Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

終了間際のキュビスム展に行ってきました・・・

  最近、終了間際になって気づき、慌てて駆け込むように見学しに行くケースが増えて
 いる感じのオッサン。(健忘症ちゃうか? by妻)
  今日は、朝から東京・上野の国立西洋美術館に行ってまいりましたぁ~😀

  フランスの著名建築家のル・コルビジェ(芸名)さん設計の近代的な建物は世界遺産
 に指定されていますし、毎年数回優れた展覧会を開催してくれる有難い存在です。
  今回は、これ ↓ でした。

  

    会期はなんと明日まで。いやぁ滑り込みセーフでした。前売り券を買っていたので、
 窓口に並ばずにすんなり入場できました。
  芸術の都パリの、ポンピドゥー・センターと呼ばれる複合施設の中にある、フランス
 国立近代美術館から、世界的に名高いキュビスムのコレクションが50点以上も、日本に
 来てくれています。このような大々的な展覧会はなんと50年ぶりなのだそうです。前回
 は大阪万博の頃なんでしょうね・・・東京展の後は、京都の京セラ美術館でも開催され
 るようですので、関西の方はまだ見るチャンスがあると思います。


  さぁ、いざ参らん! あれ? 入場口にはこんな看板 ↓ がありました。キュビスト?
 キュビスムにハマった都会的な男女か・・・(なんだか福笑いみたいやけど。by妻) 

  会期終盤のためか、午前中なのに結構な混雑でした。意外に人気があるみたい・・・
 ・・・ところで、キュビスムってなんやねん?(by妻) 
  はい、キューブ(立方体)という言葉から生まれたようですが、従来の絵画の概念を
 ぶち壊す、四角い図形のようなものを組み合わせて・・・いや、そうではないですね、
 立体的な対象物を分解し平面に展開して描くという斬新な手法で描かれた革命的な芸術
 運動なのです。ちょうど世紀の変わり目、20世紀初頭から第一次世界大戦のころまでが
 ピークでした。つまり、たかだか20年くらいなのだろうと思いますが、世界の美術史に
 圧倒的な足跡を残し、後の近代美術に大きな影響を与えるほどにインパクトのある芸術
 活動なのでした。その代表的な画家たちの傑作を、本場パリの国立近代美術館から多数
 持ってきてくれているのですから、見逃がしてはなりません!(鼻息が荒いな。by妻)


  そしてこの展覧会は、一部を除いて大半の作品が個人的目的での写真撮影OKという
 太っ腹でした。有難いね~ (高い図録を買わないで済むからな・・・by妻)


  キュビスムは、絵画のみならず彫刻や建築、映画などの作品もあるみたいですね。 


  まずは、キュビスムが生まれる前の19世紀後半のフランス絵画がいくつか展示されて
 いました。つまり「前夜」ですね・・・それはセザンヌであり、ゴーギャンであり・・・
  残念ながらセザンヌの「水浴する女たち」は撮影禁止でしたが、ゴーギャンの「ブル
 ターニュの女たち」はOKでしたので掲載します。タヒチに向かう前から、既に色彩豊か
 でちょっと遠近法を無視した平面的な絵画を描いていたようですね・・・・

  ネットから拝借しましたが、箱根のポーラ美術館所蔵セザンヌの水浴図は、幾何学的
 に計算された構図の中にモデルたちが図形のような形で組み込まれている感じがしまし
 た。これはもはや印象派ではなく、他の「何か」を志向していました。ひょっとしたら、
 キュビスムと言われる芸術活動の先駆者は、このセザンヌだったのかもしれません・・・


  セザンヌの影響を受けたであろう一人・・・それは、20世紀最大の巨匠・・・

      

  言わずと知れたパブロ・ピカソ様です。これは従来の絵画を超越し、一皮むけた頃
 の天才ピカソの作品ですね。女性の肖像・・・なんていう無難な名前ですが、ちょっと
 ぶっ飛び始めていますよね・・・そう、キュビスムの匂いがします。


  このころには、野獣派(フォービスム:マティスさんやドランさん)やプリミティブ
 美術(アフリカや中南米の伝統的美術に影響された感じ)も流行していたようですね。
 当時のフランスでは、アフリカや、ヨーロッパの石器時代の原始的な芸術作品が人気を
 博していたようで、感受性の強い芸術家たちはその魅力に取りつかれていたようです。
  下の写真はアンドレ・ドランさん作の女性の彫像ですが、プリミティブ芸術の影響を
 まともに受けている感じですね。どうやらこのような作品もキュビスムに繋がっている
 という解釈のようですね。

