旅の記憶:2019夏・英国 ➂遠回り
英国旅行の続きです。今回はハプニング編ですので楽しい記事ではございません。
くだらない話を長々と申し訳ありませんが、悪しからずご了承ください。
ロンドン、キングス・クロス駅から午後6時発の列車で、イングランド北東部の
歴史ある町ヨークに向かう予定でした。(写真は駅の外観。この時はまだのん気に
こんな写真を撮っていましたが、数十分後にはえらいことに・・・)
さて、駅コンコースにはいつの間にか、妙に大勢の人が集まっています。見ると、
改札口は閉まっており、電光掲示板の出発時刻表示も午後3時過ぎくらいの列車が
表示されたままです。あれ?と思っていると、どうやら何か事故があったらしく、
この駅に到着する列車が大幅に遅延しているようです。参ったな。仕方なくしばらく
待っていましたが、一向に列車が来る気配はありません。そのうちコンコース一杯に
乗客が押し寄せ、かなりざわついてきました。
そしてなんと、電光掲示板に表示された列車が次々に ”Canceled” と表記され始めま
した。これを見て、待っていた人たちが騒然とします。不穏な空気が漂い始めました。
そして数分後には、無情にも私の乗る予定だったエディンバラ行きの列車も、出発30
分前にキャンセルとなってしまいました。😭 うわ、どうしよ?
切符売場の窓口で訊いても改札口にいた職員に訊いても、運転再開の予定は不明。
代替案を訊いても「ない」の一点張り。周りのお客さんたちも皆、動揺しています。
そうこうしているうちに、なんと耳を疑うような信じられないアナウンスが・・・
「当駅を発車する本日の列車はもうございません。この駅は只今より閉鎖しますの
で速やかにここを立ち去ってください」だと・・・反射的に、「ムンクの叫び」顔に
なってしまいました。日本だったら大騒ぎです。暴動です。
しかし英国人たち?は、舌打ちや鉄道会社を嘲笑しながらも、荷物を引きずって駅
から撤収していきます。午後6時過ぎ、私も身の振り方を考えなければなりません。
案➀ プルマン(長距離バス)を捜す→ ヨーク行きの便があるのか不明。
案➁ エディンバラ行き飛行機を捜す→ ヨーク宿泊・観光を諦めることになる。
案➂ ロンドンで宿泊し明朝移動する→ 明朝に運転再開するか不明。
案④ 別ルートで少しでもヨークに近づく→ どこまで行けるか不明。
どれもリスキーですが、やはり鉄チャンの私は鉄道を信じて④を選択しました。
しかし、駅が閉鎖されたのにどうして?と思うかもしれません。その訳は、英国の鉄道
は行先別にターミナル駅が異なっていますので、キングス・クロス駅発着の列車が全滅
でも別の駅は大丈夫かもしれない、と考えたからです。結果的にはこれが正解でした。
どうやら大規模な発電(変電)設備のトラブルが原因らしく、キングス・クロス駅と、
隣接するセント・パンクラス駅は全滅でしたが、それ以外の駅は(影響はあるものの)
機能しているらしいことがわかりました。しかし英国の鉄道は細かく分割民営化された
ため、鉄道会社の社員は他の会社の運行状況などは関係ない!という感覚です。
まったくもう・・・
仕方なく勘を頼りに?ルートを考えました。地下鉄でユーストン駅まで行き、ヴァー
ジン航空が運営するヴァージン・トレインで、イングランド北西部の大都市マンチェス
ターまで向かい、そこからリーズ、ヨークと辿っていけるかも、と。日本で喩えると、
東京から名古屋に向かうのに東海道新幹線と中央本線(甲府方面)が不通になったので、
北陸新幹線と中央本線(名古屋方面)で長野・松本経由で行く、みたいな遠回りです。
キングス・クロス駅の地下鉄入口は駅を退去する人たちでごった返しています。丁度
夕方の帰宅ラッシュにあたり、通路まで大混雑。大きなトランクを引きずって、ユース
トン駅に向かうため地下鉄ヴィクトリア線に乗ります。その途中で、英国人の上品そう
なおばさまに声をかけられました、日本語で。日本(埼玉県大宮)に住んでいたとの事
で、日本人を見かけて嬉しくて声をかけたとのこと。しきりに日本はいい国だと仰って
いて、嬉しいんだけど・・・有難うございます。でもすみません、先を急ぐので・・・
最後は "Have a nice trip !" "Thank you” で、にこやかに別れましたけどね。
それにしても日本に居た方っていうのは日本人を見たらすぐわかるんだね・・・
這う這うの体で、午後7時前にユーストン駅に到着。大急ぎでホームに向かうと、
どこかで見たような派手な色の列車(写真左側)が停車しています!神よ!
