Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

久しぶりの外来オペラ:パレルモ・マッシモ劇場の「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」を鑑賞しました・・・

  今日は午後から久しぶりに上野の東京文化会館へ・・・

  今日はとびきり暑いのに上野公園はものすごいヒトデ、ちゃう人出でした。東京文化
 会館はJR上野駅の真ん前にあるので便利ですが、オッサンの自宅からはちょいと遠い。
 1時間以上かかりました。


  今回は久しぶりに外来オペラ、イタリア・シチリア島パレルモのマッシモ劇場の公演
 です。今年は国立劇場でヴェルディ先生のファルスタッフを鑑賞しましたが、海外歌劇
 場の引っ越し公演に行くのは随分久しぶりです。2016年のウィーン国立歌劇場来日公演
 の、ワーグナーの「ワルキューレ」以来ですかね・・・もう7年も経つのか・・・
  しかし、実は今回の公演は初めは行く気が無かったのです、と言いますのも・・・


  オッサンは2020年の6月、そして9月にイタリアのオペラハウスの来日公演を鑑賞予定
 でした。6月の公演はパレルモ・マッシモ劇場、演目はシチリアの生んだ天才作曲家の
 ベッリーニさんの有名な「ノルマ」、営業マンが最も苦手とする演目です。(アホ)
 そして9月にはイタリアオペラ界の最高峰ともいうべきオペラの殿堂、ミラノ・スカラ
 座、演目は超有名なプッチーニの「トスカ」を見るはずでした。
  しかし、ご想像の通りあのコロナのせいで来日公演は中止となってしまいました。
 スカラ座の公演はチケット発売前に中止が決まりましたが、マッシモ劇場のチケットは
 既に発売されておりオッサンは購入済でした。しかしオッサンは期限までに払い戻しが
 できず、チケット代を無駄にしてしまったと思っていました。
  
  ところが先月、この公演の大谷翔平ちゃう、招聘元のエージェンシーから連絡があり、
 2020年6月のチケットを購入された方は、今年の公演に振り替えて鑑賞できるというの
 です。払い戻しは無く、振替公演に行かなければ権利は消滅します。しかし演目は当初
 のノルマではなく、ヴェルディ先生の「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」に変わっていま
 す。オッサン、どうしようかと悩みました・・・・
 (どうえもえぇけど前置きが長すぎるわ、早うしてんか。by妻)


 「椿姫」は超メジャーな作品で、オッサンの崇敬するヴェルディ先生の代表作なのです
 が、問題はストーリーです。オッサンは、妻を亡くして以来、ヒロインが病気で死んで
 しまうオペラや、舞台上で死んでしまうオペラは見ることができなくなっていました。
 プッチーニの蝶々夫人、ビゼーのカルメン、ヴェルディ先生のオテッロ(オセロー)や
 リゴレットもダメなのですが、プッチーニの「ラ・ボエーム」と並んで「椿姫」は舞台
 上でヒロインが最後に病気(肺結核)で死んでしまうので、オッサンには絶対無理なの
 です。よりによって、今回のパレルモのマッシモ劇場の演目は、そのラ・ボエームと、
 椿姫の二本立て。よりによって、オッサンが禁じ手にしていた演目をわざわざぶつけて
 くるとは・・・嫌がらせか?(そんなことを言われても知らんがな・・・by妻)


  しかしセコさにかけては人一倍のオッサン、せっかく鑑賞できる代替チケットが送付
 されてきたので、2万8千円を無駄にするのは勿体ないと考え直し、意を決して出かける
 ことにしたのです。(なんや、くだらん話やな。by妻) 

    

  「椿姫」は典型的なプリマドンナ・オペラで、主役のヴィオレッタを歌う歌手の力量
 と出来栄えがすべてを決めてしまうという恐ろしいオペラなのですが、なんせ超メジャ
 ー作品で、聴きどころが多いので大人気なのです。コロナ後に延期された興行では、客
 の入りを考慮して、超メジャーな作品に振り替えたものと思います。そういえば、今年
 来日するイタリアオペラ劇場は3つもあるのですが、椿姫とトスカが2つ被っています。
 いくらなんでも同じ演目ばかりではちょっとね・・・まぁ、この2つはソプラノとテノ
 ール、バリトンが揃えばそこそこできてしまうので、演出に凝らなければ安上がり?な
 演目なんですよね・・・(日本人をなめとるんちゃう?by妻)


