Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

キュビスム展の続きです・・・(もう展覧会は終わったんちゃうん?by妻)

  もう終わってしまったキュビスム展の続きです。3月からは京都の京セラ美術館でも
 開催するそうですので、関西の方はまだ見るチャンスがあるかと思います。まぁ印象派
 の展覧会とは違いますから、お好きな方はどうぞ・・・みたいな感じでしょうか。😆


  ちょっとミステリアスな雰囲気の絵がありました。キュビスムのようでありながら、
 それだけではない感じがします。中欧チェコからパリにやってきたクプカさんの絵です。  

  「色面の構成」などという無機質な名前を付けていますが、ポーズをとる女性の姿が
 幾何学的な配置と印象的な色遣いの図形?で描かれています。これはインパクトあるな。


  続いては、なんとフランシス・ピカビアさん。彼はどちらかというと抽象画、シュール
 レアリズムの画家というイメージでしたが、キャリアの初期にはキュビスム的な絵も制作
 していたようです。1912年に描かれた「赤い木」というキュビスム的な作品です。

  続いては、おぉ! 一世を風靡したダダイズムの主役、マルセル・デュシャンさんの
 絵がありました。モナリザの絵葉書に髭を書きこんだり、便器を芸術作品として展示を
 したり、物議を醸した方ですが、彼もキュビスムの影響を受けていたのですね。
  ダダイズムとは既存の概念を打破(と言うより否定)し、全く新しい発想でものごと
 を再構築しようとした運動ですね。文学の世界にもありましたが、なんだか無理やり感
 とウケ狙いのような気がしないでもないですね。彼らは真剣だったのでしょうけれど。 

  「チェスをする人たち」ですか・・・既にぶっ飛び始めていますね・・・


  キュビスムの作品は彫刻にもあります。マルセル・デュシャンさんのお兄さん、レイ
 モン・デュシャン・ヴィヨンさんの作品「マギー」です。これもインパクトがあります。

      

  お次はルーマニア出身のブランクーシさんの作品、「眠れるミューズ」。しかし頭部
 だけですね。なんだかオブジェみたいですけど・・・彼は抽象彫刻の代表的存在ですね。
 温厚な人柄で、マルセル・デュシャンさんや写真家のマン・レイさんともお友達だった
 そうです。きっとお互い影響し合っていたのでしょうね。


  そして、キュビスムの代表的画家とは思えない巨匠の作品もありました。誰もが知って
 いるシュールレアリズムの画家のひとり、マルク・シャガール様です。

    

  ユダヤ系ベラルーシ人であった彼は、後年はパリやニューヨークで活躍しましたが、 
 彼のアイデンティティはユダヤであり、ロシアであり続けました。初期の作品「ロシア
 とロバとその他のものに」と題されたこの絵は、なんとも謎めいた絵です。ロバは愚か
 者の象徴とされますが、自らのアイデンティティであるロシアという国・民族への複雑
 な思いが感じられます。祖国にいたままでは、きっと彼の芸術は開花せず、葬り去られ
 たかもしれませんしね・・・第二次世界大戦時にはナチス・ドイツの迫害を逃れて米国
 に渡る芸術家が多く、彼もその一人でしたが、戦後はロシア(旧ソ連)からも亡命する
 芸術家が後を絶ちませんでしたよね・・・音楽家もそうですけれど・・・
  こちらはロシアの田舎での結婚式を描いたもの。なんだかユーモラスですが、その中
 にもなんだか哀しみのようなものが付きまとっている気がします。(気のせいや。by妻)

  シャガール様の展示作品の中で、最もキュビスム的な作品はこれ ↓ でした。タイトル    
 も「キュビスムの風景」ですから。天才画家シャガール様でも、当時流行していたキュ
 ビスムには関心を持っていたようです。 「色彩の魔術師」と呼ばれた彼ならではの独特
 の明るい配色が楽しいですね。

     

  そして、この絵 ↓ は有名ですよね。彼の最愛の妻ベラを描いた「白い襟のベラ」です。 
 彼女は第二次世界大戦中の亡命時に若くして亡くなってしまったのですが、シャガール
 は生涯(再婚しても)ベラをキャンバスの中で描き続けました。
  ものすごく大きな絵ですが、あれ?

