Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

ポンペイ展:古代ローマの記憶 ③古代ローマ人の生活

  東京・国立博物館で開催中のポンペイ展の続きです。
  前回は古代ローマ人の信仰の対象となった(人間臭い)神々の像などを見てきました。
 今度は当時の人たちの生活の様子がわかる展示を見学します。


  まずは早朝から開いていたという街角のパン屋さんです。一説には、町の有力者?が
 人々にパンを配給しているところだとの意見もあるようですが、いずれにせよ、こんな
 感じで焼かれたパンを、人々が食べていたらしいです。何はなくとも、まずは食の保証
 が第一というのは、古今東西変わりません。その意味では、少なくとも古代ローマ時代
 は合格点といえるのでしょう。(衰退期に入る前までの話ですけど・・・)

   

  改めて、2000年近く前の彩色フレスコ画がこんなによく保存されているとは、驚きを
 禁じえません。火山灰の硬い地層に埋もれていたことが幸いしたのでしょうね。


  写真を撮り忘れたので図録から転載しますが、食卓の上にあった品々の絵もありまし
 た。モモのような果実とガラスの水差し。ニンニクとオリーブ油の入ったガラス器です。
 こんな静物画を描いている人がいる時点で、文化的にも成熟していることがわかります。
 しかも、結構豊かな食生活をしているようですね。
  ちなみに日本では縄文時代(笑)。残っているのは貝塚とか竪穴式住居くらいかな。
 もし縄文人が古代ローマを訪れることができたら、びっくりして気絶したでしょう。 

       


  古代ローマ人は早起きです。日の出とともに起き、午前中のうちに仕事に取り組んだ
 ということです。まぁさすがに電気がありませんでしたので、仕方ないのでしょう。
  ポンペイの出土品には、邸宅の壁面に飾られていた絵画のなかで、当時の仕事の様子
 がわかる楽しいものが見つかっています。

  ポンペイの次に有名な遺跡エルコラーノにある邸宅で発見された、キューピッドたち
 が仕事をしている様子を描いたフレスコ画です。なんとも微笑ましく、楽しい絵ですね。 
 上の絵は鋳造工、下の絵は靴職人だそうです。当時の技術レベルが既に相当に高かった
 ことがわかります。

  そして一般的なお仕事はお昼までで終了。軽い昼食の後、日没までは余暇の時間です。
 えぇなぁ。(オッサン、働くより遊ぶ方が好きやからな・・・by妻)
  古代ローマ人は「仕事」と「余暇」をきっちり分けて、思ったよりも規則正しい生活
 を送っていたようですね。


  展覧会では、当時の人々が使っていた食器やガラスの器、仕事で使われていた工具等
 が展示されていましたが、すみません、写真を撮り損ねました。  


  古代ローマ人の余暇と言えば、まじめな人や青少年?は読書や肉体の鍛錬。そうでは
 ない普通の人?は、劇場で芝居を見たり、円形闘技場でスペクタクルなショウ(剣闘士
 や猛獣の戦い等)を見たり、大浴場(テルマエ)でリフレッシュをしたりしていたのだ
 そうです。展覧会には 円形闘技場での剣闘士試合のモザイク画がありました。
  ちょっと漫画チックですが、いろいろなタイプの剣闘士が戦う様子を描いています。
 剣闘士は死と隣り合わせの苛酷な職業ですが、成功すればお金と名誉が得られたため、
 奴隷だけでなく自由民でも志願して剣闘士になる人もいたそうです。

  ポンペイの円形闘技場で実際に起きたという乱闘場面を描いたフレスコ画もありまし 
 た。剣闘士試合を見ていた観客がエスカレートして乱闘に発展したということですが、
 サッカーの試合でホームチームとアウェイチームのファンが衝突したみたいな感じなの
 でしょう。盛り上がるのはいいけど、暴力はいけません。


  オッサン、後で気が付きましたがここで重要な作品を見逃していました。ナポリの
 国立考古学博物館でも見たことのある有名なモザイク画「辻音楽師」と呼ばれる作品   
 です。大道芸人じゃないけど、道端で歌と踊りを披露しているところでしょうか?
 色のついた石や彩色ガラスを使ったモザイク画は、古代ローマ時代特有の美術品です。
 とても根気の要る作業ですが、古代ローマ人に好まれたようで、ローマ世界のあちこち
 で発見されています。フレスコ画に比べてはるかに保存しやすいため、今でもこの作品
 のように鮮やかな色彩が残っています。驚くことに遠近法や、陰影をつける技法が既に
 確立されていたようです。しかしまぁ、どうしてこんな有名な作品を見逃してしまった
 んだろうか?(いっつも慌てているからやで。by妻) 


  そうそう、古代ローマでは意外に女性も活躍していたようです。もちろん古代の市民
 社会では、参政権は軍務とセットでしたので国政に参加することはできませんでしたが、
 (上流階級に限られたでしょうけれども)芸術分野では女性も活躍しています。そして
 日常生活においては、女性の力はとても大きかったようです。
  さる元老院議員は「地中海世界の覇者となったわれらローマ人は、依然として女房と
 いう支配者のもとにある」と述べたと記録に残っています。いつの世でも、家庭を切り
 盛りする女性は発言権が強いのですね。(うちといっしょやなゃ。by妻)
 
  ということで、女性の肖像を描いた優れた作品がいくつか展示されていました。いず
 れもオッサンがナポリの国立考古学博物館で見たことのある素晴らしい作品です。
  まずは、物書きの女性でしょうか?「ペンと書字板を持つ女性」、通称「サッフォー」
 と呼ばれるフレスコ画です。サッフォーとは古代ギリシアの女流詩人です。そう言われ
 てもおかしくない、知性的な表情の女性ですね。彩色が良く残っていて保存状態も抜群。
 よくこんなスゴイ作品を持ってきてくれました。有難うございます。

   

 
  こちらは「マトローナ(既婚女性)」と名付けられたモザイク画です。真珠のネック
 レスと小さな金のイヤリングを身に着けていますので、上流階級の女性のようです。
 元々はこのように額に入っていたわけではなく、個人の邸宅の応接間の床面に描かれて
 いたものだと推定されています。

  

  
   じっくり見ているとあっという間に時間が経過してしまいます。
   まだまだ素晴らしい作品がたくさんありますが、続きは次回で。
   (今回は何回続くんや?by妻)