  さて、しかしソリスト(歌手)はかなりの一流どころをそろえてきました。たぶん、
 現地パレルモではこのキャストが揃うことは難しいでしょう。主人公のヴィオレッタに
 アルバニア出身の舞台女優のようなエルモネラ・ヤオさん、恋人アルフレード役には、
 イタリアの若手テノールの中心となったフランチェスコ・メーリさん、そしてアルフレ
 ードの父ちゃんで、二人の仲を引き裂くイケずなジョルジョ・ジェルモンさんにはイタ
 リア・オペラ界のバリトンの重鎮、アルベルト・ガザーレさんという、なかなか豪華な
 キャストなので期待できます。


  開幕前には、音楽評論家の方によるわかりやすい解説がありました。これはなかなか
 いいサービスですね。この曲を学生時代から何100回と聴いてきたオッサンでも、へぇ
 そんなんだ~というお話もありました。
  「ラ・トラヴィアータ(道を踏み外した女)」という原題は、当時北イタリアを支配
 していたオーストリアの官憲の検閲に引っ掛からないようにするためのものだった、と
 いうのは有名な話ですが、「日陰者の存在」であった高級娼婦が「日の当たる場所」に
 出ることが、当時のパリの社交界ではいかに難しかったかということが、このオペラに
 は描かれているそうです。それが最後の、ヴィオレッタのセリフ「リナーシェ(生まれ
 変わる)」に込められているのだと・・・
 (そういやオッサンは、「道を踏み外してドブに足を取られた男(実話)」やったな。
 by妻)・・・リナーシェか・・・妻も生まれ変わってくれたらいいのにな・・・ 
  


  詳しいことは書ききれませんが、歌手陣の頑張りのおかげでかなり盛り上がりました。
 オーケストラは、やはり欧米の超一流どころには及びませんが、オペラの伴奏でメシを
 食っているだけのことはあって、歌手に気持ちよく歌わせるように頑張って調整をしてい
 たと思います。指揮者もかなり苦労して引っ張っていた感じです。


  有名な第一幕第一場、完敗の歌(今日のタイガース)ちゃう、乾杯の歌のシーンです。


  主人公のヴィオレッタ役は、ほぼ出ずっぱりで、1幕では社交界の花形としての気品と
 格を見せ、2幕では愛する人と義理人情の間の葛藤に悩む女の苦悩を、そして3幕では
 死にゆく女がこの世に自分の生きた証を残そうとするいじらしさを表現しなければなら
 ないという、とても難しい役なのです。しかも第一幕フィナーレのカバレッタ(アリア
 の後半部の技巧的な部分)では、超絶技巧の高い音を連発する必要もあるのです。

  八尾さん、ちゃうヤオさんのヴィオレッタを見るのはオッサンは2回目なのですが、
 最初はちょっと声が小さいし迫力不足だなと思っていましたが、やはり1幕フィナーレ
 のアリア「あぁ、そ(其)は、か(彼)の人か ~ 花から花へ」を歌い終わるまでは
 声を温存していたようです。その後は、迫真の演技もあって大ブラーヴァでした。


  そしてテノールのメーリさん。イケメンだけどちょっとナイーブな感じが、かつての
 ホセ・カレーラスさんに似ている感じで、女子に大人気のようですが、実力もかなりの
 ものでした。声量があり、軽めの声はアルフレードにうってつけですね。ヴェルディの
 テノールでも、軽めの声に合う役(このアルフレード、リゴレットのマントヴァ公爵、
 ちょっと頑張って仮面舞踏会のリッカルドあたりまで)がはまり役かなぁ。

  しかしカレーラス様と同様、やはり髪の毛が危ない感じ・・・オッサンの友人ね😆

   

 ・・・オッサン、また訳のわからんことを書いて、誰もついてこられへんで。(by妻)


