Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

義経千本桜! 四の切~

  昨日は歌舞伎座の新春大歌舞伎の第三部を観劇に行ってきました。
  もう午後6時だと暗くなっていました。オッサンが到着した時には既に開幕ギリギリ。

    

  2022年の幕開け公演はほぼ満員の大盛況のようです。新型コロナの感染再拡大の前に
 前売りチケットを購入しているので、皆さんキャンセルせずに来ているようですね。
 (アンタもな・・・by妻)
  
  初春らしい演目が並びますが、第三部の目玉は通し狂言「義経千本桜」の「四の切」
 (しのきり)と呼ばれる人気演目、川連判官館(かわつらほうげんやかた)の場です。

    

 歌舞伎座前の立看板には、いつものように演目の名場面を描いた絵が掲げられています。

    

  義経千本桜は1748年に初演され、以来270年に渡って演じ続けられてきた伝統の芝居
 です。今夜見る場面は、その通し狂言の「四段目の最後の場」です。人気があるので、
 近年ではよく単独で演じられる演目です。
  興味のある方は詳しい解説をご覧ください。(以下の記事を参照)
  
  オッサン、手抜きをしているんか?(by妻) 
  いやいや、オッサンのいい加減な素人の解説では心もとないので・・・


 「義経千本桜」は5段からなる源平モノの壮大な歴史物語ですが、この四の切では、
 義経や静御前といった超大物が主役ではなく、その家臣である佐藤忠信、いや正確に
 言えば忠信に化けた狐が主人公という、ちょっと変わったお芝居です。そして、その
 忠信と、忠信に化けた狐を同一役者が演じるところ(早替わりの演出あり)、狐忠信
 が人間離れしたアクロバティックな演技を見せるところが見所です。この演目は先代
 の市川猿之助(現猿翁)がお家芸としていたもので、それを今回四代目の猿之助さん
 が演じます。とても楽しみです!


  そうそう、実は1月3日にNHK教育テレビでこの演目の舞台を放送したものを録画
 しておりますので、写真はそちらから抜粋したものを掲載いたします。当然、生の舞台
 は撮影禁止です。(いや、これも厳密に言ったらアカンのちゃうか?by妻)


  幕が開くと舞台は吉野の里にある川連判官の館、そこに義経が兄頼朝の追手を逃れて
 潜んでいます。そこに愛妾静御前が、さらに忠臣佐藤忠信がやってきました。義経と静
 は忠信にこれまでの働き(義経が逃れている間に静御前を助けてきたこと)をねぎらい
 ますが、忠信がそうしたこれまでのいきさつを知らないと言い張るため、義経は忠信が
 敵方に寝返ったと勘違いし、詮議するよう部下に命じます。
  忠信は身に覚えのないことを言われて憮然としながらも、義経の命に従い退場。 

 
  一方で義経は、これまで静御前を守護してきた忠信(だと思っていた者)が偽物かも
 しれないと思い、静にもし再び忠信(だと思っていた者)が現れたら詮議し、怪しけれ
 ば切れと命じます。(イヤ、女性にそんなこと命じますか?普通・・・by私)
  義経が退場し、静が鼓をたたくと・・・

  どこからともなく、突如忠信(実は狐)が現れ、静御前の鼓の音に聞き惚れています。
 (この黒い階段の裏から突然現れます。動物とか妖怪の登場の仕方ですね・・・)
 猿之助が演じる狐の表情、声音(こわね)、仕草は本当に素晴らしい。 

  しかしその挙動不審なふるまいから、静御前はこの忠信の正体を見破ります。
  「さてはそなたは~ きつねじゃなぁ~?」
  と静御前が刀を抜いて絶叫すると同時に・・・


 「うわぁ~ ばれたか~」じゃないけど、忠信が舞台上から床の下に姿を消します。
 (床がストンと落ちて、一瞬のうちに舞台からいなくなるのでびっくりします。)

  そして数秒後、床下から狐の姿に戻った忠信が姿を現し、観客は二度びっくり。
 (グ●コアーモンドキャラメルみたいやな~ アホ) 目にもとまらぬ早替りです。

  狐忠信は、自分の両親が雨乞いの儀式で生皮を剝れて静御前の持つ鼓になったこと、
 静御前のおそばに仕えればその鼓の音が聞けると思って忠信に化けたこと、などを語り
 ます。静御前と、奥に控えた義経はその話を聞き、不憫に思います。
  狐忠信は、正体がばれた以上は古巣に戻ると言っていったん姿を消します。ここで、
 舞台上ではもうひとつ演出があります。狐が姿を消した後、屋敷の別の部屋の窓からは
 本物の忠信が姿を見せるのです。つまり、もう一度早替わりを見せてくれるのです。
 狐が退場した舞台側と反対側から正装の忠信が現れますが、狐を演じていた時とは全く
 違う威厳のある表情をみせてくれます。しかしアップで見ると、猿之助さんの息が荒い
 のがわかります。こりゃ体力的にも相当ハードだな・・・


   そして義経が忠信狐の身の上を不憫に思い、また肉親の情に恵まれぬ我が身の不幸
 を嘆いていると・・・うわ!

  天井から狐忠信が回転しながら舞台に降りてきます。内村航平さんではありません、
 猿之助さんが自ら身をひるがえして舞台に戻ってきます。早替わりの三回目です。
  そして義経が、これまで静御前を守ってくれた働きに報いるため、この鼓を狐忠信に
 褒美として与えます。それを聞いた狐忠信、大喜びではしゃぎ回ります。ブレイクダンス
 のようなシーンもあり、体力的にも技巧的にもキツイと思いますが、猿之助さんは難なく
 演じ切ります。(片膝をついて高速で体を回転させるブレイクダンス?です。)

  
  そして義経の命を狙う敵が現れると、軽やかに飛び跳ねてくせ者たちを翻弄します。
 これも相当体力を消耗するはず・・・


  敵をやっつけた?後、狐忠信は親のかわりの鼓を携えて古巣に帰っていきます。
  普通なら花道を引き揚げるのですが、狐忠信はなんと宙を飛んで帰っていきます。
 うわ、二階席のお客さんの目の前ですよ。

  しかしオッサンは一階席の後ろ側(二階席の下)のため、宙乗りの姿が見えません。
 しまった!演目を考えて、二階席にしておけばよかった!
 (アホやな。先読みができないオッサンらしいわ・・・by妻)

  オッサンがライブでは見えなかった宙乗りシーンのアップです。いい表情ですね!
  最後は鳴りやまぬ拍手を受けながら、花道の上を通って三階席の後ろまで、六方の 
 ように手足を動かしながら引っ込んでいきます。


  桜吹雪を舞う中を悠然と引き上げる狐忠信。よっ、千両役者!
  (オッサンは大根役者! by妻。うるさいわ! by私)

  
  なかなか楽しいお芝居でした。宙乗りを見逃したのが返す返すも残念・・・
  歌舞伎に興味がない方でも、楽しく鑑賞できると思います!