Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2019夏:英国 ⑰バースで温泉 ~その2~

   古代ローマ時代の遺跡が残る、世界遺産の町バースの観光を続けます。
   アビー(大聖堂)の隣の建物が、この町一番の観光名所である古代ローマ時代の
  大浴場です。作られたのは紀元1世紀と推定されていますが、ローマ帝国滅亡後の
  キリスト教全盛の中世を経るうちに、土に埋もれて忘れ去られ、18世紀頃から再建
  され、19世紀になって今のような姿になったとのこと。ローマ時代の遺跡は地下に
  あり、地上部分は全て19世紀に再建されたものだということです。
   遺跡の入口は19世紀に造られた建物にありますので、一見するとここがローマ
  浴場とは思えないのですが、一歩中に入ると驚きの空間が出現します。

  
  二階建てになった大回廊に囲まれて、広々とした天井のない大浴場がありました。
 ここはローマ時代の温泉施設では(温水?)プールになっていたものを再現したよう
 です。イギリスは古代ローマ時代は属州ブリタニアと呼ばれ、本国イタリアから遠く
 離れた僻地でしたが、そんな遠くにまでローマ人は自分たちの文化を持ち込み、この
 ような立派な大浴場を建設していたのですね。浴場と言っても、温泉保養施設+体操
 競技場+図書館みたいな複合施設で、庶民の憩いの場所だったそうです。現代ならば
 レジャーランドですね。 

  回廊にはローマ皇帝や偉人の彫像が配置されていました。おそらく当時は、芸術鑑賞
 の対象というべきギリシャ風の裸体彫像や、神々の像で飾られ、床面は色ガラスや石を
 使った豪華なモザイクで覆われていたと思われます。
  二階部分に上がるとこんな ↓ 感じです。隣にあるアビーの塔もよく見えます。

  世界遺産を背景にしてパンダ君もご機嫌です。

    

  実際にこのプールではかつて入浴ができたそうですが(水着着用で)、今は観光専用 
 となっているのでここで入浴することはできません。確かにここで泳ぐのは、ちょっと
 恥ずかしいよね・・・
   
  この大浴場(プール)は復元されていてローマ時代の雰囲気が楽しめますが、その他
 の部分は博物館のようになっていました。ここで出土した彫像や壁画・床面モザイク、
 銀貨などが展示されていました。さすがにイタリアや地中海沿岸諸国の遺跡にあるよう
 なもの凄いものありませんが、興味深い展示でした。
  そうそう、古代ローマ時代の想像復元模型もありました。さっきのプールは、屋根が
 付いていたんですね。左上には神殿もあったようです。メインの浴場は、温度の違いに
 よって熱浴室と温浴室と冷浴室の3種類があったそうです。こだわりが凄いですね。 

  展示コーナーでは、ギリシャ神話の蛇女ゴルゴン(3姉妹の一人がメデューサ)の
 壁面装飾が目を惹きました。女じゃなくてオッサンみたいに見えるけど・・・
 展示物の上に光を当てて、当時の彩色を復元してくれました。

  ゴルゴン達を処罰した、実はコワイ女神ミネルヴァ(ギリシャ神話では宛名、ちゃう
 アテナ)の金色の頭部の像がありました。もし全身像が残っていたらすごい価値だった
 かもしれませんが、頭部だけでもなかなか素晴らしい出来栄えだと思います。

   

  床面を覆っていたと思われる彩色モザイクも一部残っていました。さすがにシチリア 
 にある「カザレの遺跡」にはかないませんが、ここのはそれより古いであろうと思われ、
 2000年近く前のものが残っているだけで凄いです。

   

  古代ローマ時代の通貨、デナリウス銀貨の展示もありました。ギリシャ人は通貨に
 神々の図柄を彫り込みましたが、ローマ人は表面に皇帝の横顔を入れました。統治に
 必要な宣伝に使っていたのですが、その創始者はあのユリウス・カエサル(英語名は
 ジュリアス・シーザー)さんだそうです。ちょっとピンボケ写真でスミマセン。
 意外に薄くて小さいです。

  地下には、古代ローマ時代のままと思われる温泉設備の遺構がありました。すげえ。

     

  見るだけでしたが、なかなか興味深くて楽しめる遺跡でした。イギリス人は遺跡の
 保存・復元にかなり力を入れている感じですね。
  遺跡を見た後は、優雅なティールームでゆっくりお茶や軽食を楽しんだり、飲用の
 温泉を飲んだりすることもできますが、貧乏性の私は次の目的地へ急ぎます。


  さて、せっかく温泉保養地に来たのに、温泉に入ることはできないのか?
  イエ、誰でも気軽に入れる温泉施設があるのです、このバースには。
  この ↓ 建物が、その「サーメ・バース・スパ」というレジャー施設です。
 右上の屋上に温水プールがあって、景色を見ながら入浴できるそうです。楽しみ!
 

  ここで受付し、入場料を払って水着(パンツ)を購入。バスタオルとガウンを借りて
 いざ、中に入ります。あ、この ↓ 写真の方は私ではありません。そういえば、東洋人も
 見かけましたが、中に入ると圧倒的に地元の方々が多かったように思います。

  当然ながら、内部は写真撮影禁止ですので、お借りした写真で代用します。
  真っ先に屋上のプールに行きました。先ほど見てきたアビーもローマン・バスも、
 ここから眺めることができます。 

  詳しくは次回!スミマセン。