Bonne(ボンヌ)のブログ

死別者ですが余生は少しでも楽しく

2019年夏:英国 ㉗ウェストミンスター寺院をじっくり

   まずいです。このままでは越年してしまいそうですので、英国編の年内完了を目指
  して頑張ります。(このメチャ忙しい時に何をやっとるんじゃい!後先考えずに書く
  からじゃ!by妻。)


   さて、英国王室ゆかりのウエストミンスター寺院を見学します。予約時刻の少し前
  に来て若干待たされましたが、予約なしで来て列に並ぶより予約の方が効率的です。
  英国王室が式典(戴冠式やロイヤルウェディング)等に使う場所のため、見学が有料
 (かなりの値段)なうえに、内部の写真撮影が禁止です。またしても写真はネットから
  拝借したものやガイドブックの写真で代用いたします。
   そういえば、ウィリアム王子とキャサリン妃の挙式もここでしたね。
   
   教会の創建は11世紀中頃、アングロ・サクソン諸王朝時代の名君エドワード懺悔王
  によるそうです。英国の歴史には詳しくありませんが、アングロ・サクソン系は古代
  ローマ時代後期にブリテン島に侵入して支配者となったものの、中世に入るとデーン 
  (デンマーク)人やノルマン人など北欧系民族が侵入し、激動の時代だったようです。
  この教会はそんな昔の時代に建てられたようですが、現存する建物の大半は13世紀に
  ノルマン王朝を継いだプランタジネット朝の王、ヘンリーⅢ世の命令で建てられたと
  いわれています。彼は十字軍で有名なリチャード獅子心王の甥っ子にあたりますね。
   しかし13世紀(鎌倉時代)の建物が現存するというだけですごいですね。鎌倉に、
  鎌倉時代そのままの建築物はさすがに残っていませんからね。石の文化と木の文化は
  当然耐久性が違いますから。さて、歴史のお勉強はこれまでにして・・・
   
   まずは外観から見学します。こちらはゴシック様式の西側ファサード。威風堂々と
  していますね。なんとなく北フランスやベルギーのゴシック様式の教会に似ているな
  と思いましたが、当時それらを作っていた職人をフランスから呼び寄せたそうです。
  やっぱり。そういわれると、なんとなく上品で優美な感じがしてきますね。

    

  ファサード部分を拡大すると、やはりゴシック様式ならではの細かい装飾・彫像が
 ぎっしりです。よぅこんなものを根気よく造るわ・・・


   こちらが入口かと思っていたら違いました。こっちは出口だそうです。観光客の
  入口は北側の北翼廊にあります。こちらはバラ窓と複数の尖塔が特徴的で、ちょっと
  ゴチャゴチャした感じですね。しかしデカいです。まぁとにかく早く入りましょう。

  ここもいろいろ見所が多いのですが、位置関係を説明しづらいので手抜きしてガイド
 ブックの平面図を載せておきます。
  平面図の左斜め上が北翼廊、向かって左側が身廊でその先が出口の西門。北翼廊から
 中心部に向かい、中心部に立ち北翼廊(入口)側を向くと、左手に聖歌隊席、右手には
 内陣です。そして内陣の先、平面図の右上側が歴代王家の墓がある場所。
  最奥部がヘンリーⅦ世のチャペル(聖母の礼拝堂)です。
   では順番に見ていきたいと思います。

  まずは出口の西門の近くにあるモニュメントを観に行きます。身廊の出口近くにある
 のが無名戦士の墓碑です(平面図のA)。第一次世界大戦の戦没者の遺体を、王族の墓
 のあるこの場所に埋葬したものだということです。(キリスト教は火葬しないからね)
 これはすごいな英国!今でも世界各国の要人が訪問した際、彼らに対する敬意を表する
 のだそうです。
  この ↓ 写真の手前の床の上に見える赤い枠で囲われたものが無名戦士の墓碑です。
 入口の西側ファサードを飾るステンドグラスも美しいです。天井から吊るされた巨大
 なシャンデリアは、エドワード王がこの教会を開いてから900周年を記念し、1966年
 に献呈されたものだということです。 

    

  西門側から身廊内部を見ると、このような感じです。手前が無名戦士の墓碑です。
 中央に見える衝立?の向こうが聖歌隊席です。かなり立派なものでした。 

 
  身廊部分を中心部に戻ると豪華な「聖歌隊席」があります。ちょっと落ち着かない
 ほど華麗な感じですね。この写真は、聖歌隊席の奥側から身廊部分を見る構図です。

 

 
  さて次はこの教会の心臓部分の内陣です。しかしここは通常は見学できないようです。
 主祭壇と、この教会の創建に関わった前述のエドワード王やヘンリーⅢ世らの王様たち
 の墓があり、英国王の戴冠の椅子などがあるそうです。見られなくて残念。