     

  あ、これはわが国でも人気の、おなじみのマリー・ローランサン(女流画家)の作品
 ですね。そうか、こののっぺりした人物像も、キュビスムにつながる流れなのかもしれ
 ない・・・ちなみに中央の兄ちゃんは、芸術家の卵の皆さんの憧れ、詩人のギョーム・
 アポリネール様。ローランサンの恋人でしたかね・・・
  ミラボー橋の下をセーヌが流れる・・・あ、これは今回のノリとは違いますね、😆

 


  はい、ここまではキュビスム前夜です。
  そして時は下って1908年・・・ ある男がこんな絵を描きました・・・

     

  その男の名はジョルジュ・ブラック・・・ 
  この絵はセザンヌゆかりの南仏レスタックの町、高架橋と町並を描いたものですが、
 この絵を見た評論家たちは、「これはキューブ(立体)だ」と叫んだということです。
  画家は、尊敬するセザンヌの名作、サン・ヴィクトワール山の連作をイメージしたの
 かもしれませんが(確かに色遣いや雰囲気は似ている)、既にそれを超越しています。


  この男の風景画が「キューブ」と呼ばれて注目されるようになり、この男自身もなん
 だか「ウケた」のに気を良くして、さらにキューブ的な絵画にのめり込んでいくのです。 
 そして、こんな絵 ↓ なんかを描いてしまうのですね~     

     


  ジョルジュ・ブラック・・・彼こそが、キュビスムを創設した男です。この後もさら
 にイカレた、いや失礼、前衛的な絵画を次々と産み出していきました・・・
  題材には静物画、楽器や楽譜など身近なものが登場してきます。

  もう、ここ ↓ まで来ると何がなんだかわからなくなっていますが・・・
 「ギターを持つ男性」って書いてあるで・・・(by妻)

     

  そしてこっち ↓ が、「ギターを持つ女性」なんだそうです・・・
 (持っているだけで、弾いとらんのかいな・・・by妻) 

     


   そして、この男に触発されたとんでもない男が一人いました。

  そうなんです、あのパブロ・ピカソ様は、ブラックさんとお友達になったのでした。
 そして似たような絵を描き始めたのですね・・・

 

  肘掛椅子に座る女性・・・なるほどね・・・
  ブラックとピカソ・・・結構仲が良かったみたいですね。そうなんです、この二人
 の男が、キュビスムという20世紀前半の革命的な絵画運動を作り上げたのでした・・・


  その後、ピカソさんはさらに異次元の世界に旅立つような感じになりましたが、キュ
 ビスムの後継者は続々と出現しました。
  まずはフェルナン・レジェさん。「形態のコントラスト」なんていう、もうタイトル
 も絵も幾何学的な作品ですね。


  そして、この展覧会の目玉の一つ。「パリ祭」を描いたロベール・ドローネーさん。
 なんだか華やいだ雰囲気ですが、キュビスムの特長をきっちり表現しています。

  ルーベンスの「三美神」をキューブに分解した感じですね・・・そして周囲はパリを
 代表する建築や風景が、これまたキューブ状に表現されているようです。


  さぁ、まだまだありますからどんどん行きますよ~ もう一丁、フェルナン・レジェ
 さんの力作、「婚礼」です。デッカイ絵でした。確かに結婚式かな・・・白いドレスの
 花嫁はわかるけど、新郎は緑色の方ですか?     

     

 
  あ、面白い映像もありました。当時キュビスムは、一般的な方々からは嘲笑され、
 ギャグのネタにされていたようでした。そんな映像も、今となっては面白い。
  足にキュビスムの絵のような筒をつけて、「キュビスムの絵はこんな感じだよね」
 みたいに茶化しています。しかし、今となっては茶化していたほうが笑われる時代に
 なりましたね。😆  

  おっと、これもなんだか楽しい感じ。妻が好きそうな絵だな~ 

  ロジェ・ド・ラ・フレネさんの「腰かける男性」です。

  そしてロベール・ドローネー様の大作をもう一つ。構図も色彩もスゲぇですね。


  いや、なんだか予想以上に素晴らしい展覧会です。まだまだ見どころはあるのですが
 長くなりましたので、続きは次回に・・・(やっぱりケチなオッサンや。by妻)