Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

久し振りに関西の旅 ⑱西の京:唐招提寺~その1・金堂

  今日は寒くなるということでしたが、それほどではなかった関東地方南部。昼間の間
 は暖房なしでも大丈夫でした。日も少しずつ長くなってきていますので、春はもう少し。


  さて、しばらく放っておいた昨年11月の関西旅行の記事を続けます。斑鳩の里から、
 奈良盆地の北西にある西の京エリアにレンタカーを走らせ、午後1時過ぎに唐招提寺の
 駐車場に到着しました。本当は薬師寺の方に行きたかったのですが駐車場が遠かったの
 で、こちらに駐車して唐招提寺と薬師寺の両方を見ることにしました。しかし、ここは 
 できれば近鉄電車で来た方が良いと思います。お寺の周囲は昔からの集落で、道は狭く
 観光客がたくさん歩き回っていますので、運転には注意が必要です。オッサンはまたし
 ても道に迷い、同じところをぐるぐる回っておりました。(アホ。by妻) だって一方
 通行が多いから、どうやって行けばいいのかよくわからなくなっちゃうんだよね。
 まぁなんとか狭い路地の土塀にクルマをぶつけることもなく、無事駐車できました。 


  では唐招提寺から見学します。ここはオッサン、中学生の頃の修学旅行で来て以来の
 訪問です。奈良に7年間も住んでいたのになぁ。

  唐招提寺が有名なのは、かの鑑真(がんじん)和上様が開いたお寺だからでしょう。
 奈良時代に中国(唐)から苦難の末に日本に渡り、仏の教えを説いた方ですね。今では
 南都(奈良を指す)六宗の一つ、律宗の総本山なのだそうです。
  入口の南大門は昭和になって修復されたものですが、天平時代の様式で再現されたと
 いうことです。ここを通り抜けると、上の写真にある金堂が視界に飛び込んできます。

  
  金堂は創建時の姿を今に伝える荘厳な建築です。8世紀後半、鑑真和上が居られた頃
 の貴重な建物で、当然国宝に指定されています。(また国宝オタクが始まるで。by妻)
 重量感のあるかなり大きな建物ですが、なんとなく優美な雰囲気も感じられます。
 寄棟造形式で、奈良時代の金堂としては唯一現存する貴重なものだそうです。
  何度かの修復で、オリジナルの形ではなくなっているそうですが、まさにこの建物に、
 鑑真和上が亡くなるまでの5年間、住んでおられたそうです。

  堂内は、連子窓から取り入れられた光に満たされ、中央に本尊・盧舎那仏(るしゃな
 ぶつ)坐像、右に薬師如来立像、左に千手観音立像(いずれも国宝)が並んでいます。
 いずれも創建当時の天平時代の作品で、道内は厳かな雰囲気に包まれています。
 当然国宝の仏像は撮影禁止ですので、ネットから画像を拝借いたします。
  
  まずはご本尊の廬舎那仏様です。うわ、物凄いド迫力です。仏像の高さだけで3メー
 トル以上、光背を含むと5メートルを超す巨大な仏様なのです。このご本尊を安置する
 ために、金堂の建物も巨大な建築となったのでしょう。金堂と同様に、8世紀後半の作
 とされています。

  奈良時代に盛んに用いられた脱活乾漆(だっかつかんしつ)造りの仏像で、はじめに
 粘土で像の原型を作り、その上に麻布を何枚も漆で張り重ね、乾燥後、内部の土を取り
 除いて表面を仕上げる方法で造られました。つまり、中はがらんどうということですね。
 そういえば、興福寺の阿修羅像も同じ手法で造られていました。
  この廬舎那仏様は金箔がだいぶ剥げかけていますが、蓮華座の上にどっしり腰を下ろ
 して瞑想する姿は存在感抜群ですね。なお光背にあるイボイボのようなものは、小さな
 仏様(化仏)でして、864体もあります。当初は1000体あったそうです。作るのが大変
 だっただろうね・・・


  お次は廬舎那仏様の向かって右側に安置されている、薬師如来立像です。こちらも、
 高さ3メートルを超える大きさです。この仏像も奈良時代の作品と思われていましたが、
 修復時に内部から796年に鋳造された貨幣が出てきたため、少なくともこれより後の、
 9世紀前半頃(平安時代初期)に造られたと推定されています。これも国宝です。
  作り方も、廬舎那仏と違って木心乾漆(もくしんかんしつ)造で、塑像原型の部分を
 木彫で作り,これに麻布を一重に張って脱活乾漆造りのように仕上げたものだそうです。
 塑像の型が粘土ではなく木彫になったことで、少し丈夫になったのかもしれませんね。
 やはり金箔は剥落していますが、柔和な表情ながら存在感のある仏様ですね。       

       


  そして、廬舎那仏様の向かって左側にあるのは、これまた国宝の千手観音菩薩立像
 です。菩薩様ですから、廬舎那仏様や薬師如来様より一段ランクが下になりますね。
 それでも当然こちらも国宝で、8世紀の作品。製法は薬師如来様と同じ木心乾漆造です。
 高さはこれも5メートル超。3つの巨大な仏像が堂内に安置されているのはスゴイ。 

      

  通常、千手観音菩薩を仏像として表す場合には、1本の手を25本として数え、実際に
 は40本の手を造ることが慣例となっているそうです(40×25=1000)。しかし唐招提寺
 金堂の千手観音様は、大きな手が42本、小さな手が911本、合計953本の手があります。
 元々は本当に1000本の手があったそうです。このように文字通り1000本の手を持つ像
 として造られたのは、日本全国においても3体しかないそうで、その意味でもきわめて
 貴重な仏像です。確かにこれもすごいオーラですね。あらゆる「手」を使って、衆生の
 民を救ってくれそうです。ウクライナの皆さんを、ぜひ助けてあげてください・・・


  そしてこの3つの巨大な仏様を守護するように、四天王像(国宝)もありました。
 代表して持国天様に登場願いましょう。(だんだん面倒くさくなってきたな・・・by妻)
  像の高さは1メートル85センチ、ほぼ等身大ですね。刀を抜いて悪者に挑みかかろう
 としているシーンですね。あの悪辣な男を成敗してほしいです。  


  唐招提寺の金堂内部の写真(ネット)がありました。こんな感じでご本尊と薬師如来
 様、千手観音菩薩様、手前に四天王の小さな像(ほぼ等身大)が安置されています。

    

  はぁ、やっぱり仏像の記事を書くとどうしても長くなるな・・・
  (解説が多すぎるんや。by妻)
  では今回はこの辺で・・・唐招提寺の他の見どころは次回です。