Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2019年夏:英国 ㉚ナショナルギャラリー その2

   年内に英国編を終わらせようと、急ピッチでの更新になりました。(アホ)
   名画の宝庫ナショナル・ギャラリーの見学は、とにかく時間がかかります。私に
  しては、の話ですが(笑)。
   さて主にルネッサンス期のイタリア絵画を見てきましたが、後になって大変重要
  な作品を見逃していることに気づきました。(美術館を出てから・・・アホ)
  ピエロ・デラ・フランチェスカの「キリストの洗礼」と、ラファエロの一連の作品
  です。あちゃぁ😖、この美術館のイタリア絵画でも1・2を争う名画を見逃すとは
  ホンマにアホやな。まぁ、これでもう一回訪ねる理由ができた。(超ポジティブ・
  シンキングやな。万事この調子ならええけどな。by妻)


   気を取り直して、今度はフランドル・オランダ絵画を見て回ります。まずはコレ。
  15世紀フランドルを代表する画家、ヤン・ファン・エイクの有名な「アルノルフィ
  ニ夫妻の肖像」です。ちょっと角度が斜めで見づらくてすみません。 
   当時開発された油絵技法を駆使して、精密極まりない絵画を生み出した天才兄弟
  のお兄ちゃんです。手を取り合う夫婦(ダンナはやり手の商人か?)と、足元には
  子犬。後方の壁にかかった鏡に夫妻の後ろ姿が描かれるなど、極めて緻密で写実的
  に描かれています。どこか謎めいていて、一度見たら忘れられない絵の一つです。
  彼の署名と、1434年に描かれたということが絵に描き込まれているそうです。
  ここには彼の肖像画もあり、静かな人気となっています。
   ベルギーのヘント(ゲント)にある聖バーフ教会の有名な祭壇画「神秘の子羊」
  を描いた画家としても有名なファン・エイクさん。気になる画家の1人です。
    

    

  
   続いて、ヒエロニムス・ボッシュの作「嘲笑されるキリスト」です。1490頃の作 
  だそうです。彼はマドリードのプラド美術館にある「快楽の園」のようにちょっと
  変わった幻想的な(悪魔的と言ってもイイかも)絵で知られていますが、この作品
  は少し毛色が違いますね。人間の持つ醜さを、キリストを取り囲んで嘲笑する人々
  に表現しています。宗教画のように見えて、宗教画ではない、時代を超越した絵画
  ですね。これも印象に残りました。 

    

  
   次はフランドル・ルネッサンスの代表画家、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
  (覚えにくい)の「読書をするマグダラのマリア」です。なんとも心が休まる美しい
  絵ですね。これは元々はもっと大きな祭壇画だったのが、なぜか切り取られたものだ
  そうです。マグダラのマリアの美しさに魅かれて、誰かがこんなふうにぶった切って
  しまったのでしょうか。1438年以前の作品とされています。

    

 
   続いて、16世紀のドイツ絵画です。まずは裸体画で物議を醸した(イヤ当時の
  スケベなオッサンどもを喜ばせた?)ルーカス・クラナッハ(父)さんの代表作
  「アダムとイヴ」です。まさにアダムさんがイヴの差し出したリンゴを受け取り、
  どうしたものかと悩んでいるの図、です。1526年の作。宗教改革の真っただ中に
  あった当時の北方ドイツでは、もはやカトリックの権威など「知った事ではない」
  状態ですので、この絵も許されたのかも。そういえばクラナッハ(父)さんは、
  かのマルティン・ルターとお友達だったそうです。クラナッハの描いたルターの
  肖像画もあります。そんな歴史的背景もありますが、純粋に絵画として傑作です。
  (父)、としたのは、息子も画家でしたので区別する必要があったからです。

    


   次は、ここナショナル・ギャラリーの誇る名作、ハンス・ホルバイン(子)の
  「大使たち」です。1533年の作。当時のエリート階級の若い(30歳前後)の男性
  二人を描いたものです。地球儀や天球儀、航海用のコンパスや、楽器のリュート、
  リコーダーなど当時の先端技術製品?が描かれています。
   しかし、この絵を有名にしているのは別の理由です。カラフルなモザイクの床
  の間に奇妙な物体が描き込まれています。これを斜めから見ると、なんと頭蓋骨
  が浮かびあがります。騙し絵の一種でしょうが、ちょっと趣味が悪いね。恐らく
  これは、中世以来ヨーロッパに根付いてきた「メメント・モリ(死を想え)」の
  教訓を表しているようです。若くて権力もある前途有望なこの二人の若者にさえ、
  いずれは死が訪れるのだ、と。
   そうだよな、妻だってあんなに早く亡くなるなんて思わなかったし。死とは、

  常に背後に存在すると考えなければならないのかもしれません。

 
  最後に16世紀ネーデルラント(オランダ)の巨匠、ピーター・ブリューゲル(父)
 の作品、「三王(東方三博士)の礼拝」です。1564年の作。
  農民や田園風景を描いた独特の画風で有名な画家ですが、一応?このような宗教画
 も描いていました。先に挙げたヒエロニムス・ボッシュの影響を受けていたようで、 
 人間くさい(美化しない)市井の人々を描いた画家らしい絵ですね。宗教画というよ
 り、ちょっと風刺画みたいな感じがします。 
  彼の作品はウィーンの美術史美術館、ブリュッセルの王立古典美術館で、たくさん
 鑑賞することができますが、ロンドンにもあったんだなぁ。
  さすがナショナルギャラリー、重要な画家はほぼすべて押さえていますね。

    


    この後は16世紀のイタリア絵画、17世紀の欧州各国の絵画編です。
    やばいな、本当に年内完了が危なくなってきました。
    休み中に1日2本掲載とかして、なんとかするか・・・
    (別にえぇやん、急がんでも。せっかちやのう。by妻)