Bonne(ボンヌ)のブログ

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2015年GW フランス・ドイツの旅 ㉒ ブルゴーニュ・ワインツアー その8 ジュヴレ村のドメーヌ訪問

  ヴォーヌ・ロマネ村の滞在は約30分。ブドウ畑をウロウロしているだけで感極まって
 いる変な人たちご一行、次が最後の目的地となります。そのまま車は北上し、歴史的に
 有名なクロ・ド・ヴージョのシャトーの横を通り、私がひそかに熱愛している特級畑の
 「ミュジニ」の前も素通りし、一路ジュヴレ・シャンベルタン村に向かいます。ここは
 もうディジョンの少し手前(ディジョンまで車で15分程の距離)、コート・ド・ニュイ
 地区の最北端に近い場所です。
  ワインツアーでは、生産者のカーヴでの試飲を最低三か所予定していましたが、先程
 訪れたヴォーヌ・ロマネ村のドメーヌ・ミシェル・グロさんのアポイントが取れなかっ
 たため、代替案としてジュヴレ・シャンベルタン村のドメーヌで最後の試飲をすること
 になりました。予約時間は午後4時半。フランス人の仕事はほぼ終了の頃なのですが。


  まぁとにかく無事に時間通りに着きました。ジュヴレ村の滞在時間は1時間です。
  ここでの訪問先は、ジュヴレ村の集落の中にあるドメーヌ・フィリップ・ルクレール
 さんです。ここは著名ドメーヌであるにもかかわらず、常に一般客の訪問を受け入れ、
 試飲までさせてくれる太っ腹生産者として有名なのです。もちろん即売もしてくれます。


 ジュヴレ村といえば名高い特級畑「シャンベルタン」を擁する村ですが、このドメーヌ
のポートフォリオには特級畑はありません。そのことがあまり日本で人気がない理由なの
だと思いますが、ジュヴレ村で特級畑を所有する一流ドメーヌは一般客には門戸を閉ざし
ていますので、フィリップ・ルクレールさんの存在は実に有難いのです。 
 感謝の気持ちで訪問いたします。(そうや、その心がけが大事やで。by妻)


 まずはドメーヌの仕事場、そしてカーヴを見学します。これまでに見てきたシャトー・
ド・シャサーニュ・モンラシェや、ジョゼフ・ドルーアン様のような洗練された感じでは
なく、はっきり言って雑然としています。しかしだからこそ、昔ながらの「栽培から醸造、
販売まで手掛ける小規模生産者」の雰囲気を良く残していると言えるかもしれません。
 下の写真の机の上にある機械は、ボトルにラベルを貼るマシンのようですね。 


  生産量は決して多いとは言えませんが、ドメーヌの店舗にこれだけ販売用のワインが
 残っているという事は、輸出を含めた市場への販売を少々セーブして、ドメーヌ直売の 
 比率を少し高くしているのではないかと思います。一流ドメーヌが、世界的需要に応え
 るために生産量の大半を輸出市場に回し、生産者直売用のワインが確保できない(その
 ため一般に試飲販売などはできない)状況にあるのと対照的です。
  ドメーヌの規模もそう大きくないので、樽熟成中のワイン、長期瓶熟成中のワインの
 量はさほど多くはありません。でも販売用のストックはかなり充実していました。


  ここのワインボトルはちょっとずんぐりむっくりしていて、ラベルもちょっと豪快な
 感じですが(中世フランスで盛んだった馬上の槍試合の様子を描いています)、ワイン
 の造りも 濃厚で渋み成分が多い長熟型という感じです。早飲み厳禁タイプです。

 
  通りに面したショウウインドウは観光客向けに洒落たディスプレイでした。


  さてお待ちかねの試飲です。生産者オーナーではなく、一族関係者か雇われ広報担当
 なのかはわかりませんが、若い兄ちゃん二人組がセットしてくれました。


  ではジュヴレ・シャンベルタン村の地図を見ておきましょう。ドメーヌは灰色で示す
 村の集落にありました。有名な特級畑のシャンベルタン一族(ロマネ・コンティ一族に
 対抗しているかのようです)は、街の南側の斜面上の細長い区画に固まっています。
 言わずと知れたシャンベルタン(Chambertin)、それと同等の評価を得ているクロ・ド
 ・べーズ(Chambertin Clos de Beze)を筆頭に、✕✕シャンベルタンという名の特級畑が
    いくつか固まっています。


