思い出の旅2007シチリア ⑲タオルミーナの夜に・・・
シチリア旅行の記事も間隔が開きすぎて停滞気味でした・・・(もはやいつ終わるの
かわからんようになってしもうたな・・・by妻)
そういえば、先日トルコ南東部で発生した地震で、トルコ南東部とシリアの北西部で
大きな被害が出ているそうです。日本でも阪神淡路大震災、東日本大震災という未曽有
の大地震での壊滅的な被害で多くの人命が失われてしまいましたので、他人事には思え
ません。この地域ではレンガ造りの高層建築が多く、瓦解した建物の残骸に多くの方々
が閉じ込められてしまったそうです。なんとかして多くの方が救い出され、一日も早く
被災された人々に普通の生活が戻りますよう、お祈りいたします。
地震のあったトルコ南東部のアンタキヤという町は、古代ローマ帝国第三の都市で、
ローマ世界の東半分の首都のような位置づけにあった属州シリアの州都アンティオキア
だったそうです。かつて(紀元4世紀頃まで)はローマ、エジプトのアレクサンドリアに
次ぐ100万人の人口を誇った大都市であったのですが、今は人口1万人程度の辺境の町に
落ちぶれています。もう既に古代ローマ時代の栄華をしのばせるものは皆無らしいです
が、今回の地震でさらに破壊され、何も残らない街になってしまうのでしょうか・・・
こんなことを考えてしまったのも、シチリア島や南イタリアはヨーロッパ大陸とは異
なる地震多発地帯で、古代ギリシア・ローマの時代から幾度となく大地震の被害を受け
てきたことを思い出したからです。ナポリ近郊のポンペイがヴェスヴィオ火山の爆発と
地震により滅亡してしまったことは世界の誰もが知るところですが、このシチリア島の
タオルミーナ近くにあるエトナ火山も何度か爆発を繰り返し、シチリア東部では大地震
も頻発していたのです。そのような自然災害に何度も遭遇しつつも、タオルミーナの町
とギリシア時代の遺跡は現代まで生き延びていると思うと、少々感慨深いです。
下の写真の遠景に見えるのがエトナ山、今でも活動している活火山なのです。
さて旅行4日目、タオルミーナでの2日目の夜になりました。この日の夕食は目抜き
通りのコルソ・ウンベルト近くのレストラン、「ラ・グリーリャ」です。ミシュランの
イタリア版にも(★はついていませんが)一応掲載されていましたが、リーズナブルな
価格で美味しい地元料理を出してくれるという評判でしたので行ってみました。前日に
行ったミシュランの星付き(一つ★)のレストラン「カーザ・グルーニョ」と異なり、
予約は必要ありませんでした。
リゾート地のレストランという雰囲気ですが、さほど敷居は高くありませんでした。
あ、妻はちょっと前に購入したヴェネツィア・ガラスのオーナメントを大事そうに抱え
ています。なんだかうれしそうな表情だなぁ。(美味しかったんや。by妻)
お店の水槽には珍しい魚が・・・イセエビみたいなエビもありました。やはりシチリア
島では新鮮なシーフードが美味しいと思います。オッサンもこの頃はまだ40代前半か。
妻が日記に書き残してくれたので、何を食べたのかがわかっています。プリモ・ピア
ット(第一の皿)は。妻がイワシのペンネ、オッサンはウニのクリームスパゲッティ。
白ワインは、コスタ・ダマルフィという南イタリアのアマルフィ海岸のワイン。
そんなに高くはなかったのですが、少しコクもあって美味しかった記憶があります。
メインディッシュのセコンド・ピアット(第二の皿)は、妻が仔牛のグリル。オッサン
はヒラメのソテーです。ヒラメがものすごく大きいんですけど・・・これで一人前?