  そういえば思い出しました。
  オッサンは学生時代に初めて購入したオペラの全曲CDが、この椿姫でした。指揮者は
 カルロス・クライバー、ミュンヒェンのバイエルン国立歌劇場管弦楽団&合唱団、歌手
 はヴィオレッタにルーマニア出身の美人歌手イレアーナ・コトルバシュ、テノールは、
 世界三大テノール(今はズルしてバリトンをやっている😆)プラシド・ドミンゴさん、
 バリトンは、往年の名歌手シェリル・ミルンズさんでした。何百回も聴いたな・・・ 
 (授業をさぼってな・・・by妻) 妻が亡くなってから10年間、一度も聴いていないの
 ですが、昔取った篠塚(古い)ちゃう杵柄か、ほとんどのフレーズを覚えていました。


  妻と結婚してからは、有名な映画監督フランコ・ゼッフィレッリ監督が演出した映画
 版のレーザーディスクを買って、妻と一緒に何回も見ていました。これも最近見ていな
 いな・・・ヴィオレッタはテレサ・ストラータスさん、アルフレードはドミンゴさん。

  妻はこの映画を見過ぎてセリフを断片的に覚えていました。
  今日やるのがめんどくさい仕事は・・・
   → 「エべーン、ドマーニ~♪(それじゃぁ、明日ね)」 とか
  嬉しいことがあると・・・
   → 「イオ ソーン、イオ ソーン、フェリーチェ~♪(私は幸せだ~)」とか
  結構ワルノリしていました。😆
  (えぇやん別に。オッサンのしょうもないギャグよりはマシやし、芸術的や。by妻)


  ・・・とまぁちょっとおふざけが過ぎている感じでしたが、第三幕に入るとオッサン
 はしんみりとしてしまいました。
  病に臥せっているヴィレッタが、アルフレードの父ジェルモンからの手紙を朗読する
 シーンから、「アッディーオ、デル パッサート・・・(さらば、過ぎ去りし日)」に
 続くシーンで、オッサンは不覚にも涙がこぼれてきました。(目が小さいからな。by妻)
 そして窓の外で2月のパリの町がカーニヴァルでざわめく中、まもなく一人寂しく死ん
 でいくヴィオレッタの前に、彼女の病状を聞きつけたアルフレードが突如現れます。
 あぁオッサン、もうダメです・・・ぶわっ(アホ)。
  そして名高い二重唱、「パリを遠く離れて」が感動的に歌われました。  
  ” ぱありぃじ~、 おぉ、かぁ~~ら、のい らっしぇ~れ~~も・・・♪ ”


  しかし再会を喜ぶのもつかの間、オッサンの頭をマーラーの交響曲第六番の終楽章で
 使う「どデカい木槌」でガーンと叩くようなヴィオレッタの衝撃的なセリフ・・・
  「でも、アルフレードが戻っても私が助からないのなら、もう誰も私を助けることは
 できないのだわ・・・」
  
  オッサン、この後は終演まで涙があふれっぱなしでした。ついでに鼻水も・・・
 (汚いな~ 鼻をかめ!by妻) そういえば、鼻チーンしている人もいたな・・・
  
   終演後のカーテンコールは主役級歌手には大ブラヴォーで会場も盛り上がっていま
 したが、やっぱりオッサンにはこういうオペラはまだちょっと早かった・・・
 「トスカ」や「ノルマ」や「アイーダ」はね、病死ではなくて、自殺とか、あるいは 
 無理心中?だからまだいいけどね・・・ヒロインが死んでしまって、男が取り残される
 のを見るのは嫌です。たぶんこれからもね・・・
  (めんどくさいオッサンやの~・・・by妻)


  終演は午後6時過ぎ。外食はやめて、天丼弁当を買って帰りました。
  ワインは、今月のワインの最後の一本(は?by妻)、南フランスのコスティエール・ 
 ド・ニームの白、2019年です。まだ苦味の残るフレッシュさがありますが、しっかり
 とした高品質なワインでした。これも2,000円くらいなのでお買い得感があります。
  あぁ、椿姫にも「プロヴァンスの海と陸」っていうアリアがあったな、バリトンの
 オッサンが歌うんだけど・・・
  一回、プロヴァンスに行きたかったわ~ (by妻) 
  でもプロヴァンスには天丼はないで・・・さつま揚げもないで。(byオッサン)  

     

  どうでもえぇけどマニアックな記事やな、今日も・・・(by妻)