  そして面白いのは、斜面の途中に切れ目のように谷があり(紫色の特級畑が途切れる
 場所)、そこは冷涼な風が通り抜けるためにブドウの熟度があがらないため、特級畑に
 比べるとやや品質面で後れを取るという事のようです。
  さらに、上の地図の右上のクロワッサン?のような形をしたオレンジ色(1級畑)に
 注目してください。ここは、丘のすぐ下にまで葡萄畑が広がっておりますが、理想的な
 南東向きのきつい斜面にあるため、葡萄の生育が良いとの事で、品質的に優れた1級畑
 があります。その最高峰はクロ・サン=ジャック(Clos Saint-Jacques:実質的に特級畑
 のシャンベルタンと遜色ないとの評価)なのですが、それに次ぐと言われている1級畑、
 カズティエ(Cazetier)とコンブ・オー・モワンヌ(Combe aux Moinnes)、およびシャン
    ポー(Les Champeaux)を、ドメーヌ・フィリップ・ルクレールさんが所有しています。

 クロワッサンの右半分側に位置している畑です。

  もちろん、私のお目当てもこうした優れた1級畑のワインです。
 しかしこうしてみるとジュヴレ村は、村名格付け(A.C.ジュヴレ・シャンベルタン)の
 面積が凄く大きいのが分かりますね。(A.O.C Villageと表記のある黄色く塗られた区画
 の畑が村名格付けのワインです。)


  古ぼけた書斎机の上にジュヴレ村の地図があり、ここで畑の位置を教えて頂きながら
 このドメーヌのワインを味わうことができました。試飲は無料でした! 
  試飲した主なボトルは、左からジュヴレ・シャンベルタン1級畑レ・シャンポネの
 2011年もの。真ん中と右のボトルはここのフラッグシップ、同じく1級畑のコンブ・
 オー・モワンヌです。年号は1998年と2011年だったかな?飲み比べが楽しいですね。

 
  5種類のワインを試飲して、ツアー参加は気に入ったものを購入します。予算に限り
 があるオッサンは、値段が安かった1級畑レ・シャンポーの2012年を6千円程で購入。
 記念にもなるしね。でも最低15年くらい熟成させたいから、そこまで元気でお酒が飲め
 る体を維持したいところです。
  あ、そうそうツアーの同行者の中年の(お医者さん一族のような)グループは、ここ
 で急に色めき立ち、ケース単位(12本で一箱)でワインを購入されていました。うわぁ
 2010年のコンブ・オー・モワンヌをケースでお買い上げ、カズティエもケースでご購入。
 豪快な買いっぷりに圧倒されました。いいな、購入資金がたくさんある人たちは・・・
 (僻むなオッサン。アンタは所詮ちょっとずつしか買われへんやろう。貧乏性で。by妻)
 ケースで購入すれば日本までは郵送してくれます(しかし税関手続きは必要)が、1本
 だけ購入の私はお持ち帰りです。結局ワインショップのドニ・ペレで1本、ジョゼフ・
 ドルーアンのカーヴで1本、このフィリップ・ルクレールのカーヴで1本の、計3本を
 購入しました。(せせこましい奴っちゃのう・・・by妻)
  私も一回でいいからケースで購入してみたいです。
 (無理やな。金銭面でもそうやけど、「ビビり」のあんたの性格には向かんで。by妻。)
 
  比較試飲は興味深いイベントでしたが、少々疲れていてあまり印象に残っていません。
 体調万全で臨まないとダメですね。もちろん美味しいとは思いましたけど・・・
 さぁこれでワインツアーの予定は終了です。
  この後は今夜の宿、ブルゴーニュの葡萄畑の中にあるオーベルジュ(レストラン+宿
 がセットになったところ)に参ります。・・・スミマセン、また続きます。