Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

今日は文化の日:上野の東京文化会館へ・・・

  今日は日本シリーズは中休み。タイガースもバファローズも今日は明日以降の戦いに
 備えて、監督も選手も休息をとっていると思います。泣いても笑っても、あと僅か。


  さて、今日はテレビ観戦もないので久しぶりに都心までお出かけです。今日は文化の
 日ということで、上野の東京文化会館までコンサート鑑賞に参ります。少し早めに家を
 出て、昼食はお気に入りの「ハゲ天」さんで。しかし銀座の本店だと高いので、大森駅
 の駅ビル「アトレ」の中の店舗に行きました。空いていて、すぐに席に案内されました
 し、価格も本店より約2割ほど安価なので、これからはここに行こうと決めた、現金な
 オッサン・・・😆 やはり銀座は土地代が高いからでしょうね・・・

  外食は久しぶり、白いご飯も久しぶりでしたので、ことのほか美味しく感じました。
 天ぷらはエビ2尾、太刀魚と鱚(きす)、茄子とカボチャ、小エビのかき揚げでした。
 もう一ひねりしてほしかったのですが、これにお刺身2種(メバチマグロとヒラマサ)
 と茶碗蒸しが付いて税込2,000円ですから文句はありません。一番安いランチコースは
 1,200円くらいだったかな。今時にしては良心的な価格設定と思います。


  上野駅には少し早めについたので、ちょっと駅構内と周辺をウロウロしました。
  行き止まり式のホームが並ぶ昔の上野駅の名残のエリアがありました。効率が悪いの
 でほとんど列車は高架式の通過型ホームに移ってしまっています。そのためかなり閑散
 としていました。昔は東北や信越からの列車は全てここに到着し、上京する人や帰省を
 する人でごった返していたのですよね・・・

  あ、構内にはこんなもの ↓ もありました。

                

  岩手県出身の歌人:石川啄木さんの詠んだ有名な歌ですね。この上野駅が舞台です。
  ちょっとノスタルジーを感じさせます。蒸気機関車に引かれた長い編成の客車列車が
 プラットフォームに到着し、そこから大きな荷物を持った人たちが一斉に降りてくると
 言う光景が目に浮かぶようです。東京で一旗揚げようと勇んでやってくる若者たちや、
 上京しては来たものの不安に押しつぶされそうで心細くあたりを見渡していた女性たち
 もいたことでしょう。そして一方では、尾羽打ち枯らして逃げるように故郷行きの列車
 に乗り込む人も、いたのかもしれません。
  駅と言うのは、そういう人生の縮図のようなものだったのですよね。
 でも今は、ただ単に多くの人が通り過ぎるだけの場所になってしまったような感じです。
 (何をまた格好つけてもっともらしいことを言うとるんじゃ!by妻)


  中央改札を出ると、あれ?こんなもの ↓ が・・・

      

      今や上野と言えば、パンダですからね~ 
   さらにこんなショップ ↓ もありました~😆 妻がいたら、絶対に立ち寄って、30分
  は出てこなかったと思います。(オッサンがワイン屋に入る時と一緒やろが。by妻)

    


  さて、こんなことをしているうちにコンサートの開演時間の15時近くなりました。
 オッサンは慌てて公園口に回り、東京文化会館の大ホールに向かいます。

  今日の演目は、イタリアのボローニャ市立歌劇場(テアトロ・コムナーレ・ディ・
 ボローニャ)の引っ越し公演、イタリアのベルカント・オペラの雄:ベッリーニ先生の
 代表作「ノルマ」です。ちょっと演目名が営業マンには好きになれないのですが(アホ)
 滅多に日本では聴けない大作です。オッサンは大学生の頃、マリア・カラスがノルマを
 歌うライヴのモノーラル盤のCDを聴き込んでいましたので(勉強しとったんか?by妻)
 愛着のある作品なのです。ちょっと張り込んでA席を確保しましたが、3階席の最前列
 でした。まぁ音はよく通るし、舞台も全部見渡せるからまぁまぁの席かな・・・
  しかしオッサン、今年はイタリアの歌劇場の引っ越し公演で、プリマ・ドンナオペラ
 (主役のソプラノが際立って目立つ作品)を3つも鑑賞することになります。パレルモ
 のテアトロ・マッシモではヴェルディ先生の「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」、ローマ
 歌劇場ではプッチーニ先生の「トスカ」、そして今回の「ノルマ」というわけです。
 これにドニゼッティ先生の「ルチア(ランメルモールのルチア)」が加われば完璧なの
 ですが、残念ながらルチアの鑑賞予定はありません。😆


  開演まで20分しかないのに、またしても開演前にワインを飲んでしまうオッサン。😝

  ボローニャは美食の町。スパゲッティ・アラ・ボロニェーゼ(ミートソース)で有名
 ですね。オッサンは大昔、卒業旅行でこの町を訪れ、夜行列車でシチリア島に向かう前、
 駅のメンザ(国鉄職員向けの大衆食堂で一般人も利用できる。今でもあるのかな?)で
 タリアテッレ(卵を練り込んだ幅広麺)のボロニェーゼを食べたのですが、茹でたての
 アツアツの麺の上に、給仕の方が大きなパルメザンチーズの塊をゴリゴリ削って入れて
 くれたのを思い出しました。もうほっぺたが落ちる程の美味しさだったんですよね~
 (また大幅に話が脱線しとるがな・・・by妻)


