Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

九州の思い出(2月) ➂知覧

  3年前の2月の九州・鹿児島の記事を書いているうちに、今日で2月が終わってしまい 
 ます。慌てて記事をアップします。(いい加減なヤッちゃな・・・by妻)
  
  鹿児島県指宿市、池田湖畔の菜の花畑と唐船峡の流しそうめんの後、レンタカーで北に
 向かい、薩摩の小京都と呼ばれた歴史ある町、知覧(ちらん)に向かいます。ここは様々
 な意味で、訪れる価値のある町です。最近の市町村合併により、知覧町は南九州市という
 情緒のない(失礼)名前の市の一部になってしまいましたが、知覧という地名は残ってい 
 ます。レンタカーを飛ばして薩摩半島の内陸に入っていきます。この辺りは意外に山がち
 ですが、知覧の町に近づくと次第に視界が開けてきました。
  町の中心部にある駐車場に車を停めて、まずは有名な武家屋敷を見学します。観光地と
 して整備されているので快適に見学できますが、やはり過去の町なのですね。人々の生活 
 が感じられない、観光施設という感じです。観光客以外の人通りがなく、ひっそりとして
 いました。

  武家屋敷の中には庭園が美しいものが多く、人気となっています。ちょうど梅の花が
 咲いているところがありました。観光パンフレットでは7つのお屋敷の庭園が紹介され
 ていました。しかし時間がなくて(またか)、全部は見られませんでした。 

  この屋敷の庭 ↓ は西郷恵一郎さんの庭園というらしいですが、鶴亀の庭を表している
 ようです。禅寺の庭園と違い、武家屋敷の庭園はよく言えば勇壮ですが、ちょっと武骨
 な感じがしますね。

  そしてこちら ↓ が佐多直忠さんの庭園というそうです。1740年頃の作庭で、植え込み
 の木と石の組み合わせが特徴です。白梅がちょうど見ごろになっていました。

 
  こちら ↓ は佐多民子さんの庭園。枯山水のなかなかダイナミックな庭園ですね。
 どこもツツジ(サツキ?)の植え込みがあるので、4月から5月くらいが美しいのかも
 しれません。

  どのお屋敷も静かな佇まいで、庭園もそれぞれ特徴があって面白かったです。
 しかし観光客以外の人はおらず、ちょっと寂しい感じ。中国人観光客が押し寄せては
 いないようですが、なぜでしょうか?


  武家屋敷が最大の見どころではありますが、知覧にはもう一つ、日本人には避けては
 通れない場所があります。そうか、外国人があまり来ないのはこのためかもしれない。
 そうです、知覧特攻平和会館です。ここには多くの方が訪れていました。
  第二次世界大戦末期に陸軍特攻基地が置かれた知覧。旧飛行場跡地に建つ「知覧特攻
 平和会館」は、沖縄戦で人類史上類のない爆装した飛行機もろとも敵艦に体当たりして
 亡くなられた陸軍特別攻撃隊員1,036名の遺影・遺品・遺書・家族に向けた手紙・戦闘機
 など歴史的価値の高い貴重な資料を収集・保存・展示している場所です。

  ここはあかん、もう涙なしにはいられません。今、現代日本人がこうしてのほほんと
 暮らしていけるようになる前に、このような悲しい犠牲があったのです。沖縄戦の現地
 での犠牲、広島・長崎の原爆、東京大空襲と違い、知覧から飛び立った特攻隊の若者は
 攻める側だったのです。ただし自らの命を犠牲にして・・・
  ここは、その悲しくも辛い記憶を後世に伝えるための施設です。入館するといきなり
 零戦の残骸が展示されています。もう、気の弱いオッサンは正視できません。 

  さらに、特攻隊員の青少年たちが、自分の番が来た時に故郷の家族にあてた手紙・・・
 これを一通でも読んでみてください。もうオッサン、不覚にも泣いちゃいましたよ。でも
 目を背けずに、しっかりと見なければならない。

  涙と鼻水を隠しながら、ひととおり見学をさせて頂きました。見学されている人たち
 も心なしか目が潤んでいる方が多かったようです。とにかく二度とこんなことがあって
 はならないです。古代ローマ帝国は、どんな危機にあっても絶対に少年兵は使いません
 でした。日本軍のなかで、どこのどいつがこんなことをやれと言ったのか!恥を知れ!


  そして外に出ると、三角兵舎という木造の宿舎跡がありました。ここで特攻隊の少年
 たちは最後の夜を過ごしたのだといいます。もう何も言葉がありません・・・

  その近くには彼ら英霊の御霊を祀る場所がありました。どうか安らかに・・・

  平和は唱えていれば実現するというものではなく、自衛のための武力は必要だと私は
 考えますが、このような形で武力を使ってはならないです。

  売店で売っていた、特攻隊員の書いた家族への手紙をまとめた本を買いました。 
 感傷の記憶ではなく、語り伝えていくべき歴史だと思います。

  オッサン、いつになく真面目な記事やのう・・・
  さて、知覧にはもう一つ有名なものがあります。それは・・・ 

     

  はい、そうです、知覧はお茶の産地です。シラス台地というお茶の栽培に適した土地で
 品質の良いお茶がつくられているそうです。しかし、このオブジェはちょっとやりすぎな
 感じですね。ちなみに今年のお茶の生産量は、鹿児島県が静岡県に肉薄し、おそらく来年
 には逆転されそうだとの事。静岡県出身の私には心中穏やかではありませんが、それだけ
 優れた産地だという事でしょう。
  二時間ほどの知覧滞在(短すぎないかい?by妻)の後、再びレンタカーを走らせて指宿
 の海岸まで戻ります。時刻は午後4時。もうひとつ行きたいところがありましたので先を
 急ぎます。あ、二月で終わるつもりだったのに、ちょっと長くなり過ぎました。(続く)