Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2017年夏、北欧&ドイツの旅 ㊹ローテンブルク市街地観光 ~聖ヤコブ教会~

  北欧・ドイツの旅の記事は、夏の記事なのにもう冬になってしまい、このままでは年
 を越してしまいそうな状況です。なんとか年内完了を目指して進めます。(そんなん、
 気にしてるのはオッサンだけやで。みんなどうでもいいと思ってるで。by妻)


  さて再び城壁の中に戻ってきました。ホテルで少し休憩してから、城壁の中の市街地
 を観光します。まず中心地のマルクト広場と反対側、町の西側に向かいます。ほどなく
 町の西側に位置するブルク門が見えてきました。高い塔と分厚い石門でできたブルク門
 を抜けると、ブルク公園という静かな公園に出ます。散策する人たちがちらほらいます
 が、鳥の声がときおり聞こえるだけでとても静かです。ここから坂道を下りて行くと、
 朝に散策したタウバー川の渓谷に出て、ドッペル橋のところまで行けるはずです。

   

  再び門をくぐって城壁内に戻ります。このように ↓ かなり分厚い門になっています。

  この日も少々天気が悪く、時折小雨がぱらつきますので折畳み傘を持っての観光です。
 しかし雨に濡れた石畳の街並みも悪くはありませんね。 

  さて、まずはこの街の二番目に重要な観光名所である聖ヤコブ教会に参ります。いや
 主教会だからこの街で最も重要な施設というべきでしょうか。町の中心のマルクト広場
 からは1ブロック北側にあります。
  この小さな街にはサイズがそぐわないほど巨大すぎる立派な教会です。やっぱり普通
 のデジカメでは全体像が収まりません。ヴィデオだと広角レンズがないとお手上げです。
 結局東側の方から撮影した1枚しか写真を撮っていませんでした。

   

  この豪壮な建築はゴシック様式ですね。1311年に建設が始まり1490年に完成したそう  
 です。元々はカトリック教会でしたが、宗教改革によってこの街は新教派の町となり、
 今ではプロテスタントの教会となっていますが、ずっとローテンブルクの主教会として
 重要な役目を果たしてきました。さっそく内部を見学します。
  しかし、なんと入場は有料でした。2ユーロ(250円)なので大した額ではありません
 が「教会は誰でも自由に入ることができる」という固定観念は捨てたほうがいいのかな?


  ゴシック教会に特有の高い梁に支えられた巨大な空間には圧倒されます。外観はこの
 町の立つ土地の色なのか黄土色でしたが、内部は白を基調とした明るい色をしています。

    

  細長い建物の内部は以下の図のようになっています。ちょっと小さくて見づらいね。
 右(東)側の先端部分が主祭壇です。上の写真の奥に、主祭壇とその背後にある派手な
 ステンドグラスが見えます。

  プロテスタントの教会になったためか、全体的にゴチャゴチャした装飾は少ないです
 が、主祭壇とステンドグラスは豪華です。この主祭壇は「12使徒の祭壇」と呼ばれて
 おり、1466年に奉献されました。磔にされたキリストを守り、囲うようにヤコブ他6人
 の聖者の像が立ち並んでいます。聖ヤコブさんは左から2人目の方だそうです。

  ステンドグラスは高さ17mもあって壮観です。左右には木製の聖歌隊の席があります。

     

  そして反対側を見ると、大きなパイプオルガンが見えます。比較的新しいものだそう
 ですが、6つの鍵盤と5500本ものパイプを持つ巨大オルガンだそうです。私が訪れた時
 は演奏がありませんでしたが、鳴っているのを聴いたら多分ド迫力でしょう。しかし、
 教会がデカすぎるから、パイプオルガンがそれほど巨大に見えませんね・・・

     

  あと、教会内部には面白い彫刻がありました。なんかアフリカの民芸品みたいです
 が、船のように見えますね。ちょとユニークですが、なんのために造られたのか不明。

     


  さて、この後はこの教会の至宝ともいうべき、もう一つの祭壇を見学します。
 主祭壇の反対側、左(西)側の端にある後陣部分を二階に上がったところにあります。
 ヴュルツブルク出身のドイツ最高の彫刻家リーメンシュナイダーの最高傑作と言われて
 いる「聖血の祭壇」です。   

       

