Bonne(ボンヌ)のブログ

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2015年GW フランス・ドイツの旅 ⑱ ブルゴーニュ・ワインツアー その4 白ワインの帝王「モンラシェ」

  ボーヌの街を出たバン(10人乗りくらいなのでほぼ満席)は、さらに南に進みます。
 最初の訪問地はコート・ド・ボーヌ地区の白ワインの最高峰、グラン・クリュ(特級畑)
 のモンラシェを擁するピュリニ・モンラシェ村です。
  ボーヌの街を出ると、またすぐに延々と続く葡萄畑のなかを疾走し、約15分ほどで
 目的地のピュリニ・モンラシェ村に到着します。車だとやっぱり早い。
  この十字架のある場所が、ピュリニ・モンラシェ村の葡萄畑のスイート・スポットに
 なります。つまり、この前後左右がとびきり有名な白ワインの銘醸畑という訳です。
 まだ4月下旬なので葡萄の生育は始まったばかりで、この日も少々肌寒い感じでした。


  さっそく地図を見てみましょう。この十字架のある四つ角は、下の図の左上にある
 紫色のグラン・クリュ(特級畑)とオレンジ色のプルミエ・クリュ(一級畑)の境目
 にある交差点です。村の中心部からまっすぐ西側に向かったところにあります。

 

  そうです、この交差点に立ってみて、丘に向かって左手が世界一有名な高級白ワイン
 「モンラシェ」を生産する畑です。紫色に白い字で ” Montrachet ” と表記がありますね。 
 そして、その上(西側)にある標高の高い斜面が二番手のグラン・クリュ(特級畑)の
 「シュヴァリエ・モンラシェ」、モンラシェから小道を挟んだ下側は三番手のグラン・
 クリュの「バタール・モンラシェ」となります。ちなみにシュヴァリエとは「騎士」を
 意味し、バタールとは「私生児」を意味します。(えらい違いやないけ。by妻)
  そしてモンラシェから道を隔てた右隣がプルミエ・クリュ(一級畑)「ル・カイユレ」
 で、その下側が同じく一級畑の「レ・ピュセル」です。
  ※上の写真で十字架の右手に広がるのが一級畑「レ・ピュセル(処女)」です。


  下の写真は、中央の小径を挟んで左側が特級畑「モンラシェ」、右側が一級畑「ル・
 カイユレ」、そして斜面最上部が特級畑「シュヴァリエ・モンラシェ」の畑です。


  アレ?皆さん、大丈夫でしょうか・・・
 (大丈夫ちゃうわ。いきなり飛ばしてからに・・・by妻)


  失礼しました。これらの畑は「モンラシェ」を頂点にした、優れた葡萄・ワインを
 生み出す超一流畑として知られている区画です。いわばブルゴーニュ白ワインの最高級
 ブランド、ですね。ここは緩やかな南東向きの斜面と、白ワイン用葡萄のシャルドネの
 栽培に適した石灰質の土壌で水はけがよく、優れた白ワインを生産するには最高の立地
 条件なのだそうです。
  
  もうオッサンだけでなく、ツアー客全員のテンションが早くも上がります。
 「モンラシェ」は、かの有名なフランスの文豪アレクサンドル・デュマ(父)が語った
 という言葉「脱帽し、ひざまずいて飲むべし」によって、ブルゴーニュで最高、つまり
 世界最高の白ワインという評価が定着しました。
  私もはるか昔のことですが、妻と二人で数本飲んだことがあります。分厚くてとろみ
 があって、でも鋼のような強靭さを残していてド迫力の白ワインでした。若いうちは、
 少し硬いようなので、10年以上寝かせてから飲む方が良いと言われています。
  しかし今では庶民が買える値段ではなく、憧れの夢のワインになりました。せめて、
 畑だけでも見ておきたい、というのが貧乏なワインマニアの切なる願いです。
  というわけでモンラシェの畑の写真を撮りました。ブルゴーニュでは、AOC法で規定
 された個々の区画は、一部の例外を除いて多くの生産者が少しずつ分割所有しています。
 この「モンラシェ」というグラン・クリュ(特級畑)も、多くの生産者が少しずつ所有
 しており、収穫した葡萄を自分の家で醸造してワインを生産しているところ(ドメーヌ)
 もあれば、収穫した葡萄をワイン醸造・販売業者(ネゴシアン)に売ってしまう生産者
 もあったりして、さまざまです。そうそう、畑を所有しているけど、他人に貸してしま
 って栽培から醸造・販売まで全て他人任せ、できたワインの一部を貰う、なんていう人
 もいるようです。
  つまり、「モンラシェ」という同じ畑から、複数の生産者による「違うワイン」が
 生まれるという事です。ボルドーで「シャトー・マルゴー」といえば本家のシャトーの  
 他にはありませんが、ブルゴーニュでは「モンラシェ」といっても生産者の違う複数の
 ボトルが存在するということです。このことが、さらにブルゴーニュワインをややこし
 くし、理解が難しくなる理由のひとつです。(同時に、細部にこだわるマニアがハマる
 理由でもあります。オッサンもそうやんな。by妻)
  
