Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2015年GW フランス・ドイツの旅 ⑥ 印象派の殿堂 その2

  オルセー美術館の記事を続けます。(どこまで続くんかの?早めに終わりぃや!by妻)
  ルノワールとモネの作品が展示されたコーナーの次は、やや地味な(失礼)画家たち
 のコーナーです。カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレーさんなど、絵だけ見たら
 「これこそ印象派絵画」というような、見ただけでわかる(分かりやすい)絵が多いと
 思います。その他、印象派の中でもあまり知られていない画家の作品を見ていきたいと
 思います。
  
  まずはシスレーさん、「モレのロワンの河岸(1892年)」です。糸杉の並木と草原、
 閑静な住宅といった、見ていて心地よい印象派的な風景画ですね。か~なりピンボケや
 けどな・・・(by妻)  

  
  次に、なんだかちょっと恥ずかしくなるような(なんでやねん?)楽しい絵。
 「モレの橋(1893年)」です。写実的なようでいて、水辺のあたりは印象派ならでは
 の技法で、光の具合を色彩で変化を付けて表現している感じです。


  シスレーの作品では他に「ポール・マルリーの洪水」という有名な作品がオルセーに
 あるはずですが、見当たりませんでした。やはり限られた展示スペースなので定期的に
 入れ替えをしているのかもしれません。
  あ、カミーユ・ピサロの作品はデジカメ写真に残っていませんでした。ピサロさん、
 スミマセン。仕方ないのでまたネットから無断借用します。


  これは「白い霜、ポントワーズ(1873年)」というタイトルの作品。ピサロさんは
 ほぼ屋外での写生オンリーで通した印象派絵画を代表する画家の1人です。パリ近郊、
 セーヌ川に近いイル・ド・フランス地方の農村や、新興住宅地の周辺の風景を透徹した 
 色彩で描き出しています。結構ファンの方も多いと思います。


  続いて「赤い屋根、冬の効果(1879年)」というタイトルの作品。赤い屋根の家の
 前には、葉っぱの落ちた裸の果物の樹々が並んでいます。背景には小高い丘があり、
 なんだか色鮮やかな模様を描き出しています。遠目で見ると、より感動的ですね、


  次は、ちょっと日本ではあまり知られていない画家をご紹介します。
  その名はギュスターヴ・カイユボット君。彼は印象派の画家の1人として知られては
 いますが、私の知る限り有名は作品はここオルセーにあるこの絵だけのように思います。
  彼の代表作、「カンナ削り(1875年)」です。印象派の他の画家たちに比べますと、
 写実的な傾向が強いようです。画風としてはドガや、それ以前のクールベとかに近いと
 思われます。この絵は、建物の床をカンナで削る労働者を描いたものです。強調された
 遠近法を用いている構図が面白いですが、極めて写実的ですね。彼がルノワールやモネ
 等と同じ時代に、同じ印象派の仲間だったというのも不思議ですね。

  実は彼は裕福な実業家の家に生まれ、エリート校(リセ)を卒業して法学士の資格を
 取得しながらも、普仏戦争後に復員して画家を志すという変わった経歴の持ち主です。
 カネに困った仲間たち(ルノワールやピサロ)の作品を自費で買い取ったり、仲間たち
 を集めて当時の権威であったサロンの展示会に対抗して何回かの「印象派展」の開催に
 中心的役割を果たしたといいます。しかしながら芸術家たちは個性派揃いで独善的な方
 が多いのが世の常。仲違いする仲間たちの間でカイユボットさんは奔走していました。
 ・・・ホンマにいい人やな。フランス革命のメンバーに喩えると、過激なジャコバン派
 のようなドガさんグループと、穏健なジロンド派のようなモネ・ルノワール・ピサロの
 連合チームの対立はいかんともしがたく、彼の苦労は絶えなかったようです。あ、もう
 1人、「金持ち喧嘩せず?」で我を通したセザンヌさんもユニークな立ち位置でしたね。


  極めつけは、遺言により彼の収蔵品、そして彼の遺産を使って買い取られた印象派の
 仲間たちの有名な作品が国に寄贈されたことです。それでも当時のアカデミズムの権威
 主義的なオッサン達は「ゴミのような作品が国家に寄贈されたら、受け入れた人は国家
 にとって恥ずべき汚点を残すことになるだろう」などと言って反対したのでした。はぁ?
 一体何を世迷い言をぬかしているんだ、ジェローム。今となってはまさにそのセリフの
 ゆえにオマエこそ世界中の人々の前で、みっともない恥をさらけ出しているんだぞ!
  とにかくカイユボット様のお蔭で、オルセーでこのような作品が鑑賞できるのです。
 ありがとう、カイユボット様!あなたの努力と善意が、後世の世界中の人々の心を豊か
 にしてくれていますよ!


  <カイユボット様が国に寄贈した絵画リスト(主なもの)> 
    ★印はこのブログで紹介(予定を含む)
   ルノワール:「ブランコ★」「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会★」
   モネ:「サン・ラザール駅★」「昼食(デジュネ)」
   ドガ:「バレリーナ」
   マネ:「バルコニー★」
   ピサロ:「赤い屋根、ポントワーズ★」
   シスレー:「サン・マメスの農家」


 さぁ、続きは明日。次回は誰が登場するでしょう?(勿体ぶるな、オッサン。by妻)