されているのだそうです。
 これは一本取られましたね。(まぁ、欲張りなあんたにゃ所詮無理なことやな。by妻)
 この言葉を「座右の銘」とされている紳士の皆様も恐らく多いのではないでしょうか?


  うーん、さすがは龍安寺。禅寺としての精神を、余すところなく見るものに訴求する
 とは参りました。京都を、いや日本を代表する禅寺であり、庭でした。


  これにて、京都のお寺めぐりの旅を締めさせていただきます。長々とお付き合い頂き
 有難うございました。 


  さぁ、名残惜しいですが後は帰るだけ。市バスに乗って京都駅へ・・・イヤ、その前
 に荷物を取りに行かなくちゃ。まずは京阪三条までバスで向かいます。