  オッサンのデジカメ写真がピンボケ気味なので、ネットの写真で代用させて頂きます。

  左右のパネルの浮彫(キリストのイェルサレム入城と、オリーブの丘の場面)も素晴 
 らしいですが、中央の「最後の晩餐」のシーンには参りました。木彫りの彫刻で、ここ
 まで迫真の表現ができるとは、まさに驚嘆すべき技巧の冴えと、深い芸術性の成せる業
 だと思います。
  さらにアップにしてみますが、オッサンのピンボケ写真で見づらくてスミマセン。
  「汝らの一人、我を売らん(売るだろう)」とジーザス様がおっしゃるその瞬間。
 まるでドラマのワンシーンを見ているかのようです。(オッサン、そんなこと言うけど
 ドラマはあんまり見とらんやないか? by妻)
  自分を裏切ることになるユダに向けて鋭い視線を放つジーザス様、その他の11人の
 使徒たちの困惑したり驚いたりした表情。天才にしか成しえない至高の芸術作品です。

  文字の読めない民衆にキリスト教の信仰を根付かせようして、優れた芸術家が絵画や
 彫刻で聖書の場面をリアルに表現することを求められたのでしょうね。この出来栄えを
 見れば、司教様も教会関係者も感動して報酬をはずんだことでしょう。
  この祭壇はリーメンシュナイダーさんが6年もの年月をかけて、1506年に完成させた
 ものだそうです。いい仕事をしてくれましたね。


  そうそう、なぜこれが「聖血の祭壇画」と呼ばれるかといいますと、この祭壇の上に
 ある十字架にはめ込まれた水晶ガラスの中に、ドイツ騎士団の騎士が聖地イェルサレム
 から持ち帰ったという「キリストの血」が収められているからだそうです。中世11世紀
 に始まる「十字軍」以来、イェルサレムを中心とする中東に出かけて(戦いに)行った
 熱狂的なキリスト教信者(兵士)たちが、「記念品」として聖書に出てくるエピソード
 にちなんだものを「聖遺物」として持ち帰ってきたのですが、これもその一つでしょう。
 もちろん本物である可能性はゼロに等しいはずですが、熱狂的な信者の皆様にはそんな
 ことは関係ありません。そうだと思いこんだら、そうなるのです。きっと現地のイスラ
 ーム教徒たちも、適当なものを聖遺物に仕立て上げて高値で販売していたのでしょう。 
 それを大枚をはたいて買い取り、後生大事に祖国へ持ち帰って教会に寄贈したのだと
 思われます。キリスト教徒の側にも、きっとブローカーがいて、儲かるビジネスだった
 と思います。でも、それでみんなそれぞれがハッピーだったら、いいんじゃないかな。
 (そうやで。海外旅行に行って模造品のお土産を買って喜んでいるオッサンと、あまり
 違わないんちゃうか?by妻) 
  そうですね。かの塩野七生(ななみ)先生も、十字軍以降の聖地巡礼のことを「聖地
 巡礼パック旅行」だと著書で書いているくらいですからね。当時の人の人生はキリスト
 教の信仰が主体でしたから、聖遺物を求める中世の人たちを、現代人の物差しで見ては
 失礼ですね。申し訳ございませんでした。 
  ちょっと話が飛んでしまいました。聖ヤコブ教会は、ローテンブルクに来たら必見の
 名所です。学生時代に来た時も入ったと思うけど、よく覚えていなかったなぁ。


  最後に「おまけ」です。聖ヤコブ教会の前に、現代芸術家の作品らしい像がありまし 
 た。これは、キリスト教の伝道のために諸国を歩き回った聖ヤコブ様の像だそうです。
 ちょっとデフォルメされていますが、聖地サンチャゴ巡礼に向かう方のシンボルである
 「ホタテ貝」を手にしていますね。スペイン北西部のサンチャゴ・デ・コンポステラに
 向かう有名な巡礼の道がありますが、サンチャゴとはスペイン語で聖ヤコブを意味する
 のですよね。とにかくヤコブさん、お疲れ様です。

    

 
  この後は、ローテンブルク観光でははずせない市庁舎と、観光客に大人気の「マイス
 タートゥルンクの仕掛け時計」を見学しにまいります。ということで、次回に続きます。
 (あと3回で終わる言うとらんかったか?どうせ無理っぺぇけどな・・・by妻)