  モンラシェの畑を眺めていますと、こんな ↓ 石柱が立っていました。はぁ、どうやら
 この区画はモンラシェの畑の中で最大の土地を所有している「マルキ・ド・ラギッシュ」
 (マルキとは侯爵のこと)さんの所有する畑のようです。このラギッシュ侯爵さんは、
 畑は所有するもののワインづくりには興味がなく、栽培から醸造・販売までの全てを、
 一流ネゴシアン(ワインメーカー)のジョゼフ・ドルーアン様に委託しています。
 ジョゼフ・ドルーアン様とは、私が敬愛するブルゴーニュでも名うてのネゴシアン(兼
 ドメーヌ)です。でも、ここのモンラシェは飲んだことがありません。今はもう無理。

  シャルドネの葡萄樹が、緩やかな斜面に沿って整然と植えられています。

 よく見るとワイヤが張られていますね。ここに蔓を巻き付けるのでしょう。

  葡萄の樹は樹齢が相当古いようで、「ぼく」のようになっています。ちなみに樹齢が
 古いほど葡萄の実が生る数が減り、自然と生産量が抑制されるので、凝縮した高品質な
 ワインができるといわれています。
  モンラシェの畑の土は、確かにちょっと乾いて白っぽい感じがしますね。

  斜面最上部の「シュヴァリエ・モンラシェ」の畑の前から、手前のモンラシェの畑と
 遠くにピュリニ・モンラシェ村の集落を臨みます。写真中央が、ツアーの車です。


  しかし、こんなに畑ごとに格付けが異なる(特級畑と一級畑の違い、特級畑の中でも 
 本家モンラシェと、シュヴァリエ、バタールと区別している)けど、そんなにワインの
 味に違いが出るものなのでしょうか? 正直に申しますと、私のような凡人にはこの辺
 の上級クラスになると、いつも飲んでいるワインとは違うのでみんなスバラシイワイン
 に思えてしまい、明確な違いなど分かりません。まぁさすがに一番下の地域名ワインと、
 特級畑のワインを比較試飲したら、凝縮度(濃密さ)やメリハリの良しあし、あるいは
 構造感(変な日本語)が多少違うかなとは思いますが、同じシャルドネという葡萄で出
 来た優れた白ワインであれば、そんなに大した違いでは無いように思います。
 (それを言っちゃあおしまいやんか。つぅかアンタの感性が低いから微妙な違いがわか
 らんだけやろうが。by妻)
  それにもかかわらず、私を含め世のワインオタクが高級ワインに憧れるのは、産地の
 ブランド化が成功している証拠でしょう。しかも簡単に入手できないので、まだ買えな
 いうちから妄想?が膨らみ、「いつか手に入れたい」という欲望が膨張していくのです。
 (つまり、「うまいこと嵌められている」っちゅう訳やな・・・by妻)
  しかしその(格付けや畑名)の違いだけで、ワインの価格は歴然と違います。ちなみ
 に土地にかかる固定資産税も、このAOC格付けに基づいて課税されますので、格付けが
 上の畑は価値が高いとみなされて、税金もバカ高くなるそうです。(さすがフランスの
 国税局はあたまいいね。)それがまたワインの価格に反映されてしまいます。
  