     

  巨大な妻ベラの見つめる下の方をよく見ると・・・小さな男と少女がいます。これは
 間違いなく画家と、二人の間に生まれた娘でしょうね。この対比は、いかに彼が妻ベラ
 を崇拝し、偶像視していたかを示すような気がします。ちょっとコワいけど。😆
  画家と妻ベラの写真が残っていましたので掲載します。うーん、なるほどね・・・

  

  妻の絵を描き続けた奇特な(失礼)画家にはもう一人、シュールレアリズムの王様格の
 変人、サルヴァトーレ・ダリさんがいますね。彼もロシア系の妻ガラの絵を生涯描き続け
 ました。彼らにとってはミューズというより正真正銘の女神様だったのでしょうね。


  そしてエコール・ド・パリと呼ばれた一派の一人、イタリア出身のアメディオ・モディ
 リアーニさんの作品もありました。「赤い頭部」という、そのまんまのタイトルですが。

  彼の描く絵は、首が長くて面長の人物(女性)の肖像画が有名ですが、こんな感じの
 絵もあるのですね。ちょっとデモーニッシュな感じです。
  あ、こっち ↓ の彫刻の方がモディリアーニさんらしい作風ですよね。

    

 
  パリにはヨーロッパ各地から一旗揚げたい芸術家がたくさんやってきましたが、あまり
 知られていない東欧の画家の作品も展示されていました。ミハイル・ラリオーノフさんの
 「散歩・大通りのヴィーナス」と言う作品です。歩いているヴィーナス様の足がパラパラ
 マンガみたいになっています。物体の動くさまを表現しようとした未来派(フトリズモ)
 の影響もあったのでしょうか? (オッサンは、昔「フトリズモの独り相撲」って言って
 いたよな。by妻) しかしなんだか、おっかないヴィーナス様ですね・・・


  さて最後は再び生粋の?キュビストの登場です。スペイン出身のファン・グリスさん。
 「朝の食卓」と題された静物画ですが、キュビスムらしい構図ですね。彼はピカソさん
 の肖像もキュビスム的に描いたりしていました。若くして(40歳で)亡くなりましたの
 で、惜しまれます。長生きしていたらピカソさんみたいになったかもしれない・・・

  そのピカソさん。キュビスムの創始者であるブラックさん以上に、キュビスムの画家と
 して名を馳せるようになりました。
  「輪を持つ少女」というタイトルですが、なんとかそれらしく見えますね。

       

  そして、ピカソさんはキュビスムというジャンルを越えて独創的な作品を次々に世に
 出していきました。20世紀最大の画家と言われるのも当然でしょう。


  さらに本家本元、ブラックさんの作品「ギターと静物画」です。「ザ・キュビスム」
 と言う感じの絵ですね。😆

 
  おっとびっくり。建築家として有名なル・コルビジェさんもキュビスムチックな絵を
 描いていたのですね。「静物」だそうですが・・・

  最後はとても楽しい絵です。フェルナン・レジェさんの「タグボートの甲板」です。
 これ、妻が絶対気に入りそうだな~


  ということで、パリのホンピドゥ・センター内の国立近代美術館からの作品を中心に、
 20世紀前半の芸術運動キュビスムに関係する画家たちの作品を、一度に鑑賞すること
 ができました。有難うございます。
  展覧会の最後に、ポンピドゥ・センターの写真がありました。前衛的(アヴァンギャ
 ルド)な建築で、完成当時は物議を醸したそうですが、今ではすっかりパリの名所?に
 なっっています。オッサンも一度訪れてみたい!


 そうそう、この展覧会のきちんとした解説記事がネットに出ていました。
 オッサンのいい加減な記事よりもよっぽどためになりますので、ご参考にどうぞ。
 


  ということで、「受け売り」の記事はこれでおしまいです。😆