Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2022年GW 北に向かう旅 ⑧霊場・恐山へ

  GWの旅行記の続きです。
  残念ながらこの5月末で営業終了となってしまった、むつバスターミナルから12:55発
 のバスに乗車し、有名な日本三大令嬢ちゃう霊場の一つ、恐山へと向かいます。  
  タクシーのお兄ちゃんに教えてもらったのですが、恐山という単体の山はなく、下北
 半島のマサカリ(斧?)のような部分の中央部にそびえる、釜臥(かまぶせ)山を中心
 とした活火山の山地一帯を恐山と呼んでいるようです。参考までに青森県の地図を。
  左側が津軽半島、右側のマサカリ(斧)のような半島が下北半島です。あ、やっぱり
 下北半島の方が北にありますね。大湊駅は下北半島が抱え込むようにしているむつ湾の
 一番奥のところに位置していますので、本州最北の駅に間違いないようです。そして、
 恐山は下北半島の中央部、山と小さな湖が見えるあたりです。        

 

  こうして見ると、青森県は複雑な地形ですね。日本海側の津軽平野は、冬は豪雪となり
 ますが、真ん中の山地(八甲田山等がある奥羽山脈の最北端)に隔てられた県の東南部は
 (三八上北地方:三沢、八戸、上北の略かな?)寒さは厳しいけれど雪は比較的少ないと
 いうことです。県都の青森は日本海ではなくむつ湾に面していますが、日本海側との間に
 遮る山がないため、ほぼ日本海側と同じようなな豪雪地帯になります。それに比べると、
 むつ市はさらに北にありながらも、恐山山地に遮られているので比較的雪は少ないという
 ことです。(これもタクシーのお兄ちゃんの話。タクシーを使うメリットの一つは、こう
 いう地元の方しか知らないことをさりげなく聞く事ができることかもしれませんね。)
 ※ちなみに地図の一番南西部、秋田県境の山地は、2020年夏に行った白神山地です。
  


  下の写真は再掲:むつ市中心部を背景にした恐山の遠景です。


   しかし恐山の名を有名なものとしているのは、何と言っても「死者の口寄せをする
 というイタコ」さんの存在、霊場としての恐山の方です。正確には、恐山菩提寺という
 曹洞宗のお寺(オッサンの実家と同じ宗派です)で、開山は平安時代の862年、開祖は
 天台宗を開いた最澄の弟子であった円仁(慈覚大師)と言われていて、本尊の地蔵菩薩
 を祀ったということです。その後、時代が下って曹洞宗になったのかな?
  ちなみに日本三大霊場とは、ここ恐山と、比叡山延暦寺、高野山金剛峰寺という超ド
 級のお寺です。なぜ恐山がそこまでの地位?を獲得したのでしょうか・・・まぁ、まず
 は行ってみないとわかりませんね。あ、そうそう。冬の間は厳しい寒さと積雪のために
 一般人は入山できず、毎年5月1日に山開き?となります。ちょうどオッサンが訪れた
 日が5月1日でしたので、今シーズンの一般公開初日になりました。恐山直行の路線バ
 スもこの日から運航開始のようです。


  むつバスターミナルに到着した恐山行きのバスは、既に始発の下北駅からの観光客を
 何人か乗せていました。バスターミナルからの乗車はオッサン一人でした。バスは最初
 のうちはむつ市内の住宅地をぐるぐる回っていきますが、10分程で山道に入ります。
 標高はそれほど高くないのですが、とても急な山道でヘアピンカーブが連続します。車
 の運転が苦手なオッサンでは立ち往生してしまったかもしれません。(そんならレンタ
 カーで行かなくて良かったんちゃうか・・・by妻)
  恐山に着く直前の山の中で、バスは「冷水(ひやみず)」という停留所に止まりまし
 た。運転手さんは「少し時間を取りますので、下車しても構いませんよ」と言います。
 「冷水」とは、恐山へ参拝する人達の喉を潤してきた湧き水のことです。昔からここが
 俗界と霊界の境界といわれていて、この冷水で手を洗い、口をゆすぎ、霊場恐山へ入る
 のが習わしとなっていたとのことです。(路線バスの中で、そういう案内アナウンスが
 ありました。観光客向けの配慮が行き届いていますね。)
  乗客の皆さんがほぼ全員下車しましたので、オッサンもせっかくだからこの「冷水」
 を試してみようと思いました。(「年寄りの冷や水」にならんようにな・・・by妻)