  しかし、こんなただの葡萄畑を見ていて何が面白いんですかね?という方々も多いと 
 思います。関心のない方々からすれば、ただの葡萄畑やん。まぁ日本でいえば田んぼを
 観光に行く人などいませんからね。でもワイン、特にブルゴーニュオタクの方々には、
 憧れのワインを生み出す「聖地」となっております。アホやんな・・・(by妻)


  さてモンラシェとその周辺の畑をしばらくウロウロして写真やビデオ撮影をしたのち、
 ピュリニ村の隣村、シャサーニュ・モンラシェ村の生産者を訪問します。車で約5分。
  着いたのはこれまた(ちょっと)有名な、シャトー・ド・シャサーニュ・モンラシェ
 です。葡萄畑に囲まれた静かな場所にあります。ここにはレストランや宿泊施設も併設
 されていますので、ここに滞在する旅行者も多いようです。つまり観光客を受け入れる
 態勢が十分整っているというわけですね。
  シャトーといっても、ボルドーのシャトーに比べると小ぢんまりとしています。  

  さっそくシャトーのスタッフに案内をして頂き、ガイドさんが通訳をしてくれます。
 これはイイね。ちゃんと説明が聞けるから。(オッサンの個人旅行では、せっかく説明
 をしてもらってもフランス語がわからんから無意味やったしな・・・by妻)
  狭くて暗い地下カーヴ(貯蔵庫)にも案内してもらいました。細長い迷路のように
 なっていて、狭いと思っていましたが実はかなりのスペースが確保されているようです。
 このように積み重ねられた樽の中には瓶詰前の熟成中のワインが入っているのです。
 なんだかドキドキします。一番右端の方がツアーのガイドのお兄さんです。

 
  カーヴの見学後は、お楽しみの試飲です。5種類の白ワインを試飲させて頂きました。
 メモを取ったのですがどこかに仕舞い忘れてしまって・・・
  記憶ではA.Cブルゴーニュの白(地域名クラス)、A.C.シャサーニュ・モンラシェの
 白(村名クラス)、その後シャサーニュ・モンラシェ村の1級畑の白と、なぜか特級畑
 はモンラシェ系ではなく、コルトン・シャルルマーニュという白ワインでした。
  ブルゴーニュの生産者のところで、その生産者が作ったワインを試飲できるなんて、
 とても贅沢で嬉しいですね。しかも試飲は無料。(普通の人は、その後でボトルを購入
 すると思うけどな。オッサンはスルーやったけどな。by妻)
  そうですね、展示販売もしていましたし、たぶんここで買えば少しは安いと思います。
 でもこの後も行くところがあるし、日本に持ち帰るにはそんなにたくさん買えないし。
 (イヤ、「お金が足りないからあんまり買えない」、やろ)
  
  試飲はなかなか楽しかったです。同じ生産者で、格の違うワインを下から上に順番に
 味わっていくのは興味深い経験でした。そりゃ、比べてみればランクが上のワインの方
 が充実しているような気がしますよ。(錯覚やな。by妻)

 
  自社のワインだけでなく、あの「オスピス・ド・ボーヌ」のワインも展示していま
 した。これは、ムルソーという白ワインの名産地の村の優れた一級畑「シャルム」の
 瓶ですが、オスピスの所有する(寄進された)区画で作られたので、おそらく寄進者
 の名前である「バエズル・ド・ランレ」というキュヴェ名(樽名)を付けています。
  先ほど見てきたオスピス・ド・ボーヌで毎年11月に開催されるオークションで競売
 にかけられ、落札したものと思われます。
  オスピスのオークションで落札されたワインの瓶には、オスピスの畑で生産された
 もののだと示すように、オスピスのラベルを貼ることができます。昔、ジャパンマネー
 がまだ強かったころは、オークションで日本の企業が落札していたこともありました。

     

  
  おっと、ワインのことを書き出すとどうしても長くなってしまいます。
  いったんここで小休止とさせて頂きます。(ホンマ、長いのう・・・by妻)