Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

アルゲリッチ様のシューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54

  昨夜は水戸までコンサート鑑賞に行って参りました。
 お目当ては、現代において世界屈指の名ピアニスト、マルタ・アルゲリッチさんの弾く
 ロベルト・シューマンのピアノ協奏曲イ短調Op.54です。
  オーケストラの水戸室内管弦楽団は、我が国の誇る大指揮者小澤征爾さんのゆかりの
 楽団で、少人数の楽団ですがレベルの高いプロ集団です。小澤さんとの縁でアルゲリッ
 チ様が過去にも毎年のように出演されていましたが、コロナのせいで2年間公演は中止
 となり、今回3年ぶりにアルゲリッチ様との共演が実現しました。


  ということで、メインプログラムが協奏曲で、しかも弾き振り(指揮者なし)という
 異例のコンサートですが、マルタ・アルゲリッチ様のなさることに文句のある音楽ファ
 ンなどおりませんから大丈夫です。(まぁ、な。by妻)
  数年前に小澤征爾さんとマルタ・アルゲリッチ様が水戸室内管弦楽団と演奏した、ベ
 ートーヴェンのピアノ協奏曲第一番も聴きたかったのですが、これはオッサン、チケッ
 トが入手できず聴き逃しました。今回のシューマンは満を持してのリベンジです。  


  会場の水戸芸術館はとても小さなコンサートホールですが、音響はすばらしく、地方
 のホールの中でも評判が良いようです。しかしこんな大物のコンサートには座席数が少
 なくてちょっともったいない気がします。当然会場は満席です。
  会場は撮影禁止ですので、ネットから画像を拝借します。大理石の柱に支えられた、
 やや小ぶりのホールです。オッサンはB席でしたので、舞台の後方の席でした。この席

 だとピアノの鍵盤は見えませんでしたが、アルゲリッチ様のご尊顔が良く見えました。


  前半はオーケストラの曲(前座みたい・・・)、ベートーヴェンのコリオラン序曲、
 ちょっと珍しいブラームスのセレナーデ第二番(ちょっと退屈した・・・)でした。
 20分ほどの休憩をはさんで、いよいよアルゲリッチ様の降臨です。
  ・・・その前にロビーのバーで白ワインを一杯。(アホ)

      

  そうそう、この日は大学時代のサークルの先輩(クラシック音楽ファン)も駆けつけ
 ていました。この方は、月曜日に池袋の東京芸術劇場でのアルゲリッチ様の演奏会にも
 聴きにいったそうです。ついでに、月末に大分県の別府で行われる恒例の「別府アルゲ
 リッチ国際音楽祭」にも行くそうです。参りました・・・ほとんど「追っかけ」や。


  さぁ、いよいよ後半のシューマンのピアノ協奏曲です。
  なんと、アルゲリッチ様が真っ先に舞台に登場しました。マスクをしています。多分
 コロナ対策で、ソリストを先に入場させるようにしているのでしょう。指揮者はいない
 ので、舞台の真ん中最前列にスタインウェイのピアノがデーンと置かれ、コンサート・
 マスター(第一ヴァイオリンのトップ奏者)がその斜め後ろに控える感じです。
  アルゲリッチ様は、着席するとすぐにマスクを取り、コンサートマスターに目配せを
 して、オケの方に向き直ります。既に真剣なまなざし、「え?もう始めちゃうの?」
 と思うが早いか・・・
  チャチャーン、チャチャン、チャチャン・・・ と冒頭の激しいソロが鳴り響きます。
 そして愁いを帯びたオーボエの旋律、それをピアノが弾き継いでいきます。ものすごく
 艶っぽい音色です。そして、やはり違うのは響き。打鍵が強いのに耳に心地よく自然に
 響きます。しかし鍵盤やペダルが見えない席なので、指のタッチやペダリングはわかり
 ませんでした。ケチらずに正面のS席を購入しておけばよかった。
 (残念やったな。by妻) 
  曲の流れは当然ピアノが主導していて、アルゲリッチ様が気持ちよく演奏できるよう、
 オケの皆さんが必死についていっている感じです。まぁこれはこういう展開になるのは
 当然ですね。聴衆もそれを望んでいますしね。 


  そして緊迫の第一楽章フィナーレ近くのカデンツァです。速い! まぁ彼女にとって
 は手慣れた曲なのでしょうが、和音の繋がる難しいパッセージを超高速で弾き切りまし
 た。すげぇテクニックです。怒涛のような第一楽章でした。 
  続いて緩徐楽章の第二楽章は穏やかに、フィナーレの第三楽章は自由奔放に、という
 感じでアルゲリッチ様もかなりノリノリな感じでした。至福の時間は、あっという間に
 過ぎていきます。  
  
  終演後は観客の皆さんが嵐のような拍手。オッサンはスタンディング・オベージョン
 です。するとそれに気づいたアルゲリッチ様がオッサンを指さしてニコっと笑いました。
 オッサン、思わずお辞儀をしてしまいましたよ。(アホ)
  残念ながらアンコール曲はありませんでしたが、アルゲリッチ様は楽団員の方と何度
 もカーテンコールに現れ、ご機嫌なご様子でした。 

     

  1965年のショパン・コンクールの優勝者でもある彼女、既に80歳を越えていますが、
 高度なテクニックは衰えを知らず、さらに円熟の深みが増している感じです。弾かれる
 曲はかなり偏っています(もう自分の好きな曲しか弾かないわ、みたいな感じ。)し、
 ニーズの高いソロの曲はほとんど封印していますが、有難いことにこうやって日本には
 よく来てくださり、必ず演奏会をしてくれますので、日本の音楽ファンは幸せです。
  ちなみに若いときはこんな ↓ 素敵なお姉様でした。(今は「シャーマン」みたい。)
    

         


   最後に、ネットで出ていた彼女の演奏(少し前ですが)を掲載します。
   素晴らしいの一言です。  
 


    今回は妻の位牌と写真も一緒でした。妻にも聴かせたかったので・・・
     どうだったかな?