    

  写真のように、山から流れてくる清冽な湧水が、竹筒を通して3つ注いでいます。
 ちょっとためらいましたが、オッサンは口をゆすいでから2杯ほど飲んでみました。
 とても冷たくて美味しい水です。まさしく「清冽」な水ですね。山の中にはまだ雪が
 残っていましたので、冷たくて当然かもしれません。
  なお冷水は1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで生きられるという
 不老水とも言われています。(オッサンみたいなふざけたギャグやな・・・by妻)


  「冷水」バス停から5~6分程で急に視界が開けてきました。恐山は活火山であり、
 噴火でできたカルデラ湖と、それを取り囲むいくつかの外輪山で構成されています。
 したがって山を登りきると、このような光景が目に入ります。水がとてもきれいです。

  外輪山とカルデラ(湖があるかどうかは別として)の地形といいますと、「箱根山」
 や「阿蘇山」が頭に思い浮かびますが、それらと同じようなものかもしれません。
  終点の「恐山バス停」はそのカルデラ湖(宇曽利山湖)のほとりにあって、霊場恐山
 菩提寺の入口近くにあります。たぶん「うそりやま」が訛って「おそれやま」になった
 のではないかと言われています。
  恐山お停留所の少し手前に、地獄の入り口というような「三途の川」と太鼓橋があり
 ました。(バスの中からの写真撮影に失敗したので、ネットから借用)
 バスは13:30の定刻よりも少し早く到着しました。(イタリア鉄道みたいやの~by妻)

  カルデラ湖とその背後にある外輪山の風景は美しいのですが、この恐山一体は活火山
 なので、今でも硫黄の臭いが立ち込めています。実は恐山菩提寺のあるあたりは、その
 火山活動でできた殺伐とした岩場の光景が広がっており、「地獄」と呼ばれています。
  つまり地獄、いや「あの世」との境目にある場所ということで、恐山は霊場としての
 信仰が広まり、今日まで続いてきたのでしょう。今でも火山性ガスが噴き出し、硫黄臭
 がしますので、確かに「地獄」と呼ぶのにふさわしい場所です。
  オッサン、バスを降りて恐山菩提寺の方に向かいます。ここは標高が高いので、まだ
 サクラ(ソメイヨシノ)が咲いていました。ちょっと空が曇り出して、なんとなくおど
 ろおどろしい雰囲気になってきました。(雰囲気が出ていいやん。by妻)

  おっとその前に、帰りのバスの時間を確かめます。一日5便しかありませんから、乗り
 遅れたら大変ですからね。・・・ん?

     

  時刻表の下に、「本日、イタコの口寄せがあります」との張り紙がありました。
  この日は一般公開初日のためか?、かの有名な「死者の声を伝えるというイタコ」
 さんがおいでになるとのことです。オッサン、ちょっと考えました・・・
  「妻(の魂)を呼び出してもらって、話をしてもらうことができるかもしれない」
 という、死別者の「叶わぬ願い」がひょっとしたら実現できるのではないか、と。


  しかし、結論を言いますとオッサンは思いとどまりました。決して費用をケチった
 訳ではありません。正直に言いますと、ちょっとためらいがあったのです。
 (そらぁ私に叱られることは確実やからな・・・by妻)
  まぁ、それもありますが・・・「信じるか信じないか」という以前に、妻が誰かの口
 を借りて喋るということに違和感を覚えたからです。コテコテの関西弁の妻が、津軽弁
 のおばぁ様の口を借りて喋る姿がどうしても想像できませんでした。なんだか違う、と
 いうことになってしまうのでは、依頼した甲斐がありませんしね・・・
  オッサンの記憶の中にある妻は、こうして今でもオッサンのブログに登場して、調子
 に乗ったオッサンを諫めてくれていますから、それでいいのかもしれません。(アホ)  


  さぁ、ちょっと考え事をして逡巡してしまいましたが、気を取り直して恐山菩提寺の
 見学に参ります。帰りのバスまでの一時間半の間の観光です。
  続きます・・・(またかい。by妻)