ちゅうか、こんな状況でも列車の写真を撮っているんかい、電車小僧やの。(by妻)
ヴァージン・トレイン(特急列車)のマンチェスター・ピカデリー駅行きです。午後
6時55発の列車が出発間際でしたので、文字通り飛び乗りました。まだ運がある!
今回、英国の鉄道乗り放題パス(ブリットレイルパス・フレキシー)を購入していた
ので、予約なしでもこの列車に乗れました。幸いにも、1等車に空席がありましたので
シートサービスの食事(とワイン)にもありつけました。最後の機内食からもう8時間
程過ぎているけど、食いっぱぐれなくて良かった。この列車は日本の日立製作所で製造
されたもので、快適で乗り心地も良いです。なんだかますます嬉しいね。
しかし水を差すように、相席にイケ好かないイヤミな若造がいて、あからさまに東洋
人(というか英語がきちんと喋れない異国人)を蔑視しているようでイヤな感じ。でも
途中の寂れた田舎駅で下車してくれたので、ホッとしました。
マンチェスター・ピカデリー駅には午後9時過ぎに到着。ここから工業都市リーズを
経由してヨークまで行く列車が1時間に一本はあるはずですが、なぜかヨーク行きの
列車だけがやってこないので焦ります。最悪、マンチェスターに泊るしかないのかと
思い始めたころ、リーズ経由でハルという東海岸の町まで行く3両のディーゼルカー
がやってきました。これでとりあえずリーズまで行こうと考えました。21:47発ですが、
折り返しの到着が遅れたので、20分遅れの22時過ぎにマンチェスターを出発しました。
全く来る予定のなかったリーズ駅の殺風景なホームに着いたのは、午後11時過ぎ。
列車を降りたら、なんと跨線橋を渡った隣のホームにヨーク行きの列車が停車して
います。しかし大荷物を抱えて階段を駆け上がることはできず、間に合いませんでし
た。落胆したものの、電光掲示盤を見ると次は23:33発のヨーク行きがあります。あぁ、
これでなんとかヨークまで辿り着けそうです。この列車も少し遅れ、ヨークには深夜
0時半過ぎに到着しました。当初の予定では午後8時には到着して、ヨークで夕食を
とる予定だったのですが・・・まぁなんとかその日のうち?に到着できてよかった。
ヨークの駅はまだ人も多く、タクシーもありました。宿泊は駅の近くのホテルなの
ですが、もう疲労困憊していたのでタクシーに乗りました。タクシーのお兄さんは、
ロンドンからの直通列車が運休になっていることは当然知っていましたが、列車が動
いている路線もあるため、遅くなっても客は来るだろうと思っていたようです。近く
なのに嫌な顔もせず、親切に荷物の上げ下ろしもしてくれました。
この夜のホテルはヨークを代表する老舗ホテル、グランド・スパです。深夜0時を
過ぎていましたが、フロントの対応は丁寧で行き届いており、さすが一流ホテル!
荷物を運んでくれた陽気な黒人のお兄ちゃんも、身だしなみは完璧で、フレンドリー
に話しかけてきます。「今日はハプニングで疲れたでしょう?今夜は快適にお過ごし
下さい!」と。ほんのちょっとしたことなんだけど、なんとなく嬉しいねぇ。
部屋はこんな ↓ 感じです。既に冷房も効いていて清潔、アメニティも素晴らしく、
バスローブなんかも備え付けてありました。高級ホテルですが、ネットでかなり安く
予約できましたのでお得です。ただし朝食はついておりません。
案内係のお兄さんにお礼のチップを渡して、ようやく一息つきました。
しかし、なんとも長い一日になってしまいました。(記事も長すぎるわ!by妻)
自宅を出てからおよそ27時間後に、ようやく安心して寝ることができました。
でもこれで、なんとか当初のスケジュールを死守できましたので、結果オーライ。
翌日からも、怒涛のハードスケジュールです・・・アホ。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。