  さらに奥(平面図の右上)に進むと、ヘンリーⅦ世のチャペル(または聖母の礼拝堂)
 と呼ばれるゾーンに出ます。15世紀末のヘンリーⅦ世時代に増築された部分だそうです。

    


  ここにはテューダー朝の創始者ヘンリーⅦ世以降の有名な王たちの墓、とりわけ彼
 自身(ヘンリーⅦ世)と、その息子ヘンリーⅧ世(別名ブラゼル、本当にしつこいな)
 の娘メアリーと異母妹のエリザベス(エリザベス女王Ⅰ世)、そしてエリザベスⅠ世
 のライバルであったスコットランド女王メアリー(有名なメアリー・スチュアート)
 の墓があるのです。私は墓を見るのは好きではありませんが、英国史を彩ったスーパー
 スターたちが(ほぼ)勢ぞろいなので、ちょっと関心がありました。
  ヨーロッパの王侯貴族の墓には、当人の生前の姿をかたどった立派な等身大の寝姿の
 像が棺桶の蓋になっていることが多いですね。エリザベスとメアリー・スチュアートの
 墓はどちらも壮観で見事でした。(写真なし)


  歴史の上では、エリザベスの命令でメアリーは殺されましたが、独身を貫いたエリザ
 ベスの死後、王権はメアリーの息子ジェイムズが継ぎ(スチュアート朝)、ジェイムズ
 は無念の死を遂げた母メアリーの墓もエリザベスと同等に作らせ、このチャペルの左右
 に対峙するように埋葬したとのことです。死んでからも永遠のライバルか・・・


  メアリー・スチュアートの話は、イタリアのドニゼッティという作曲家のオペラにも
 なり(題名は「マリア・ステュアルダ」)、ドラマとしても有名ですよね。
 ウエストミンスター寺院とは関係ありませんが、ご参考までにメアリーとエリザベスの
 肖像画を載せておきます。王権を賭けた女の闘い・・・オペラでは、それに男をめぐる
 争いが加わります。争いの原因を作った色男は罪な奴ですな(オッサン、僻むなよ)。
  そういえば昔、「壁に耳あり、障子にメアリー・・・」ってギャグで、滑った(笑)。

  うーん、この程度しか知らない私なのでこれが限界。もっと英国史に詳しい方だった
 ら、ここはものすごく勉強になる場所なのでしょうね。ま、所詮墓場ですけどね。
  そうそう、ここは王族だけでなく英国の著名人も埋葬されています。特に詩人のコー
 ナーと呼ばれるエリア(平面図のF)には、文豪シェイクスピアの墓などがあります。
 王室ファンだけでなく、文学好きの人たちも墓参りに来るかもしれませんね。


  思いのほか長くなってしまいました。この後、最近公開された「クイーンズ・ダイヤ
 モンド・ジュビリー・ギャラリーズ」という階上にある展示を観に行きました。別料金
 ですが、せっかくなので。エレべーターに乗って二階のようなところに上がりますと、
 この教会の保有する宝物・絵画・美術品が展示されているギャラリーになっています。


  保存状態が良くないですが、13世紀の作と言われる「ウェストミンスター祭壇画」
 がありました。現在の建物が建てられた頃の祭壇画が現存しているのですね、凄い。
 ガイドブックの写真が小さいので見にくくてすみません。

  次は「リトリントン・ミサ典書」と呼ばれるものだそうです。経典写本?の表紙画
 でしょうか?細密画というやつですかね。図柄はキリストの磔刑図です。周囲のミニ
 サイズの絵では、磔刑に至る過程やその後の復活の様子が物語のようになっています。
 ちょっと時代が下って14世紀の作だそうです。

    


   他にもいろいろ珍しく面白そうな展示がたくさんありました。
   そして驚いたのは、ここから教会の内部を見下ろせることです。写真を撮ること
  ができないのが実に残念でしたが、こんな感じでした。

     

   そして、気づきませんでしたが、この教会の心臓部分の内陣・主祭壇も、上から
  目線にはなりますが(笑)、ここから見学できるようです。
   立派なエドワード王の墓も上から見えたはずです。(写真はネットから) 

     


   じっくり見ていると、あっという間に一時間は経過してしまいます。見逃してしま
  ったものも結構あったかもしれません。 
   最後に回廊に出て、中庭を見学します。ここは写真撮影OKのようでした。
  

  かなり広く、ゆったりしています。寺院の見学で疲れた観光客が、回廊部分のベンチ
 に腰掛けて休憩していました。

       

  なかなか見所が満載で、素晴らしい教会でした。
  しかしもう午後2時過ぎです。またお昼ご飯抜きか・・・(続く)