  さて、そのボローニャの町は人口約40万人なので、それほど大きな町ではありません
 が、ボローニャのあるエミーリア・ロマーニャ州はイタリア・オペラの巨匠ヴェルディ
 先生の生地ということもありオペラ・ファンも多く、このテアトロ・コムナーレの水準
 もかなり高いと評判です。「良い聴衆が、良い劇場を造る」というのは定説ですからね。


  「ノルマ」は1831年12月にミラノ・スカラ座で初演されたそうなので、かれこれもう
 200年近く前の作品ということになります。この20~30年後にはイタリアではヴェルディ
 先生が、ドイツではワーグナーがよりドラマティックなオペラを作り上げますので、その
 少し前のベッリーニやドニゼッティ、ロッシーニといった作曲家のオペラは、少し古典的
 なスタイルなのですが、そのかわりイタリアオペラの伝統である、美しい旋律と技巧的な 
 歌唱スタイルが魅力です。慣例的にベル・カント(美しい歌)オペラと言われています。
 「ノルマ」でも、主人公ノルマが歌うアリア「清らかな女神よ(Casta Diva)」に、そ
 の魅力が凝縮されていると思います。

      

  この公演で主役ノルマを歌ったのは、イタリアの若いフランチェスカ・ドットさん。
 まだ30代ですが、かなりの実力です。まぁノルマを歌うんだから当然だよな・・・


  「ノルマ」は古代ローマ時代のガリア(現在のフランス)が舞台です。ローマの支配
 に屈したガリア人(ケルト人)たちは、彼らの信じる宗教ドゥルイド教の巫女ノルマに
 神託を求めます。ローマの支配を脱するための戦いを望むガリア人たちに、巫女ノルマ
 は「いずれローマは自らの傲慢さゆえに滅ぶはず。今は我らの叶う相手ではないので、
 しばらくは大人しく従うがよい」と神のお告げを伝えます。  
  そのノルマが歌う「清らかな女神よ(Casta Diva)」を、かの伝説のプリマドンナ
 マリア・カラス様の演奏で・・・これは歴史的名演です。
Maria Callas sings "Casta Diva" (Bellini: Norma, Act 1)


  しかしノルマが平和を説く理由は別にありました。なんと彼女はドゥルイド教の巫女
 長の立場でありながら、こともあろうに敵方ローマの総督ポッリオーネと恋に落ちて、
 二人の子供をもうけていたのです。(そら、開いた口がふさがらんわな・・・by妻)
  
  それなのにローマ総督ポッリオーネは、必死で口説いたノルマにはもう飽きてしまい
 もっと若い巫女のアダルジーザにご執心。(ホンマにどうしょうもないのう。by妻)
 あ、写真は購入したプログラムから転載しました。

  ここから先は単なる痴話げんかの様相を呈してまいります。😆
  しかしオペラですから、もうちょっと感動的な仕立てが必要です。「禁じられた恋」
 の清算を決意したノルマ様は、一転してガリア人たちにローマとの戦争を煽り、不実な
 元恋人をまんまと捕らえます。(こわ~ by妻)ノルマは彼に最後まで翻意を促すもの
 の、ポッリオーネの心が決して自分の元には戻らないと悟り・・・


  ストーリーを参考にしたと思われるギリシア悲劇「メデア」では、怒り狂った巫女長
 メデアは、子供2人を殺して自決するという陰惨な最後を迎えましたが、この「ノルマ」
 の結末は書き換えられました。どうも温厚で人格者であった作曲家のベッリーニ先生が、
 脚本家に、感動的なフィナーレになるよう手直しをお願いしたそうです。
  ノルマは、自らの罪をガリア人たちの前で告白し、アダルジーザを救った上で、恋人
 ポッリオーネとともに火刑台に向かうのです。最後の瞬間では、ノルマの自己犠牲?に
 心を打たれたポッリオーネも改心してノルマとともに死を選ぶ、という訳です。そして
 二人の間に生まれた子供たちは・・・ノルマの懇願で救われることになったのです。
  まぁ、めでたしめでたしではないですが、多少は救いがあるストーリーになりました。


  ボローニャ・テアトロ・コムナーレの演奏は手堅く、歌手陣もなかなかの出来でした。
 そうそう、主役級のアダルジーザ(メゾソプラノ)には、日本人の脇園さんが抜擢され
 ていました。イタリア人や海外の歌手たちに一歩も引けを取らない堂々たる歌いっぷり
 で会場から大きな拍手を浴びていました。世界で活躍できる日本人歌手が出てきた感じ
 です。芸大出身の方のようです。既にヨーロッパの歌劇場でロッシーニの主役を歌って
 いるそうですから、実力は証明済。今度はロッシーニのオペラで聴いてみたいです。

 

   
  ボローニャ・テアトロ・コムナーレの来日公演は、東京で4日間トスカとノルマを
 2回ずつ上演した後、群馬県高崎市と名古屋市、岡山市、大阪のフェスティバルホール
 でトスカを、滋賀県大津市のびわこホールでノルマを上演する予定です。海外の一流の
 オペラハウスの引っ越し公演を東京以外で実施してくれるというのも素晴らしいです。
  ミラノ・スカラ座さんも、少しは見習ってほしいなぁ~(当面は無いやろな。by妻)


  ということで、ちょっとマニアックな記事になってしまいました。
  明日からはまた日本シリーズ・モードに戻る予定です。(どっちにしてもマニアック
 やで・・・by妻)