Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

思い出の旅 2007年:番外編ナーポリ周辺②国立考古学博物館 ~その2~

  今日はナーポリの国立考古学博物館の続きです。(ふぁ~あ、つまらん。by妻)
  引き続きギリシア彫刻の回廊を丹念に見て行きます。


  まずは古代ギリシアのブロンズ彫刻を、古代ローマ時代に大理石で摸刻した作品。

     

 「ドリュフォロス」と呼ばれる青年裸像です。調和がとれていて美しいですね。左手に
 は槍を持っていたらしいのですが、その部分は失われました。古代ギリシア・ローマの
 文化は、初期キリスト教徒たちに「邪教のシンボル」として徹底的に破壊・放棄された
 ために、原形のままに残っているものは少ないようです。やはり宗教が入ると、狂った
 ことが起きますね。これは古今東西、変わらない現実だ・・・
  ちなみにギフトショップで購入したガイドブックの写真は、左右が逆になっていまし
 た。😆 妻が撮ってくれたこの写真が無ければ、ガイドブックの方が正しいと思って
 しまったかもしれません。(ほんなら私に感謝せぇよ。by妻) しかし本当にイタリア
 人は、どうでもいいところにはトコトンいい加減ですな・・・
     
  そして傑作として名高い「カプアのアフロディーテ(ヴィーナス)」がありました。

    

  ドリュフォロスと同様、案外あっさりと回廊に展示されていますが、こんなに貴重な
 作品なのに、もうちょっと目立つところに置いてあげたい気がします。この作品も、手
 に掲げていたものが失われています。まぁ、ルーヴルにあるミロのヴィーナスや、サモ
 トラケのニケ(勝利の女神。ナイキね。😆)よりは「まし」ですが・・・
   
   ギリシア彫刻の大理石摸刻の作品で、注目度が高いのは、コレ。その名もちょいと
  不謹慎ですが、「尻をまくるヴィーナス」です。(オッサンはケツをまくる人。by妻)
  確かに芸術的と言えば芸術的ですが、ちょっとヤラシイ気もしますね・・・
  (写真を撮り損ねたので、購入した絵葉書の写真です。)

        

  回廊に展示されているヴィーナス様の写真をネットから拝借。ヴィーナス(アフロディ
 ーテ)様も、もちろんギリシア・オリュンポスの12神のおひとり、愛と美の女神様です。
 オッサンたちは一発で骨抜きにされています。😆 あ、もちろんギリシアの男神の方々
 のことですよ。(アホ)


  おや、これは古代ローマ時代の大理石彫刻ですね。石碑の一部なのでしょうか?登場
 人物のオッサンたちが軒並み髭を生やしていますので、ギリシアかぶれの皇帝ハドリア
 ヌスの時代よりは後の作品であることは確実。たぶん3世紀頃の作品でしょうか・・・
  妻はこの作品を面白がっていて、すぐ隣に並んでこの石碑のオッサンたちに話しかけ
 るような仕草をして遊んでいました。(それをビデオに収めているオッサン・・・)


  古代ローマ時代には、歴代の皇帝の彫像が数多く作られました。宣伝のためでしょう
 ね。昔はテレビもインターネットもありませんでしたから、広大なローマ帝国(ローマ
 から辺境ヘは海路を使っても半月くらいかかる場所がありました)に皇帝の権威をあま
 ねく伝えるために、こうした彫刻が大量に作られて帝国の隅々にまで送られたというこ
 とです。絶対数が多かったため、キリスト教徒たちの破壊を免れた作品が多いようです。
 最も数が多いのは初代皇帝アウグストゥス(オクタヴィアヌス)ですが、このずんぐり
 むっくりのオッサンは、第9代皇帝、庶民出身のヴェスパシアヌスさん。
  妻が真似をしていますね・・・(なんだか似ている気もするけど・・・アホ)

    

  ちなみに妻が着ているド派手なタンクトップは、タオルミーナのおネェ系の店員さんが
 切り盛りしていたブティックで購入したものです。妻のお気に入りでした・・・


  上の階に上がりますと、今度は正真正銘古代ギリシア時代のブロンズ像がありました。
 これはギリシアで盛んだったいうレスリングの選手です。鋭い眼光、鍛え上げられた均整
 の取れた肉体。造形美術としても極めて質の高い作品です。
  これを見た妻は、「よーい、ドーン!」と言っていましたけどね・・・(アホやな) 


  あ、これは「泥酔するサテュロス」ですね。(オッサンみたいやな・・・by妻)
 ほぼ完璧な形で残っていますが、どうやらこれはポンペイのヘラクラネウムの別荘と
 いうところで発見され、発掘されたものらしいです。灰の下に埋もれていたために、
 キリスト教徒たちの破壊に遭うこともなく、2000年近くを生き延びたのですね・・・
  ポンペイのような地方都市でも、金持ちの邸宅にはこんな豪勢な彫刻が置かれていた
 のですね・・・古代ローマが(上層階級に限るとしても)いかに裕福な時代だったかが
 わかるような気がしますね・・・


  あ、妻はやはりこんなオモロイものを写真に収めていました。動物好きだからね・・・
 しかしコレ、よく見るとすごいバランスですよね。造った方は天才かも・・・


  そしてオッサンが注目していたのは、やはり古代ギリシア時代のブロンズ彫刻の傑作
 「休息するヘルメス」です。ギリシア神話の12神の一人、神々の「パシリ屋」的存在
 の快速韋駄天で、口数も多くて耳も早いという「メッセンジャー?」の役目を果たして
 いたという便利な(場合によっては人騒がせな)神様ですね。ちなみにあのブランド・
 ショップのエルメス様は、このヘルメスのフランス語名らしいです。
  神々の王ゼウス様をはじめ、メンドクサイ?オリュンポスの神々からの頼まれごとを
 こなしているヘルメス様、さすがに少々お疲れのご様子。「もう、やっとられんわ!」
 と言う心の声が聞こえるような秀逸な作品です。😆

       

     
  最後は妻が気に入っていた「踊るサテュロス」です。これは昨年、日本で開催された
 ポンペイ展にも出展していました。こんなスゴイ作品をよく日本に持ってこられたなあ。
 この作品はポンペイの遺跡の中でも有名な、ファウヌスの邸宅というところで発見され
 ました。裕福な方の邸宅の中庭の中央に、噴水とともに飾られていたらしいです。
  とても貴重な作品なので、現地でもガラスケースの中に収められていました。

    

  しかし本当に古代ギリシア人は、人間と神を半ば同一視していたのでしょうか?
  信仰の対象である神様が、生身の人間のありのままの肉体で表現されているのです。
 そして、驚くべきはこのリアルさ。古代ローマが滅んだ後のキリスト教の支配する中世
 の美術を見るにつけ、人類が常に進歩しているわけではないなと思わざるを得ません。 
 (中世美術もそれなりに素晴らしいとは思いますが・・・・)


  ということで古代ギリシア・ローマ贔屓のオッサンの独壇場はここまでに致します。
 続きはまた次回に・・・(まだやるんか?by妻)