そしてデザートも・・・だんだん妻の表情がひょうきんになってきているな・・・
(ちょっと酔っぱらっとるかもしれんわ・・・by妻)
妻の日記では、「昨日よりもお手頃な値段なのに、こっちの方が美味しい気がした」
とのこと。前日の星付きレストランは、ちょっと手を加えすぎて凝った料理が多かった
のですが、この店は素材の良さを活かしたオーソドックスな料理だったので、日本人に
はこういう味付けの方が合うのだと思います。
この後は、街の東のはずれメッシーナ門の近くにある貴族の館、コルヴァヤ館という
所に行ってみました。(再びタオルミーナ市街地図を掲載いたします。)
夏のタオルミーナでは、夜遅くまで観光客向けの施設が営業をしてくれています。
このコルヴァヤ館には、いつもはシチリア島のパレルモやチェファルという町の美術館
にある名画を、夏の間だけここに持ってきて鑑賞させてくれるという、粋な催しが開催
されていました。
入口近くにはタオルミーナの町(コムーネ・ディ・タオルミーナ)の大きな紋章が
展示されていました。半人半獣のモチーフが町のシンボルになっているみたいですね。
メインの展示品は、なんとシチリア島生まれのルネッサンス時代の画家アントネッロ・
ダ・メッシーナの超有名な作品ふたつでした。ウソ~、この名画がタオルミーナで見ら
れるとはラッキーでした。
まずはこの ↓ 作品。シチリア島の北部にある歴史的な町チェファルのマンドラリスカ
美術館に常設展示されている、「ある男の肖像」です。
ちょっとにやけていて、ヤラシイオッサンみたいやの~(by妻)
アントネッロ・ダ・メッシーナはルネッサンス時代の15世紀後半にイタリアで活躍した
シチリア島生まれの画家です。当時の技術先進国であったフランドルの画家の油絵技法を
習得し、カトリックの強かった当時のイタリアでは珍しい、フランドル風のミステリアス
な人物画を多く残しました。カトリック教会の意向を受けた宗教画が普通の絵画であった
時代に、市井の一般人の肖像画を描くというのはかなり異例なことだったと思われます。
しかも、その技量は素晴らしく、描かれた人物の性格やバックボーンも描き出している
と高く評価されており、知る人ぞ知る人気画家なのです。かく言うオッサンもその一人。
いやぁ、チェファルーまで行かなければ見られない名画が、タオルミーナで見られる
とは有り難い。しかも午後9時過ぎなんですけどオープンしていて、ちらほらとお客も
入っています。
そして、なんとこの世界的な名画もここに来ていたのです!
ウソだろ~?(ホンマやで。by妻)
アントネッロ・ダ・メッシーナの代表作である「受胎告知」です。パレルモのシチリア
州立美術館の至宝なのですが、こんな名作を持ってきちゃっていいんですかぁ?
実はオッサン、パレルモ滞在で時間の余裕があれば州立美術館に行ってこの絵を見よう
とさえ思っていたのですが、あいにく時間が足らず諦めていたのですが・・・なんと結果
的にはパレルモの州立美術館に行っても見られなかったのですね。ここにあるから・・・
通常、受胎告知の構図は、聖母マリアと懐妊を告げる大天使ガブリエルが画面を二分す
る形で描かれることが多いのですが、この絵ではガブリエル様は登場せず、マリア様のみ
です。しかも、意図せざる懐妊を告げられて驚いた表情を見せるのが普通のマリア様なの
に、この絵のヴェールを被ったマリア様は、冷静沈着に受け止めている雰囲気がします。
達観、というか運命を肯定的に受け止めているのか・・・その謎めいた凛々しいお顔は、
見る人の心を鷲掴みにしてしまいます。なんともミステリアスな絵です・・・
いやぁ、これは思いもよらない大収穫でした。タオルミーナはなかなかいいぞ。
この後ホテルに帰る途中で、オッサンはワインショップに立ち寄りシチリア・ワインを
購入してしまいました。😝 妻の日記では、「ここではワインは買わないと決めていた
のに、オッサンは誘惑に負けてシチリアワインを買う。でもなかなかおしゃれな店だ」と
書いてありました。残念ながらお店の写真を撮り損ねていましたが、購入したワインの写
真がネットにありましたので参考までに・・・もちろん既に飲んでしまっていますが😝
シチリア南東部のヴィットリアというところで、自然な造りと古代風のアンフォラ
(壺)を使った醸造・保存方法で有名なコスさんという生産者のワインです。どんな味
だったかはもう忘れてしまいましたが、シチリアを代表する赤のネロ・ダーヴォラとは
違ってあまり濃くはないのですが、凝縮した緊張感のある赤ワインだったと思います。
(どうでもいいけど随分調子に乗っているな、オッサン。by妻)
この後はタオルミーナ滞在3日目ですが、タオルミーナからの日帰り小旅行です。
(なんや、私はもう一日タオルミーナでのんびりできると思うとったわ~ by妻)
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